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3行日記 #163(置き去り、アスパラ、短パン)

三月二十一日(木)、くもりのち晴れ

夕方、商店街の喫茶店で。カウンターにいつもこの時間帯に見かける老夫婦がいるのだが、きょうはそのとなりに見かけないおじさんが座り、話し込んでいる。しばらくして、ガタン! と音を立て、おじさんが勢いよく椅子から立ちあがった。お客さんや! 片づけといて! コーヒーカップを置き去りにして、外に駆けだしていく。向かった先は、露天商の呉服店。その正体は、長いあいだ体調不良で店を休んでいた店主だった。

夜、妻の実家から分けてもらった寿司、アスパラと豆腐のお吸い物、玉子豆腐。チャックの散歩、妻の実家にむかう途中に、すれちがったひとの脚がふと目に入った。細いすね毛が揺れている。振り返ると、短パンをはいたおじさんだった。京阪の踏み切りをまたいで、西へ。図書館で本を返してから区役所をぐるっとまわって帰宅した。

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