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マツダ3のデザイン解析#2 中間管理職(マツダ3)はつらいよ

もくじ
中間管理職はつらいよ
マツダデザインの人事革新

中間管理職はつらいよ
 前回で述べたように、マツダ3が属するcクラスのカテゴリーのハッチバックデザインというのは、薄く伸びた鼻先に対して実用性を持たせた膨らんだキャビンのバランスを取るのが難しいと思われます。特にセダンと骨格や構成を共有する車種のそれは顕著で、斜め前から見た場合、バッサリ切り落とされたリアから醸し出される寸詰まり感。従って比較して大きく見えてしまうフロントの重さ。もしくはそれを過剰に対策(デザイン)された故に起きる全体の鈍重感。いずれの場合も車の俊敏性をストレートに表現できません。
 カテゴリーのヒエラルキーによるデザインへの影響もあります。大抵該当する車両はcセグメントに属し、その上には立派な体躯を誇る高級志向のDセグメントセダン/ワゴン。その下にはBセグメントの元気な小型ハッチバック専用車があります。上を凌駕する華やかなデザインは以ての外、必要な機能に則して無難に仕上げた場合、間延びしたBセグメントの様な装いになります。
 その様子はさながら、上と下で板挟みにあう課長の様な立場。心中お察し致しますといったところでしょうか。庇う様ですがモデルとしては優秀なのです。尊大な上司には無い悪目立ちしない適度な存在感。部下には無い包容力と底力。傍目に映るハイブリッドを武器にひとり孤高のデザインを与えられたプリウスを一瞬僻んでは、今日も愚直に役割を全うするのです。

マツダデザインの人事革新
 先代までのマツダアクセラ(海外名マツダ3)は国外では好調なセールスを記録し、例えばオーストラリアでは常に販売の3位付近をキープしていました。課長頑張った。
そんな功績を労うかの様に、マツダデザインで大きな人事改革(?)が起こったのです。マツダ6がFR(前エンジン、後ろが駆動)となって登場(2023年?)すると言うことです。カテゴリーの序列は変わりませんが、実質マツダ3がFF (エンジンと駆動共に前)車両の中でヒエラルキーのトップになるのです。
 FRレイアウトによるプロポーションはFFのそれとはまったく異なり、ついにマツダ3はデザインの忖度を上司であるマツダ6に窺う必要はなくなったのです。そうして登場した現行マツダ3を鑑みて、あのぶっ飛んだデザインを纏う心境を深掘りしてみては、やさしい気持ちが込み上げてきます。相当、いろいろ溜まってたんだなぁ。

次回予告:デザインの陽と陰


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