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3行日記 #203(チクる、牛蛙、いきいきと)

七月十二日(金)、雨のちくもり
小暑、蓮始開、はすはじめてひらく、ハスの花が咲き始める。
小暑、茅蜩夕鳴、ぼうちょうゆうになく、ヒグラシが夕方に鳴く。

最近のできごとを詰め合わせで。

最近、仕事でとある小学校に行く機会が増えているのだが、そのときの出来事。せんせい!女王アリ、ふまれた! 男の子が鬼気迫る表情で叫びながら訴える。男の子の奥に視線をやると、同級生くらいの女の子がこちらを振り向いていた。眼には怯えが漂っている。すると、先生がこう言った。今すぐだったら食べるはず、カマキリに食べさせてあげて! 小学生のころ、先生に「チクられる」のは、怖い体験だったなあと思い出した。ちなみに「チクる」の語源はなんだろうと思って調べてみると、告げ口の「くち」を逆さにしたものかららしい。日にちが変わり、昨日もその小学校に行った。顕微鏡を使っている。そういえば、レンズでプレパラートのうえに乗せた生き物を潰してしまわないか、びくびくしながらレンズを動かしたなあ、と思い出した。給食で食べた、はちみつレモンゼリーがかわいかった。

植物園でハスの動画撮影をしたときのこと。ハスは日の出とともに咲きはじめ、正午ごろから閉じはじめる。三回開いて、三日目は閉じずに散る。花が咲きはじめるときには、ポンっと音が鳴るという噂があるが、聞き取れなかった。水に濡れるとくっついて開かないという話も聞いたが、ほんとうなのだろうか。ウシガエルの鳴き声。声はするが姿が見えない。一時間後、ようやく居場所をつきとめた。水面から顔だけだして、鳴いていた。水面が小さな水草で埋め尽くされていて、そのうえをアリの行列がすぎていった。鳶の幼鳥の声がうえから降ってくる。高い木のうえに巣があるらしい。ピーヒョロロが少し崩れた感じの鳴き声だった。帰りに啄木鳥が樹を打つ低い音が聞こえた。姿は見えなかった。

外勤のついでに久しぶりに職場の事務所に寄ると、同僚のひとりがにこにこ見てくる。なんだろうと思っていると、そういえば、いつかの週末に四条の交差点ですれ違ったのを思い出した。あのときは、挨拶もしないですみません。顔が生き生きしていたので、違うひとかなと思って見てました、と言われた。

夜、野菜スープ、グレープフルーツ。チャックの散歩、南へ、団地を通り抜けて、大通りを渡って、金網のフェンスの横の細い路地を右へ。ぐるっと回って、神社を抜けて帰宅した。二週間ぶりの72時間は、岐阜の長良川だった。四十年前に水難事故で亡くした友達の子どもを弔うおばあちゃん。

#3行日記

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