小学校で授業してきました。
現在帰省中。
地元の友達と飯に行くことになった。
相手は中学の同級生で、出席番号が隣だったことから割と仲の良かった女子だ。
というか、俺の中学時代は仲の良い女子が殆ど居なかったので、女子の中では1番話をした人かもしれない。
俺はあおさんというあだ名で呼んでいる。
直接会うのは成人式以来なので大体4年ぶりである。
ちなみに直接ではなくGoogle meetでは会っている。
今回会うのもその件があったからだ。
ー去年の11月、あおさんから突然DMがきた。
「いまわたし小学校の先生してて6年の担任なんやけど、将来お笑い芸人になりたいっていう子がいて、ぜひインタビューさせてほしいです!」
何も成し遂げていない俺が偉そうに語れることなど無いが、断る理由も特にない。
「俺でよければ!」と返事をした。
日程的に三重に帰るのは難しそうだったので、オンラインでやることに。
最初は職業体験的な感じで芸人になりたいという子とだけ話すのかと思っていたが、詳細を聞くと6年生全体が多目的ホールの大画面で見る形式らしい。
大勢の未来ある子供達の前で俺が授業。
売れない芸人が背負うには重すぎる未来である。
聞くところによると、色んな分野のプロフェッショナルに話をしてもらい、プロフェッショナル図鑑を作るという授業らしい。
そして俺は『笑いのプロフェッショナル』として呼ばれたのだ。
いやキツすぎる。
ギャラ500円のライブしか出られないのに誰が『笑いのプロフェッショナル』やねん。
松本人志クラスしか名乗ったらあかんやろそれ。
その子達が俺のこと気になって調べてもnoteしか出てこやんやろがい。
そうやって引き受けてしまったことを軽く後悔しながら当日を迎えた。
事前にある程度の質問リストを貰っていたが、当日は「なにか面白いことやってください」とか「笑わせてください」とか「そもそも本当に面白いんですか?」とか言われるのではないかとビクビク怯えながら自己紹介をした。
しかし意外にも、というと失礼かもしれないがその小学校の児童達は小6とは思えないほど民度が良かった。
質問にはある程度真面目に答えつつもたまにボケを混じえたり、滑舌が悪い男の子を執拗にイジったりするとめちゃくちゃ笑ってくれたのでとても良い雰囲気でやる事ができた。
まあ小6相手にスベったらもう終わりである。
俺から伝えられる事など大して無いのだが、
「どうしても叶えたい夢がある人は誰に反対されようとも貫き通した方がいい。」
「わかりやすい夢は別になくてもいい。無理に夢を持つ必要はない。」
この2つだけは伝えた。
俺のように夢を追いかけている人間は「夢を持て!」と他人に言うことが多いが、俺はそれがとても嫌いだ。
そうやって『夢を持つ=正義・楽しい』と刷り込むと、真面目に生きていける誠実な人間が悩むことになる。
わかりやすい夢を持つのもいいが、そんなものがなくても楽しく生きることはできる。
夢を持っていない人生が楽しくない人生だと思ってほしくない。
授業の趣旨とは違ったかもしれないが、それだけは伝えることができたので良かったと思う。
ーしかし俺たちも大人になったねと、メシを食いながら話していた。
俺たちも中学の同級生だったのに、気がついたら小学生に授業をしている。
大人だ。
とても大人である。
お店を出るので割り勘しようとすると、あおさんが俺の野口英夫を突き返し、会計をしてくれた。
俺が貧乏なので最初から払うつもりでいてくれたらしい。
ありがとうあおさん。
その後車の免許がない俺は、あおさんの車に乗り込み家まで送ってもらった。
ありがとうあおさん。
そしてあおさんは、1年後結婚するらしい。
おめでとうあおさん。
やっぱり、大人になったのはあおさんだけだったかもしれない。
大人になるペースは人それぞれ。
これも教訓である。
おしまい。
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