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毛虫のヘッドバンキング

 長い棘のような毛の生えた、いかにも毛虫という大きなイモムシが見えたので、どんなものかと屈み込むと、毛虫がぶんぶん頭を振った。

 毛虫は天のほうを向き、茎に付いていたのもので、それがぶんぶんぶんぶん頭を振ると、その付いた草もぶんぶん振れる。

 まったく奇妙なものであると、人は嘆息をして見ているが、毛虫のほうは必死なもので、いつまでも頭を振り続け、これでもか、これでもかと威嚇する。

 そうだ、これは威嚇なのだと思いながら、これだけ人が驚くのである、鳥やら蛇やら、そんな天敵も驚くだろうと、なお見つめるのでたちが悪い。

 哀れな毛虫、人は興味にかこつけて、思いやりを忘れているのだ。

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