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一四零の庭苑 1巻 完結

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X(旧Twitter)で毎日書いている140文字以内の短い詩たちです。 全1000話の第1巻となります。 マガジンのタイトルの意味は、X(旧Twitter)で140文字内で書いて…
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2021年6月の記事一覧

詩「雨音は調べ」

雨音を奏でるのは天に住む住人なのか…… 目覚めに雨音を聞いてしまうとまた眠りに誘われてしまう 日も高く上がるだろう頃に聞く雨音は私の焦りを沈めてくれて 迎える夜の前に聞く雨音は一日の終いを見直させるようで 窓から暗闇の中に雨の雫を見て雨音の調べを聴く 天の奏では深淵

散文詩「恋の瞬間」

君に恋した1秒前なんて覚えていないよ。 けれど、君に恋した瞬間は鮮明に覚えているよ。 世界が輝いたなんて恥ずかしくて言えない! 言えないけれど、正直輝いた。 それから上手く言えないんだけれど、世界が蕩けたんだ。 そうだな、空気が澄み渡っていい香りがした気がした。 それから……。

詩「幸せな笑顔」

あなたが幸せそうに笑うから私も笑った たぶん、幸せな顔で笑えたと思う 二人で居ることが当たり前となった けれどあなたの幸せそうな笑顔は昔から変わらない だから私も笑えるんだね 「どうしたの」 その幸せそうな笑顔で聞かれた 「うん、幸せ」 笑って返すと照れたあなた

詩「隙間」

ちょっとした時間の隙間 思い掛けず手が空いてしまった時間 虚しかったり 切なかったり 寂しかったりさ…… こんな気持ちが襲ってくる 目を逸らしたいけど逸らせない気持ち 涙腺が反応を送ってきたら逃れられない感じ 特別な出来事なんて何も起こってないのに そうだ! お茶の時間にしよう

詩「未来」

君未来を手放してはいけないよ 君の未来は君の手の中にあるんだ 誰かの手中にはない 君は未来を夢みていいんだ 君は未来に希望を抱くんだ 君は未来に進むんだ そう過去には戻れないのだから 君よ確かめてご覧 未来は胸の内にあるか 未来は手の中にあるか 己の中にあるか? 君よ掴め!

詩「詩人の戯れ言」

泳ぐ魚のように…… 私は書いていなければ死ぬんだ そんな風な戯れ言をいっている時はまだいい 命を削って書いているんだ 魂の叫びが欲するから書くんだ 少し重症になってきた あの深淵が呼ぶ あの光の道筋を表現しない詩人などいない 重症 戯れ言を漏らす そして書く!

詩「死ぬ気でやれ!」

死ぬ気でやれ! なんて軽く言ってくれるなよ 言ってるあんただってピンピンして生きてるじゃないか どの口がそれを言うんだ? 本音を言うとさ この言葉が心に突き刺さる程欲しい時がある けどな! そんな時は死ぬ程辛いんだ だが、あと一踏ん張りしたいんだ 死ぬ気でやれ!

詩「何度でも」

何度でも叫ぶ 何度でもやる 何度でも繰り返し 誰かが笑う? 放っておけ 誰かじゃない 自分がやると決めたことだから 何度でも挑むそこには己との戦いがある 藻掻き苦しむ足掻き涙する 辛いかもしれない苦しいだろう それでもやり遂げた先に掴むものがきっとある 最後に笑え!

詩「良いこと」

夜空をベランダからひとり眺める にこにことしている私 今日は良いことがあったんだ いくら戻しても勝手に口元が緩む 「物足りないな」 だから甘い甘いココアを持ってくる そんな気分なのだ ハァと溜息が出れば、ウフフと笑う お月様も笑っているように見える 「幸せ」と呟いた

散文詩「恋に」

「落ちたね、恋に」 「その……相手は俺?」 どの口が言うか! とその口の端を引っ張り上げ、その頬を抓ってやりたい。 それでも彼を好きなことに気付いてしまった私。 「言わない」 意地悪をした。 彼の表情が一瞬で曇り、私から目を逸らしそっぽを向いたので。 「そうよ」と付け加えた。

詩「詩人とは?」

馬鹿者である 賢者である 詩人とは必要で不要である 己の根本から叫んだ言葉が出ても 時に思い悩み考えた末にぽろりと言葉が出ても 天から授かろうが 己が踏ん張った人生を積み上げた末、授かろうが 詩人は詩人 天が人が呆れても そいつは今日も性懲りも無く言葉を紡ぐ

詩「生死の理由」

生きる理由 死ぬ理由 そんなものはあってはならないと思うんだ 漠然と生き 漠然と死ぬ 理由を求めた時に人であることを自覚し それに縋ろうとするのが人 生きろ! 死ぬゆけ! 人とはそのようなものであってもいいのではないか?

散文詩「天井と考えごと」

椅子にふんぞり返り暫くぼんやりと考えごとをする。 決まって暫くすると、過去の出来事を思い出す。 イライラしたり、不愉快になったり、仕舞いには下唇を噛む。 (ああ……) と、私の心の溜息が聞こえる。 不意に天井から目を逸らす。 私の心は楽になるのである。

詩「星空」

私、星空を見上げているの 涙が零れそうな時に見上げることもあるけれど 良いことがあった時も勿論星空を見上げるわ そうね、星空は夜になればどこにいたって見られるもの 嬉しい時悲しい時、私が顔を上げればそこにあるもの 「ねえ、私の話を聞いてくれる?」 見上げた星空に問うた