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【随筆/まくらのそうし】 松の薪

 松が欲しいと、山から切って持っていった人がいた。

 何に使うのかと言えば、陶芸の窯を焚くのに使うそうで、松は油が多く、温度が上がり、灰もとても良いのだそう。

 それで思い返すは、大工の言葉。

 松はねばりが効くからと、太いのを三つ、梁に使い、その切り落としたのを薪にして、積んでおけばその一言、松は竃を傷めるき使われんと、そう言った。

 そういうもんかと、そのときは知らず、言われたとおり使わずにいたが、あれは確かなことだったと、その人の言葉を聞いたのだった。

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