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ブレない軸があれば、色々できる実例:ロシュと中外製薬の話

2002年に中外製薬がロシュの参加に入ってから、18年。
中外製薬会長の中山氏の記事はとても興味深いし、
製薬企業の方々のみならず多くの方にも是非読んでほしい。

特に、刺さったのはロシュのブレない軸があるところ。

ロシュが求めるのは他の株主と同じ。
1株当たりの利益を上げてほしいとか、
企業価値をできるだけ高めてほしいということだけ。


正直言うと、これだけ?って思うけれど、
これが凄いところ。

この背景には、こんなことあると書かれています。

「確かに10倍大きい会社がコントロールせず、金庫番も送り込まないのはおかしいと思うでしょうね。でももともと彼らも自主独立経営なんです。米国でバイオベンチャーを買収した際も社名はそのまま。米国ロシュを吸収させて運営を任せた。日本でも医薬品は中外に一本化しました。スイスは国内市場が小さいので海外で成功しない限り成功はない。世界中で運営し、状況によってはローカルに任せた方がいいという主義なんです」

こうした事情とかがある場合に大切になるのが、先ほどのブレない軸。
これに照らし見たときに、打ち手がどれほどその軸に貢献するのか?
この問いを発すれば全ての施策の意義を確認できます。

逆に言えば、
このブレない軸に沿っている限りなんでもできる!


私は中外製薬の強さはまさに、
このロシュから突き付けられていることを逆手にとって、
しっかりと戦略・戦術を練って、活動を続けてきたからだと感じています。

ロシュの経営で学んだことが書かれている部分は、
私の仕事上の色々な経験からも納得がいくものです。

・製薬大手は10年単位で世界戦略を考える
・国内製薬は、自分たちが持つ技術や資源で何ができるか考える。合併や大きく構造を変えるところまで考えない
・欧米大手は、遺伝子治療とか全く新しい技術がでてきたら、世界上位から脱落しかねないので、何年以内にその体制を完成させるかと考える

市場全体がどのように推移しうるのか
どのような製品・会社が幅をきかせているのか
注目する疾患や疾患領域のビズネス状況はどうなっているのか
どのような新しい技術が生まれつつあるのか
近年登場した新規モダリティはどう成長していくのか
といったことを長期に渡ってしっかりとしかも定期的に予測しておくことは
新しい戦略策定の基礎的な議論の叩き台になります。

こうした調査・分析は近年需要が非常に高まっていると感じています。

私の仕事は、こうした調査・分析業務を実施する(Deliveryパート)ことに加えて、お客様と話をしてどのような調査を実施するかを詰める(BDパート)の両面を担当しています。

で、弊社エバリュエートの事業内容を簡単に弊社日本語Twitterアカウントのプロフィールで書いています。

エバリュエートは、
医薬品・医療機器企業向けに開発状況や疫学などの基礎情報に加えて、
戦略策定や事業性評価に必要な価値の高いビジネス分析(マーケット情報や売上予測、NPV、成功確率や開発コストなど)を提供しています。


さて少し横道にそれましたが、
今月末で会長職を退く中山氏はこうも述べています。

もちろん10年先は誰も分からない。でもロシュは毎年技術を棚卸しして今後どうすべきか、すごく時間をかけて議論します。例えば3年後に特許が切れる医薬品の穴埋めが難しいと分かったら、その日からリストラ策を始めます。1株利益を絶対下げたくないと。米国のような短期主義とも違う。長期で計画し、短期でもマイナスを抑えるよう素早く動きますね

これはかなり大切なことで、常に自分たちの状況を把握し、さっさと動く。
そして何より大切なことは、10年後までの戦略は刻一刻と変化させる必要があると言う姿勢だと思っています。このために色々な調査・分析を実施し、社内技術の棚卸しを毎年実施し、常にアップデートを欠かさない。
毎年技術の棚卸しってさくっと書いてありますが、結構大変ですから・・・

愚直にやり続けることの凄みを感じてしまいます。。。。

そして編集長の締め括りの文章には、
今後の日本にとって大切な示唆が含まれていると私は感じています。

永山氏の発言からは、
十分な情報に基づく徹底した議論と、
経営の透明性が大切なことが浮かび上がる。

製薬企業は情報産業です。
情報をしっかりと収集し、分析して、自社戦略に役立てる意思と実行力がないとあっさりと時代から置いて行かれます。

例えば、日本国内だけでビジネスをしている場合ならそこまでしなくても良いという声を聞くことがあります。
日本が少子高齢化社会であることを考えると国内市場の先細り懸念が高い。先ほどのロシュのように国内だけでは足りないから、世界やアジアに打って出るとなると、やはり情報が必要となります。

なので、可能な限りの情報を俎上に乗せて、議論して、その議論から導かれた方向性をしっかりと発信しいくことは、大切な経営行為だと思います。

この記事ではゲノム編集技術を導入している7社の国内製薬企業中で中外製薬とエーザイが社名を公表しています。これも経営の透明性ということの現れの一つだと思いますし、株主に対しては新しい技術に対してはしっかりと対応をしているとのメッセージにもなります。

それもこれも、ブレない軸があるからだと思っています。


最後になりますが、実はこの記事には以下の図が挿入されています。
この図の下の方を見て欲しいのですが、
弊社のデータを使っている旨をご覧になって頂けると思います。

図らずもこのnoteを書いていて見つけた嬉しい発見!

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