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一四零の庭苑 1巻 完結

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X(旧Twitter)で毎日書いている140文字以内の短い詩たちです。 全1000話の第1巻となります。 マガジンのタイトルの意味は、X(旧Twitter)で140文字内で書いて…
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2023年5月の記事一覧

詩「いくつもの夜」

いくつもの夜を越えて行くんだ 僕は目指す 果てしない向こう いくつ夜を越えただろうか それでもまだ届かないあの場所 幻なんかじゃない 僕は僕に言い聞かせるんだ 挫けそうだ この夜 僕の顔は表情も色もなくす 刹那 言葉 挫折 脳裏を駆ける 「この夜も越えるから」 僕の唇は言う

詩「つまらないと言った」

「つまらない」 昨日もつまらなかった 今日もつまらない きっと明日だってつまらないんだ ふくれっ面をする 私は拗ねた 拗ねたところで大人のこと 部屋で誰にも見られなかったと安堵する つまらないと言った やれやれ自分に嫌気が差す 私の中は空っぽ 壁を見る 空しい 空回る

詩「雨の夜の誘い」

雨降る夜に 気が付けばグラス片手に窓辺に着き カランと氷の音、琥珀色に目をやり微笑 ひと口と口に含む 喉を通る頃には視線は窓の外 夜の闇に目を細め 雨の音に耳を澄ます 雨音以外の音はなし 独自感覚で静寂とす こんな心地の良い夜にはグラスが空く あと一時、この誘いに乗ろうか

詩「退屈」

あくびを一つした ついでにため息 「あ~」と声も出た 視線はどこも見てはいない、ただ目に何かが映っているだけ 退屈な時間があるのは幸せ、それとも不幸せ そんなことを考える けれども一定の時が過ぎて行くと、それは節操に変わり 次に焦りに変わり そして沈黙になる 退屈も奥深き

詩「自分と話す」

さて話そうか 僕はゆっくりと椅子に深く腰を掛け、目の前で指を組んだ、手は机の上に置く 姿勢は正している今は 顔が俯くと背中が丸まる やがて机に突っ伏してしまう 「話そう」 僕は小声で呟くんだ 向かい側の席には誰もいない あえて言うなら今回の悩みがいるんだ 自分と『話そう』

詩「思い」

「逢いたかったよ」 僕は思わず呟いたんだ 紙の上に並んだ文字 僕が綴った言葉たち 僕の心の奥底にあったものを形にしてくれた 嬉しいよ 涙が出る 泣けてくるなんて馬鹿だね、可笑しいよね けれども止まらないんだ、この雫がね ポタポタと紙の上に落ちる雫 僕の涙の雫は青いインクを滲ませた

詩「言葉と命」

言葉に触れた 柔らかく触れた 指先の感覚 響く音 輝きを放つのか 否、まだ私の手の中だ 否、そうだ私の胸の内だ 言葉に触れた その言葉は私に伝えた 印象 思い きっと何かを言いたいのだ もう一度、言葉に触れた 優しく触れた 私に伝わる言葉のそれ 「書こうか」 紙とペン 言葉とその命

詩「夜」

夜の香を嗜む 帳に酔う 夜の色を好む 微笑を浮かべ唇 夜の音を探す 酔い痴れ身を任す 嗚呼、夜 美しきと称える 惑わせしと身構え抗えず どっぷりと浸かる 時折、夜空の星の瞬きに我に返り 更には月の輝きに勝てず 唯、夜と 「夜よ」と呟く グラスを傾けた頃 夜明けまで逃れられない 負けと酔う

詩「僕の使命感」

降りて来たんだ どう伝えたらいいか迷うけれど ぶわっと風が渦巻いて降りて来て僕を包んだ そして足下から光りが立ち上って 刹那、僕の視界に入る世界の色が一段階上がった感じ 僕が何をしていたかって? 文章を書いていた 思わず立ち上がって 全身から使命感が溢れ出した これだて!

詩「話す」

言いたいことがある 話したいことがある 胸の内が熱い 聞いてくれるかな 聞いて欲しい こっちを見て! 目頭が熱く胸は詰まり、俯いた 「こんなんじゃ…」 ひとり言 あなたはまだいないのに 目の前にいないのに 震えが来る 拳を握る 『来た』 顔を上げた あなたの優しい笑顔がある 「あのね」

詩「迷う日」

今日は昨日と違う 明日は今日と違うはず 昨日も今日も明日もない 日々は繰り返しなんだ 迷路だ 自分に何かを言い聞かせる 自分に言い訳をして 自分を立たせようとするんだ 進め 進め 前を見て進め 止まるな 頭を空っぽにして 心を空っぽにして 胸の中の炎も見なかったふり 繰り返す 迷う日

詩「ベール」

私をベールで包む それは絹の肌触り、薄くしなやかで しかしそれは丈夫なもの 私が切り裂かなければ傷つかず 私以外は誰も傷をつけることが出来ない そのようなベール 私はベールに包まれる 安寧と高揚、可笑しな組み合わせ ベールに屈折の光、輝きに影 『隠れているの?』 否、神秘の内側

詩「書くことが好きだ」

「僕は書くことが好きだ」 『お前は小学生かっ!』といわれそうだが、僕は文章を書くことが好きだ そうだ、時に小学生のあの頃に戻ったっていい 乗ってきたぞ! 軽やかにキーボードを打つ モニターには僕の言葉が行儀良く並んでいる やがて喧騒が無くなる 僕だけの世界だ 行くよ

詩「ギラギラ」

ギラギラ燃え上がる 燃えているのは俺 ギラギラと聞いて照りつける太陽を思い出したか そうじゃない ギラギラは俺 俺の野心さ 俺の生き方さ 無頼者を想像したか 違うさ ギラギラは俺の色さ 燃え上がる俺の色 そして音だ ギラギラは俺の音 燃え上がる様、俺の音だ 今日も続く ギラギラ