【随筆/まくらのそうし】 梅エキス
梅エキス、なるものを作る。
これは青梅の汁を搾り、黒くなるまで煮詰め、瓶に詰めたものである。
簡単に言うが、これが酷い労働で、青梅をすりおろし、布で絞り、何時間も煮詰めるもので、まず梅をすりおろすというのが大変なのだ。
梅は酸が強いため、プラスチックや、陶器のすりおろし器がいいだとか、そんなことを言われるが、手作業など無理である……否、二、三粒は手ですりおろしたが、諦めが肝心、フードプロセッサーなる機械に任せる。
それでも相当な作業であって、汁が黒く煮詰まる頃には、くらくら、くたくた、参ってしまう。
しかし、この梅エキス、疲労回復効果が期待できるというわけで、出来たてを匙で一舐めすれば──と、まあ、そううまくは行かないが、十キロ以上もあった実が、小さい瓶の数個に収まり、しかしそう舐めるようなものでもなければ、一生分はあるだろうと、何か達成したような、満足感はあるのだった。
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