【ショートショート】古城の幻影。
冒険心旺盛なレトロ建築愛好家の「ひとみ」と旅行熱心の「えーてぃーえふ」は、すごい価値のある宝が眠ると言われる遥かなる地の古城で運命的な発見をする。
探検中に見つけたのは、一見価値のあるレトロな壁飾りと、手作り感溢れる珍しい民芸品だった。ひとみは壁飾りに目を輝かせ、えーてぃーえふは民芸品に魅了される。互いの発見品に対する関心は皆無で、それぞれが自分の発見に没頭していた。
古城を後にし、それぞれが持ち帰った宝物を確認するためにカバンを広げると、そこにあったのはただの草と石。二人が城内で見つけたと思った壁飾りや民芸品は、どこにも見当たらない。手に残ったのは、草原と石畳の道に落ちている普通の草と石だけ…。
二人は一瞬戸惑うが、やがて笑い出す。古城で得たものとは、その場の雰囲気に引き込まれたという体験だったのかもしれない。
ひとみとえーてぃーえふは、それぞれが持ち帰った「草」と「石」を笑い話として楽しむようになり、それが二人の冒険の記念となる。
二人の経験は世に語られることとなり、価値あるものは必ずしも物理的に存在する訳ではないという教訓となっていった。
古城からは、新たな冒険者が魅力あふれる宝を嬉々として持ち帰る姿が今日も発見されたという。
…って話があるんだよ( '༥' )ŧ‹”ŧ‹”
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