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苔が美しいというのは、日本文化に基づいた感覚であり、所変われば、苔は手入れの行き届いて…
ホタルブクロの白い花が咲く頃、黒に胸の赤い虫がつーと、低く飛んでいる。 これが飛ぶと…
益虫、益鳥なんてものは、人の勝手と分かっていても、その勝手な人類としては、それ同士で争…
ダンゴムシを平べったくしたような体に、長い触覚や尾を付けて、壁や畳の隅に佇む虫なら、そ…
久しぶりに梅酒を作り、これは酒のためならず、梅を食べたいということで作るのだから、人の…
珍しく、カニが左鋏に何か持ち、道を歩く姿を見かける。 ボルトの軸か、それとも細いジャ…
梅雨入りがひと月も遅れ、初めてグミを食べ尽くしたのだった。 あの赤い、卵形の木の実である。 果皮が柔く、雨でも降ればすぐに破れ、腐り、黴びてしまうので、たわわに成る実を仰ぎながら、雨はいつか、いつ降るかと、惜しむように食べるのが常、それがまさかの晴天続き、気づけば実はなくなって、あとは届かぬ木上に付くばかり。 田んぼをする人は頭が痛く、声も掛けられぬほど不機嫌で、息子の機嫌を老母が伺い、大変だよと愚痴を言う。 それがこれからの雨で収まるか。 水瓶は底を現
トチノキの枝が二本、折れている。 これが特別風の強かったわけでなく、台風や嵐が来たわ…
草むらを歩くと、いつのまにかくっついている、草の種子を「バカ」と呼ぶ。 オナモミやハ…
長い棘のような毛の生えた、いかにも毛虫という大きなイモムシが見えたので、どんなものかと…