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【妄想】10年来スラムダンクファンの私がの勝手に続きを考えてみた

今私の中でスラムダンクブームが巻き起こっている。

今というよりはここ10年ぐらいずっとブームだ。もちろん家に全巻揃っている。コミック版。何回も読んでボロボロになった全31巻。


選手の背番号ぐらいなら何も見ないで言える。
セリフも暗唱できる。

10年のムーブメントがあればこれぐらいはできる。

このnoteを読んでくださっている方も4ヶ月間の物語に魅了された人も多いと思う。

そんな熱の中、某ブログに影響されて私もスラムダンクの続編を書いてみた。最後に某ブログのリンクも貼っておくのでぜひ読んでほしい。というか知っている人も多いかもしれない。


Another Story

「 79-78で 」
「 湘北高校の勝ち!! 礼!!! 」

「「 あ(りがとうございま)したっ!!! 」」


その日、僕は高校バスケットボール界に残る試合を一番近くで見届けた。



2人との出会い


湘北高校体育館

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赤木 「よーし!新入部員は一列に並べ!」

「はいっ!」


赤木
「それではまず一年は自己紹介をしてくれ」
「名前、出身中学、身長、体重、ポジションだな」
「まずは一番左の君から頼む」

桑田
「はい!」
「二中出身の桑田です!167センチ、50キロ。中学時代はフォワードでした!」
「よろしくお願いします!!」


「よし次!」

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流川
「富が丘中出身、流川楓。187センチ、75キロ。ポジションは別に決まってなかったです。」


桑田
(流川くんだ、、、ほんとにうちの高校だったんだ、、、)


赤木 「次!」

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桜木 「桜木花道!和光中出身!188cm 83kg!!」


桑田 (あれが噂の桜木くんか、、、)

こうして桑田の天才2人とのバスケ生活は始まった。



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「湘北ーーーーーー!ファイ!!」
「お疲れさんでした!!!」

桑田 「あー!キッツイ!!」

石井 「ほんとな!高校の練習ってこんなきついんだな!」

桑田 「ほんとだよ、もう走りっぱなし。中学じゃ結構体力ある方だったんだけどこれはキツい。」


石井 「見ろよ、流川くん、自主練しているよ」

桑田 「さすが、すごいな。あ、桜木くんもまだやってる!」

石井 「俺たちには無理だな、あんな体力残ってないよ。」


石井 「あ、そういえば陵南高校との練習試合っておれらも出れるのかな!?」

桑田 「さすがに無理じゃないかな。人数的にベンチには入れそうだけど。」

石井 「だよなー。まぁ県ベスト4らしい、おれらが出ても役に立たないよな。」

桑田 「うん、そうだよな。」


マネージャーの激励

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ピピーーーー

「これから陵南高校対湘北高校の試合を始めます!礼!!」

「よろしくお願いします!!!」





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ピピピーー!!

「87-86で陵南高校の勝ち!礼!!」

「「 あ(りがとうございま)したっ!!! 」」



負けたとはいえ、県ベスト4の陵南高校に1点差。
湘北高校にとっては大きな収穫を得たゲームとなった。

桑田 「先輩たちすごかったよなー!赤木先輩とか魚住さんを完璧に抑えてたぜ!!」

石井 「流川もさすがだよな!仙道相手に負けてなかったよ!デビュー戦で25点も取るなんて凄すぎだよ!」


バシ!バシ!!

桑田・石井 「イタッ!って彩子さん何するんですか!?」

彩子 「感心してばっかりじゃないの!流川だってあんたたちと同じ1年よ。それに桜木花道なんてついこの間バスケ始めたばっかりであんた達よりシュートもドルブルも下手なんだから。あんた達も頑張れば試合に出れるわよ。」


桑田・石井 「はい!!頑張ります!!!」

それだけ言うと彩子はどこかに行ってしまった。


桑田 「とはいえ、俺たち背も低いし、運動能力が高いわけでもないしなー」

石井 「そうだよな、あんなリバウンドとれたり、ダンク決めれたりしないもんな」

桑田 「でも試合に出るチャンスはあるかもしれないから練習にはしっかりついていこーぜ!」

石井 「おう!そーだな!」



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そしてインターハイ神奈川予選が始まる。


湘北高校は予選トーナメントを順調に勝ち進み、全国常連の翔陽高校を撃破する番狂わせを演じる。


そして迎えた決勝リーグ1回戦。

「90-88。海南大附属高校の勝ち!礼!!」

「「 あ(りがとうございま)したっ!!! 」」

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湘北高校は王者海南大附属高校に惜敗した。最後が桜木のパスミス。



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「お疲れさんでした!!」

桑田 「ぶはー!!最近練習きつくない?!」

石井 「キツいキツい!やっぱり海南に負けて後がなくなった影響なのかな。」

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赤木 「200本目!」

桜木 「ふんぬー!」

ガンッ!

