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息子のことばはわたしと絵本で出来ている(絵本編)

息子のことばの半分はわたしで出来ているが、もう半分は絵本で出来ている。というより、息子のことばの日本語の部分はわたし、英語の部分は絵本で出来ているといった方がいいかもしれない。

息子は絵本が大好きだ。朝起きたら、ごはんを食べ終わったら、他のもので遊んでいる途中、寝る前など、事あるごとに本棚から読みたい絵本を引っ張り出してきて、読んで!とアピールしてくる。わたしがトイレに入っていてもドアの下の隙間から絵本を差し込んでくる。相当な絵本好きだ。

今日はそんな息子と絵本について。

■ 絵本と張り合う親

息子はバッファローのぬいぐるみを見ると「ばっふぉ」と言う。何故ならバッファローは絵本に出てくるから。近所の川でアヒルの親子を見つけると「Duck!」と教えてくれる。何故ならアヒルは絵本に出てくるから。

しかしサルのぬいぐるみを見てもMonkeyとは言わない。何故ならサルは絵本に出てこないから。わたしがいくら「Monkeyだよ。おさるさんだよ。」と言っても何も言わない。バッファローよりサルの方が断然お気に入りなはずなのに。

色でも同じことが起きた。息子が最初に覚えた色は「ぱぁぷぅ(purple)」。赤いボールと青いボールを見せながら「これは赤だよ。青だよ。」というわたしの言葉は息子には響かず、絵本に出てくるパープルに先を越された。赤でも青でもなく、パープルに。

バッファローとパープル。またマイナーなものから覚えたなと思った。けれど息子の中に「メジャーな動物」「マイナーな動物」「メジャーな色」「マイナーな色」なんて括りは無く、もちろんバッファローよりサルを先に覚えるべきなどという道理はない。メジャーなものから教えてみようという大人の事情は一切関係なく、結局は何かしら本人の心にひっかかったものから覚えていくんだと思うと、ことばを覚える過程にはその子の個性が表れていてとても興味深い。

潔く敗北を認めよう。少し切ないが、それほど絵本の学習効果は高いということだ。絵本を何度も何度も繰り返し読むと、音を覚え、音と絵を関連付け、意味を理解する。そして動物であれば他の絵本に出てくる同じ動物の絵や、ぬいぐるみを見ても反応するようになるし、最終的には実物を見ても認識出来るようになる。はっきり言って、すごい。

親との会話ではこう上手くはいかない。ちなみに息子はパープルの後に青を覚えたが、「ボール=あお」と認識してしまい、どの色のボールを見ても青と言うようになってしまった。赤いボールも緑のボールも「あお」。訂正が難しすぎる。そういう意味でも絵本はすごい。

そして何を隠そうその絵本を読み聞かせているのはわたしだ。絵本の功績の半分はわたしのものだと思うとちょっと誇らしくなった。

当たり前だが絵本とは張り合うものではない。絵本は彼に新しいことばを教え、新しい世界をたくさん見せてくれている。言わば第三の親と言ってもいいくらいだ。ありがとう絵本。これからも息子に良い刺激を与えて続けてほしい。

■ 名著は裏切らない 

わたしは昔から本が好きだ。小説も好きだし、絵本も好きだ。色んなものを広く読むより、好きな作家さんの作品をこつこつ読み揃えていくタイプ。だから絵本を買うとき、どうしても自分の好みで絵本を選んでしまうような節がある。そんなわたし目線の絵本選びに一石を投じてくれたのがDr. Suessだった。

アメリカの超国民的絵本作家 Dr. Suessの”Green Eggs and Ham”をご存知だろうか。とても可愛いとは言えない、ちょっと、いやかなり不気味な動物たち。そもそも緑の卵とハムなど、受け入れがたい気色の悪さ。いくらアメリカの子供たちに人気だと聞いていても、恐らく自分では購入に踏み切らなかった絵本。

息子の通う小児科では、健診の度に絵本を一冊プレゼントしてくれる。9ヶ月健診のときに頂いた絵本がこの本だった。そこから息子の"Green Eggs and Ham"への愛が爆発した。

繰り返しが多く、rhyme ( 韻)をふんだんに使ったリズミカルな文章。まるで歌っているようで読んでいても楽しくなる。Would you? Could you?の繰り返しの度に「うじゅー!うじゅー!」と叫ぶ息子は可愛い。

house, mouse?
box? fox?
boat? goat?

楽しいことば遊びの連続で、英語は音の言語だなと感じさせてくれる名著。

何度も何度も読み聞かせる内に、あれほど苦手だった絵も、見慣れてくると次第に愛着が沸き、愛らしくさえ見えてくる。

息子が余りに"Green Eggs and Ham"にご執心なので、彼の違う作品も買ってみた。やはりどれも息子の心を鷲掴みにした。今や息子のお気に入り絵本ベスト3は全てDr. Suessのものだ。

ありがとうDr. Suess。ありがとう小児科の先生。わたしの好みだけで絵本を選んでいたら、息子のお気に入りたちには出会えなかった。

■ 絵本選びはバランスよく

わたしの好みで選んだ絵本で息子が気に入ってくれた本もたくさんある。逆に評判がいいなと思って買ってみても、余りヒットしないものもある。

息子にも息子の好みがある。わたしの好みを押し売りするのではなく、たくさんの選択肢の中から自分の好きなものを見つけられるように。

同時に、今後成長してもっとこだわりが強くなったとき。息子の好みに的を絞り過ぎず、様々な絵本に触れることが興味や視野を広げるきっかけの1つになるように。

広く浅く、狭く深く。バランスを上手く取りながら絵本を選んでいきたい。そして息子が大人になったときに「あ、この絵本小さい頃好きだったな」と思い出せる絵本とたくさん出会えたらいいなと思う。


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さいごに。英語の絵本の読み聞かせは、読む側にとってもとても勉強になります。有名なものはYouTubeに読み聞かせ動画がUPされているので発音のチェックも出来ておすすめ。"Green Eggs and Ham"はオバマ元大統領も読み聞かせをしています。



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