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さようならをちゃんと言えるのか。

やぁ、いらっしゃい。毎日バタバタ忙しいんじゃないか。来てくれてありがとう。

やばい事務所の机がちょっとずつ狭くなってきた。
手の届くところに色々奥から、周りがどんどんモノが集まる。

広々と机が使えないと下手したら雪崩が起きる。
気付いた時に片付けやらないとな、一分で終わるけど。

ペット産業。


ペットはお好きかな。私も飼ってるよ、猫さん。
癒やしの存在としていつも側にいてくれるペット。

かわいいから、寂しいから、愛しいから。
動機は様々、多くの人がペットを飼ってるよね。

実際、飼い始めたにも関わらず途中でそれを放棄し、行き場のなくなったペットが野に捨てられてしまうなんてこともある。痛ましい。

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このペット産業。何気に日本の経済を大きく牽引している市場で1兆7,000億円超と毎年数百億単位で増加傾向。

ペット売り場なんかも沢山あって、結構いい値段した子たちが売られているよね。餌や家、おもちゃやペット用医療なども充実してる点が経済を引き上げる。

生きとし生けるものはすべからず死を迎える訳で、お葬式も必ずセットで付いて回る。この市場が250億円超と増加傾向にある。

今日はそんなペット葬儀についてのお話だよ。

新しいビジネスモデル。


今ではペットが亡くなってしまった時、ちょっとスマホで探せばすぐにペット専門の火葬業者なんかが沢山出てくるよね。

これもここ数年の市場規模増大による、新規参入の増加が貢献している。

N氏はペット葬儀会社の代表を務めている。
10数年前から、一棟まるまる葬儀施設として近隣のペットを送り出している。

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当時は霊園に併設して、ペット用の墓地を設けている事業所などが対象となり、基本的には集合火葬。

N氏のビジネスモデルはオール個別火葬で、納骨、霊園供養まで一貫して行われるということで当時はマイナーながらも地域の業者さん立ち位置で利用者を増やしていった。

実際に、今も店舗の認知向上の為にお仕事をいただきながら打ち合わせも定期的に行なっている。

波はどうしてもあるものの、年間通せば安定して葬儀を施行していくようになっていった。

問い合わせの傾向。


N氏の会社は個別火葬以外にも他者との差別化が出来ていた。

N氏自体が異色の経歴で、色々な職種を渡り歩いた中でペット葬儀として携わっているがそれ以前に、お寺に従事しており僧名を拝している。

要はガチもんのお坊さんということで、ペット葬儀でもきちんと供養の念仏を唱え死者を悼む。

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また、ビル型ではあるが火葬後のお骨を納骨堂で管理するというのも好まれる。こちらはサブスク型ではあるが、1回忌、3回忌等の供養で飼い主を来店してもらい悼むサービスも継続的に続いている。

まぁ、月額だけ払いっぱなしで以降現れない飼い主も少なくはないんだが。
というより、それは半ば分かっているからこそビジネスにもなる。

顧客獲得に一役買っているのが、24時間対応。
こちらは根性仕様のアナログ。閉店後は転送でN氏の専用携帯に届くようにしている。

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死が訪れるタイミングは選べないため、長い夜間に事案が発生することは珍しくない。動揺した飼い主がスマホで調べ、対応可能かワンチャン狙いで電話をかけてくるパターンも少なくない。

寝ぼけながらも話しながら応対し、時間を定め予約を受け付ける。
基本的には翌日以降の空いている時間で再度連絡というパターンが多いが、あまりに緊急性を求められる場合は即対応も応じるケースがある。

動揺のあまり、暴言を吐いてしまうクライアントも少なくないが、慣れ過ぎたN氏は嗜めるか、1回激詰めする風変わりな坊さん。

何だかんだ式が終われば、飼い主は落ち着いて謝罪と感謝を述べる。
人は心情的に追い詰められると、想像と違う発言もしてしまうもんだと。

ペットブーム。


N氏は10年程前から、ひとり暮らしのペットブームには難色を示している。

ビジネス目線で言えば、10年も経過すれば当時のペットも葬儀が必要になるケースがある。ペットロスから新たなペットを飼う。それもまた顧客となる。良い循環といえば良い循環。

とは言え、きちんと飼ってるなら文句はない。
明らかに不審な飼い方をしている顧客もいるそうな。

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深くは詮索しない、亡くなったペットを悼む姿は本当の気持ちであると信じたい。失って気持ちが吹き出す姿を毎日のように見ているからこそ痛ましい。

最近でこそ、ペット保護団体のような動きを見かけることも増えている。
一昔前はおしゃれアイテムのようにメディアでペットを飼うような煽りが多かった記憶がある。これもまたビジネス扇動、良いとも悪いとも言えない。

N氏はお経を唱える時、顧客とペットの関係の経緯を想像しながら行うそう。悪態も多くつく人だが、仕事には真摯な姿だ。せめていい関係だったと思いたいのは理解出来る。

ライバル企業の到来。


それはそうと、世に多くのペットが放たれたということで世間の企業がその市場を放置することもなく。

徐々に、ペット葬儀にも競合が増えてきた傾向がある。

ペット供養は提携の霊園が管轄。
24時間対応は提携コールセンターが受付。
個別火葬も各社対応。

強みは徐々に踏襲されていくことで、根性だけでなんとかなる状況でもない。

また、移動火葬という亡くなったペットを訪問回収し、火葬後の骨壷を返却することで自宅にいながら葬儀を済ませるというのが最近の流行りだそう。

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ペットとの付き合い方も人それぞれ。
必ずしも供養や念仏といった儀式を求める客層ばかりというものでもない。

顧客層は広がり、移動火葬は非常に格安だ。

名言こそ避けるが、この移動火葬も闇が深い。遺体を渡して骨になって帰ってくるまで個別で行われているのか。その骨のすべてがペットのものなのか。

安い理由も色々あると思うが、やはり毎回個別での施行は光熱費だけでも半端じゃない。格安は数をこなして成立するビジネスモデル。N氏は業界に少し辟易の表情を見せることしばしば。

これから。


N氏の感慨などをよそに、ペット経済は隆盛の一途。

少子化ということで、人による構成の家族ではなく本格的にペットを飼うことで未婚の方も多くなっているのかもしれない。

経済的にも世の中優しくないしな、子供向けの支援も何とも言えない雰囲気でこの傾向は当分続きそうな感じ。

ライバルとの新規顧客の奪い合いも避けることは出来ない。
古いタイプのサービス形態では安さに負けるケースだってもちろんある。

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こういった産業はイノベーションの連続だ。
顧客が求めるもの、より市場が動く先にかかる網を張っておく。

今、ライバルが隆盛なのも数年前から仕掛けているものだろう。

だからと言って、N氏が急にスタイルを変えることもない。私の提案もそこに準じた出来ることをする。

今はただ、これからの動きを探るばかり。

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ここまで見てくれてありがとう。

楽しんでもらえたら最高です。
いつも来てくれることの感謝を禁じえない今日この頃。

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それでは、また。

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