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3行日記 #182(見送る、スルメ、つるつる)

五月六日(月)、くもり時々雨
立夏、蛙始鳴、かわずはじめてなく、蛙が鳴き始める。
立夏、杜鵑啼血、とけんていけつす、ホトトギスが血を吐くようにすごい声で鳴いた。

午前、おばあちゃんが介護施設へお風呂に入りに行く。車椅子に乗ったおばあちゃんを見送った。玄関で待っているとき、妻がおばあちゃんとじゃんけんをした。じゃん、けん、ぽん。妻がグーをだすと、おばあちゃんは遅れてチョキをだす。妻がゆっくりパーに変えると、おばあちゃんがグーに変える。遅出しで負けていくスタイル。おばあちゃんの車椅子を乗せたバンが去っていく。昔、私が帰省すると、駅へ出発するとき、おばあちゃんは必ず外にでて、車がむこうの交差点の角を折れて見えなくなるまで、見守ってくれた。やがて、うまく歩けなくなって外に出られなくなり、玄関まで、居間のふすままで、ベッドの近くの椅子まで、ベッドの上に座って、と少しづつ変化していき、今ではベッドに寝たまま、また来るね、の挨拶をするようになった。そんなことを思い返しながら、遠ざかっていくバンの後ろ姿が見えなくなるまで、外に立って見送った。門のそとに、乾燥したスルメが落ちていた。

下痢気味だ。昨日の焼肉の脂が原因だろう。お腹がゆるい。そんなことを話していると、もう焼肉は行かない、と父が言った。今後は毎回、つるつるだ。

午後、京都に戻る。今回は新幹線に乗らないことにしたので、早めにホームにむかい、鈍行で帰ることにした。話題の敦賀駅の乗り換え。新幹線から新快速に乗り換えるひとが多いらしく、ホームを埋め尽くすほどの行列ができていた。私たちは一本遅らせることにして、いったん外にでて、銀河鉄道999のモニュメントの前で踊ったあと、話題の本屋を巡って、ホームに戻った。妻はまだ大丈夫じゃないと訴えたが、私は四十分前にホームに行くことにした。がらがらだった。

夜、焼きうどん、スープ。チャックの散歩、四日ぶりの再会。頭を押しつけてきた。小雨がぱらついてきたので、近所をくるっと回って帰宅した。

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