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【感想】『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』を読んだ

THE GUILD深津さんの以下のツイートを見て読んでみました。まさに令和最初の読書。

ギリシャの財務大臣が自分の娘に向けて難しい言葉を使わずに経済について語っている本。難しい言葉はなく、読む前は経済って何よ?という感じだったのが、何となーくわかった気になれて良かったです。なんとなく。
本の内容を3点にまとめてみました。

・経済のことが何となくわかる

各章が「それ経済に関係あるの?」ってことから話が始まって最終的に格差や市場社会の誕生、銀行の役割とかの話になって非常にわかりやすい。「それ経済に関係あるの?」ってのは例えばこんな話。

・なぜ、アボリジニがイギリスを侵略しなかったの?
・「私が地獄だ」-有名な戯曲より
・フランケンシュタインの話
等々

章立てはこんな感じ

プロローグ  経済学の解説書とは正反対の経済の本
第1章  なぜ、こんなに「格差」があるのか?――答えは1万年以上前にさかのぼる
第2章  市場社会の誕生――いくらで売れるか、それがすべて
第3章 「 利益」と「借金」のウエディングマーチ――すべての富が借金から生まれる世界
第4章  「金融」の黒魔術――こうしてお金は生まれては消える
第5章  世にも奇妙な「労働力」と「マネー」の世界――悪魔が潜むふたつの市場
第6章  恐るべき「機械」の呪い――自動化するほど苦しくなる矛盾
第7章  誰にも管理されない「新しいお金」――収容所のタバコとビットコインのファンタジー
第8章  人は地球の「ウイルス」か?――宿主を破壊する市場のシステム
エピローグ 進む方向を見つける「思考実験」

・商品化対民主化

今の経済の話をしながら、所々で筆者は筆者の思うあるべき経済の形を提示します。今は格差がどんどん拡大されてく状態です。テクノロジーによって経済発展を人間は遂げてきました。例えばこんな感じに。

火→航海技術→蒸気機関→電気→ソフトウェア

ソフトウェア産業は産まれる経済効果はかつてないほどに巨大ですが、経済効果の恩恵を受ける人が非常に少ないです。このままではより格差が拡大していきます。しかも、大気の汚染とか温暖化とか人類が解決しなきゃいけない問題もいっぱい。
「競争が全てを解決する」なんて言う人もいるけど、果たしてそうなのでしょうか?
筆者は温暖化を解決する人を、1番業績を上げてる人(儲けてる人)が担当した場合を例に挙げます。

ではここで、大気を民営化して、お金持ちに対策をゆだねるとしよう。お金持ちは海抜が上がっても影響を受けないが、排気量を減らすと利益が減り、もしかすると会社が潰れてしまうかもしれない。家や畑が海面下に沈んでしまう人たちには何の発言権もないのに、支配権を持つそんなお金持たちに判断をまかせてもいいものだろうか?

どう考えたって恣意的になっていくのが目に見えているだろうと。
他にも、実は格差の存在を認めされるのが宗教ということも言ってて刺激的でした。

経済を専門家にお任せするのは大切な判断をすべて他人に任せてしまうこと。

最後ですが筆者が言いたいことはこれに尽きると思います。全体を読んでみてわかりますが、本1冊で経済をわかろうだなんて無理!!!いろんな要素が絡み合いまくってます。
「じゃあ専門家に任せておけばいいや」なんて言いそうな娘に父は釘をさします。経済の専門家なんて公式のある神学者だよと。

君のパパは何もわかっちゃいないと言う人は多いだろう。そんな人は「経済学は科学 だ」と言う。物理学が数理モデルを使って自然を解き明かすように、経済学も数理モデル を使って経済の仕組みを解き明かすものだ、と。
だが、そんなのはデタラメだ。
「たしかに経済学者はすっきりとした数理モデルやたくさんの統計ツールやデータを使 う。しかし、だからといって彼らが本物の科学者だということにはならない。少なくと も、物理学者と同じ意味での科学者ではない。

この本を読んで「経済はやっぱり難しそうだな」と思いきや「専門家にもよくわかってないよ」と言う父なのでした。


奴隷の中でも洗脳されて幸せを感じてるのは最悪の愚か者だ

じゃあどうしたら良いの?ってなるけど「それはなんとなく経済わかったんだから自分で考えて」と父は言う。1つの詩を添えて。

私たちは探検をやめることはない
 そしてすべての探検の終わりに
 出発した場所にたどりつく
そのときはじめてその場所を知る

なんで格差は存在するのかを明らかにするために、経済を理解しようとしたら、やっぱり最初の問いにたどり着いた。
その問いに対してを筆者は民主化を答えとして提示した。
例えば、GoogleやFacebook、noteに対しても私たちはお金を支払っていない。これは一つの民主化といえるのではないだろうか。
そして、クラウドファンディングのCampfire。彼らは技術を使ってお金を民主化しているといえる。


技術が可能にしている民主化の形がきっとある。
あっさーい感想で締めます。


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