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3行日記 #181(音の道、麦わら帽子、ピーピー豆)

五月五日(日)、晴れ

午前、実家の近くの神社のこども神輿が町内をまわるらしいので、散歩しながら神輿を探してみることにした。私も子どものころに参加していた祭りだ。神社に行くと、本殿の扉が開いている。なかで氏子の人たちが座って休んでいた。祭りの日にここでスルメをもらって齧ったのを思い出した。耳をすませると、遠くのほうから、太鼓の音と歓声があがった気がしたので、そちらのほうへ歩いてみるものの、いっこうに姿が見えない。おかしいな、おかしいなとぐるぐる歩きまわり、一時間ほどたったころにようやく遭遇できた。音が風に乗る。通りやすい、音の道がある。その方向に、音の源があるとは限らない。

昼、家に戻ると、おばあちゃんの妹家族が来ていたらしい。入れ違いだったようだ。家の屋根裏にハクビシンの親子が住みついてしまい、そのあとにアライグマがやってきてハクビシンを追い出した、という不思議な話を残していったらしい。先ほどのこども神輿がうちの町内にやってくる。私の実家の前でも、わっしょい、わっしょいと神輿を踊らせた。

午後、歩いて駅前まで散歩。出かける前に、妻が、帽子帽子といって探していると、お父さんもなぜか帽子をもってきて、おばあちゃんに麦わら帽子をかぶせた。途中、ドラッグストアに立ち寄ってシャボン玉のおもちゃを買う。堤防に行って遊んでみる。シャボンの液に浸かっている棒を引き抜いて、やー、と掲げると、大小さまざまなシャボンの玉が次々に生まれ、強い風に吹かれて、見えなくなるほど遠くまで流されていった。ぶーの家の前に行ってみたが、庭の草がぼうぼうに生い茂っていた。桜並木の木陰がつづく堤防を歩く。脇の草むらに昨日畑で刈った蔦がはっている。そこに豆の鞘がなっていた。ピーピー豆や、と妻が叫ぶ。鞘の腹を割いて、なかの豆を外してきれいにして、鞘の一部を斜めに切る。口に挟んで息を吹くと、びい、びい、と鳴った。駅前の商店街の角にある、老舗の果物屋の二階にある喫茶店で、ミックスジュースと苺ジュースを飲んだ。果物がたくさん入ったロールケーキがおいしそうだった。お土産を買ってバスで帰宅した。

夜、焼肉。NHKのドキュメンタリーで、サカナクションの山口さん。うつはみんなの中にあって、それがどんどん膨らんで大きくなって、ある限界を超えると決壊して溢れだす。心から身体に溢れ出てくる。つきあっていかなきゃいけない。あることを決めたんです。昔の自分に戻ることをあきらめた。うまく付き合っていく。自分の好きなものはあきらめない。コロナ禍中の出来事だったらしい。久しぶりにメンバーとスタジオで顔を見ながら音をあわせる。実際に会って話すことについて。

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