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【3分で読めます】センスは知識からはじまる 要約/まとめ/感想

センスがいいは作れる

今回は"センスは知識からはじまる"の要約、まとめ、感想です。

本書はくまモンやドコモのiDのデザインを手がけた、グッドデザインカンパニー代表の水野学さんが書いています。

様々なヒット作のデザインを担当された水野さんが思う、「センスがいい」とは何なのかがまとめられています。

本書の結論

センスとは数値化できない事象を最適化することであり、生まれ持った能力ではなく研鑽することができる。

センスとは何か

本書ではセンスを「数値化できない事象の良し悪しを判断し、最適化すること」であると定義しています。

「日本で一番売れている服」は数値で判断できますが、「自分に似合う服」は数値で判断できません。
自分の個性に合わせて服装の良し悪しを最適化できる人がファッションセンスがいい人になるのです。

そして、数値化できない事象の良し悪しを判断するには「普通」を知ることが必要です。

普通とは良いと悪いの中間地点であり、普通がわかるということは良し悪しの判断基準がわかるということです。

多角的、多面的に物事を測ったうえで「普通」を見つけ出すことは事象の良し悪しの判断に欠かせないのです。

なぜ日本企業にはセンスがないのか

家電や自動車など、日本のメーカーは売り上げ規模や技術力などで世界トップクラスと言えます。
ただ、それ以外の部分に関しては他国の企業に対して遅れをとっているでしょう。

その原因もセンスにあるのではないでしょうか。

iPhoneがいい例です。
日本企業はそれまでスマートフォン事業を立ち上げていましたが、iPhoneがドコモと提携するにあたり複数企業がこの事業から撤退しました。
日本のスマホはiPhoneにかなわないと判断したのでしょう。
かなわないのは技術力ではなく、デザインやUI等のクリエイティブ面がかなわないのです。

ではなぜ日本企業にセンスが無いのでしょう。
それは市場調査を中心としたマーケティングにあるのではないでしょうか。

日本企業は消費者にいくつか商品を見せ、「あなたが良いと思う商品はどれですか?」という市場調査をよく行っています。

この手の市場調査には2つ欠点があります。
1つ目は悪目立ちするものに目が向きがちだということ。
2つ目は新しい可能性をつぶしてしまうことです。

新しい可能性をつぶすとはどういうことでしょうか。
人は自分が見たこともない、聞いたことも触ったこともないものを良いと判断できません
コロナ禍の前にクラウドファンディングに賛成していた人が何人いるでしょうか。

つまり、とても先進的な商品であればあるほど、消費者ありきの市場調査では評価されないということになります。

また、市場調査は人材育成の面でも2つの危険をはらんでいます。
第一に調査に頼ると自分はどうしたいのかを自分の頭で考えなくなります
第二に調査で決めてしまうと、責任の所在があいまいになります。

センスは知識から生まれる

センスとは知識の集積であると水野さんは言います。

仮に「あいうえお」しか知らない人と、「あ~ん」まですべて知っている人で比較すればどちらがセンスのある文章を書けるかは明白です。

見たことがあるもの、知っているものを増やすことが重要です。
iPhoneにせよAKB48にせよ、過去に存在していたものの延長線上にあるものです。
過去に何が売れたのかを知っていることは、これから売れるものを作るうえで必要不可欠です。

イノベーションとは知識と知識の掛け合わせです。

人は新しいものに接した際、過去のものや過去の知識に照らし合わせて考えます
新しすぎるものは受け入れられない可能性が高く、「ありそうでなかった」くらいがちょうど良いのです。

過去の知識に基づいて未来を予測することこそがセンスなのです。

その際、センスの最大の敵は思い込みであり、思い込みと主観による情報をいくら集めてもセンスは良くなりません。

思い込みによって事実を歪めて認識してしまうと、世の中の感覚をつかむことはできません。
それでは自己満足の域を出ることはできません。

知識を増やすには

知識を増やすためには3段階のアプローチがあります。

①王道から解いていく

王道とは「定番」や「ロングセラー」等、すでに最適化されている商品です。
王道を知ることで、そのジャンルの製品を最適化する際の指標ができます。
また、王道を探し出す過程で知識の習得ができます。
王道を見つけた時にはそのジャンルにまつわる幅広い知識が身についているのです。

②今、流行しているものを知る

流行は一過性のものであり王道とは真逆です。
ただ、王道と流行の両方を知っておくことで知識の幅が広がります。
雑誌を読むと流行を効率よく知ることができます。

③「共通項」や「一定のルール」がないか考える

王道と流行の共通点こそ、人がその製品に求めていることだと言えます。

また、自分の感覚を自覚することも大切です。
「この感覚はどこからやってきているのか」を確認するのです。
感覚とは知識の集合体であり、「美しい」と感じたらその裏には過去に「美しい」と感じたものの影響を受けています。

その感覚は自分固有のものでありながら社会全体の感覚でもあります。
社会がどうとらえるのかを自覚できれば、社会に受け入れられるアウトプットが出せるのです。

センスと仕事

センスとは研鑽によって身に付きます。
何かわからないものがあっても、それは「センスがない」からではなく「センスを磨く努力をしていない」からです。

センスは知識から生まれるもので、知識を得ようとする姿勢が重要です。
わからないことがあれば相手から聞きましょう。
聞くことで知識が身に付き、しかも聞くスキルが身につくため次の知識収集につながります。

これが仕事ができるということにつながるのではないでしょうか。

感想

デザイン思考が叫ばれるなか、知識が重要という結論は新鮮で非常に説得力がありました。

仕事をするうえで、「知らないということは罪」ということを実感しました。

この本を読んで一番思ったのは、自分にとって今必要ではない知識を集めようということです。
必要な情報ばかり集めて「役に立つ」人になっても、そこには深さが無いと思いました。
様々な知識を持っているからこそ、発揮できるセンスもあるのではないかと思います。

自分にはセンスがないと思ってきましたが、センスを磨く努力をしていないのが原因と分かりました…
無知の知を体験させてくれた1冊でした。
とても面白かったです。

最後に

お読みいただきありがとうございました!
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感想やよくわからない部分、おススメの本がありましたら是非コメントください!

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