赤木 「バカモン!力んどる!肩の力を抜け!」

桜木 「ぬっ!200本目!!」


石井 「桜木くんすごいよなー、練習後のあれだけ動けるなんて」

桑田 「ほんとだよ、俺なんてもう動けないよ。」

石井 「俺も。俺たちはまず練習で体力つけるところからだな。」


バスッ!バスッ!

反対側のゴールでは流川が黙々とシュート練習を繰り返していた。



努力する天才

そして湘北高校は宿敵陵南を破り、初の全国大会出場を決める。

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インターハイ3日前、インターハイに向けて疲れを残さないために練習は軽めに切り上げた。

石井 「桑田ー、帰ろうぜー」

桑田 「俺、今日はちょっと残っていくわ。先帰ってていいよ!」

石井 「そっか、わかった!疲れすぎない程度になー」

桑田 「おう、ありがとう!」


湘北高校はインターハイを決めた後、静岡で強化合宿を行なった。だがその合宿に桜木は来なかった。安西先生と個別で特訓を行なったのだ。

特訓内容はシュート2万本。

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特訓を消化した桜木はわずか1週間でジャンプシュートを習得。

桜木の進化を目の当たりにした桑田はその日から、全体練習後に個人練習をするようになった。


桜木が黙々とシュート練習を続けるゴールに桑田は近づいていった。

桑田 「桜木くん、僕もこのゴールでシュート練習していい?」

桜木 「おお!クワか!」
(自主練で会話するうちに桜木は桑田のことをクワと呼ぶようになった)

桜木 「いいぞ、ただしこの天才の邪魔にならんようにな」

桑田 「ははっ、わかってるよ」


ザシュッ
ザシュッ
ガンッ
ザシュッ


桑田 「ねぇ、桜木くんはなんでそんなに練習するの?」

桜木 「む?」

桑田 「高校入学までバスケットなんて知らなかったよね?なんでそんなに夢中になれるのかなーって」

桜木 「親父と約束したからよ」

桑田 「約束?」

桜木 「ああ、ルカワに勝つってな」

桜木 「そのためにはルカワの3倍練習しろって言われたんだ。だからあいつがあーやって練習してる間は休むわけにはいかねー。」

桜木と桑田の反対側のゴールでは流川と三井が1on1を繰り返していた。

桜木 「ま、この天才には努力なんていらんのだがね。ルカワを超えるのがちびーっと速くなるらしいからやってやってるんだよ」

そう言うと桜木はまたジャンプシュートを打ち始めた。


桑田
(そうか、才能ある人たちもこんなにも練習してるんだ。この学校で才能ない僕が試合に出るためには練習量で負けてたらダメだ!)

桑田もまたシュート練習に戻った。



そして、、、

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「 79-78で 」
「 湘北高校の勝ち!! 礼!!! 」

