マイケルジャクソンやブルーノマーズを超えたBTSをマジレス考察 【Butterリリースに寄せて】
昨日5月21日にMVが公開されたばかりのBTSの新曲『Butter』が最高にヤバい。事件だ。
年間5000曲以上チェックするただの音楽ファンが、ファン心理を一旦無視して客観的に楽曲の良さを語る。
🌾登場するアーティスト
・Bruno Mars ・Mark Ronson
・Daft Punk ・星野源
・Michael Jackson ・James Brown
・J.Cole
昨年、従兄妹に勧められてDynamiteに鬼ハマりして以降、チェックしているBTS。
正直、Dynamiteがキャリアのピークで、グラミー最優秀新人賞はやっぱりアジア人は無理か、、、でも良い夢をみさせてもらったな的な、あとは余生的な歪んだ見方をしていた私だが、新曲を聞いてブッ飛んだ。長州さん、飛ぶ時は「飛ぶぞ」って言ってくださいよ。
ああ素晴らしい曲だ。そして、設計し尽くされているBTSは、もはや有名建築家の歴史的建造物に近い。
昨日の夕方の公開から、100回以上は再生している。インストverも含めれば200回近くなるだろう(歌なしのカラオケバージョンも配信されているが気づきがエグい)。何がそんなに素晴らしいのか。ARMYでないからこそ、少し引いた目線でマジレスしていきたいと思う。
まず、曲の方向性はファンク。70年代、80年代のポップスとして位置づけられるディスコ調。これらは、2010年代にリバイバルされ、アップデートされ続けている。近年の主な作品は、ブルーノマーズとマークロンソンの『Uptown funk』。マークロンソンはDJということもあり、かなり古い年代までリスペクトが及んでいる。
その少し前だと、先日解散が発表されたDaft Punkの『Get Lucky』。この楽曲は、グラミー最優秀レコード賞を受賞している。今、ファンク調の音楽をやっていて、Daft Punkの影響下でないアーティストはいないだろう。その2年後に日本では星野源の『SUN』がビッグヒットしている。
そして、さらに原点に戻ると、マイケルジャクソン。そして、ジェームスブラウン。名前を聞くだけで明るくなれそうな伝説のアーティストだ。脈々とファンクは受け継がれていて、次は誰だ、となっているところに入ってきたのが紛れもなくBTSだ。
話を現在に戻そう。2021年5月現在のUSチャートを見てみる。TOP100のうち、80近くはヒップホップの系譜からくる曲になっている。これは、ここ3、4年ずっと言われてきたことだ。もはや、ヒップホップはポップスになったとも言われている。
今トップ20の半分以上を占めているのが、J.Coleという超人気ラッパーの新アルバムの曲たちだ。日本人で聞いているのは人口の1%にも満たないだろう。J.Coleを聞けば今のアメリカのムードがわかる。
怒りや強さが気分として先行している。ポップスは時に社会情勢の写し鏡となる。そして、今のUSトップ100にファンクな音楽は1曲もない。
これは考察だが、ファンクは現代において時流に合っていないと捉えている人が多い。なぜなら、ファンクの歴史は黒人音楽が大衆(白人)に受け入れられた背景があるからだ。今、アフリカンアメリカンがファンクをやろうもんなら、白人媚びを疑われてプチ炎上するぐらい、ナイーブになっている。そんな考察をしている。
そこで出てきたのがBTS『Butter』。
ああ、今ファンクを支えるのはBTSしかいないんだという、必然性すら感じた。USチャートに今後入っていくのであろうが、今のチャートに入ったら異色すぎて目立つ際立つ。
普通アイドルのグループがファンクをやったところで、笑いものにされ、邪険に扱われるのが関の山だが、おそらく聞いた人は本物として扱うはずだ。だいたい、アイドルソングはパクリっぽく、偽物っぽくなるのだが、BTSの場合は大きなリスペクトを感じる。
今作も所かしこに先人たちへのリスペクトが随所に込められている。わかる人にはわかる。それがBTSのファン、ARMYだけではなく、音楽ファンに対してそうである姿は、誠実性を感じざるを得ない。アイドルの枠を超えてポップアーティストとしての器量がある。
まとめになるが、
BTSの今作は、ある意味で、マイケルジャクソンやブルーノマーズを超えたと思う。1人ではどうしてもたどり着けなかった場所へ、ボーイズグループというフォーマットでたどり着いた。
当たり前のことだが、BTSはコーラスもダンスもBTSだ。これはマイケルやブルーノマーズには、チームを作ることでしかできなかったことだ。
グラミー賞を取れるかどうかについては、わからない。だが、取れない方がいいのではとも思い始めてきた。もし、Dynamiteで最優秀新人賞を取ったらButterは生まれただろうか?
取れなかったことによる、なにクソ根性が生んだかもしれないと思うと、取れずにさらに最高の曲を聞きたい方が、個人的には優っている。
グラミー賞を取るよりも、より良い曲をリリースする方が社会的価値は高いと私は感じる。この先も目が離せないし、離さない。