散文詩「恋に」

「落ちたね、恋に」
「その……相手は俺?」

どの口が言うか! とその口の端を引っ張り上げ、その頬を抓ってやりたい。

それでも彼を好きなことに気付いてしまった私。

「言わない」

意地悪をした。
彼の表情が一瞬で曇り、私から目を逸らしそっぽを向いたので。

「そうよ」と付け加えた。

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