「「 あ(りがとうございま)したっ!!! 」」


高校バスケ史に残る番狂わせが起きた。
桑田はそのゲームをコートの一番近くで目の当たりにした。

天下の山王工業の最大の武器は練習に裏打ちされたゾーンプレス。圧倒的な運動量だった。

そのゾーンプレスを破ったのはコートで一番小さい男のドリブル。

歴代最強とも呼ばれた高校に引導を渡したのはコートで一番バスケット歴の浅い男が猛特訓の末に習得したジャンプシュートだった。


桑田の目にはこの日の試合がしっかりと焼きついていた。


山王高校との戦いで全てを出し尽くした湘北高校は続く愛和学院戦で嘘のようにぼろ負けした。

こうして桑田の最初のインターハイは終わった。

インターハイ(桑田1年)
出場時間:0分


新チーム始動

そして春を迎え、新入生が入ってくる時期。

例年通りであれば、湘北高校は普通の学校のバスケ部と多くても10人程度の入部希望者。

しかし、今年は違う。

インターハイで王者山王工業を撃破、冬の選抜は海南に敗れたものの、神奈川でも有数の強豪校として認知されていた。

湘北高校バスケ部の入部希望者は50人を超えた。


宮城 「よーし!1年は集合!!」


キャプテンの宮城が声を張り上げる。

安西 「ほっほっほ、今年は賑やかですね。」

彩子 「そうですね!うちもベンチメンバーを選ばないといけなくなりますね」

安西 「ほっほっ、嬉しい悩みですね」


桑田 「すげー、あれ全部俺らの後輩になるんだぜ」

石井 「信じられないよな。あ、西中の田野瀬だ!うちの中学、あいつ1人にやられたんだよな」

桑田 「北中の七村もいるぜ、あいつ全中でもかなり活躍してたぜ。」


桑田と石井が話していると

桜木 「ビビるな!1年坊主ども!」

桑田 「桜木くん!」

石井 「今日から僕らは2年だって。」

桜木 「ぬ?そうか。」

桜木 「やつらは高校バスケがどう言うものかを知らん。うちの練習についてこれるのか。」

流川 「テメーはバスケ自体を知らねーだろ(ボソッ)」

桜木 「ぬ!ルカワ!!エラそーに!!!」

桑田 「確かに。今はだいぶ慣れたけど、入ってすぐの頃は練習きつかったもんな。それに今は入部した頃よりも練習量増えてるし」

石井 「でも流石に少し軽くするんじゃない?いきなりガツンと減っても困るでしょ」


宮城 「よーーし!1年はグラウンド50周!!!」


桑田・石井・彩子 「「  50周 !? 」」

彩子 「リョータ、いくら何でもそれはやりすぎじゃ、、、」

宮城 「入部テストだよ、あやちゃん。全国目指すんだ、これぐらいで脱落してるようなやつはいらない」

彩子 「でもこれはやりすぎじゃ、、、」

安西 「ほっほ、まぁいいじゃありませんか、キャプテンが考えて決めたことです。見守りましょう」

宮城 「はぁ、でも考えたと言うよりはテンパって思いつきで言ったぽいんですけど、、」


桑田・石井 「去年入部でよかったー。」
桑田と石井はホッとした。



キャプテンとの特訓

ある日の練習後

桑田 「宮城さん、1on1お願いしていいですか?」

宮城 「お、今日もやるか!いいぜ!!」

インターハイが終わってから桑田は宮城に1on1の練習をお願いするようになった。勝てるレベルにはいたっていないが、ボールハンドリング、キープ力、シュート精度は少しずつ上がってきている。

宮城 「お前みたいなやつが腐らずに練習続けてくれると俺も嬉しいよ」

桑田 「はい!あの2人よりも練習しないと一生追いつけないですから」

反対側のゴールでは桜木と流川がシュート練習を続けている。


ダムダムッ

ザシュ!

宮城が鋭いドライブで桑田を抜き去りレイアップを決める。

桑田 「だめだ、また決められた。。」

宮城 「ボールを見過ぎだな、ボールを見てから反応してるからどうしても遅れちまう。相手の目を見つつ全体の動きに意識を配る。相手の動きを予測するんだ。」

桑田 「はい!」


この日も桑田は宮城を一本も止められなかった。

桑田 「ありがとうございました!」

宮城 「おう!お疲れさん!またやろーぜ!」

桑田 「はい!よろしくお願いします!」


桑田はお辞儀をして体育館を出て行った。


ピタッ

宮城 「つめたっ!」

彩子 「はい、リョータ。お疲れさん」

彩子がポカリを私ながらリョータの隣に座る。

彩子 「あやちゃん、まだ帰ってなかったんだ。」

彩子 「今年は新入生も多いからね。マネージャーも大変よ」

彩子 「そっか、お疲れさん」

彩子 「くわちゃんはどう?よく一緒に練習してるみたいだけど。」
(彩子は桑田のことをくわちゃんと呼んでいる)

宮城 「だんだん上手くなってるよ。何より練習後に毎日これだけやってるんだから体力はとんでもないぐらいついてる。ボールハンドリングとかシュートも上手くなってきてるし」

彩子 「あの子、山王戦が衝撃だったみたいよ」

彩子 「そーなの?」

彩子 「ほら、山王のゾーンプレス。もちろん選手個人の能力も高いけど、一番は練習量。だから練習に目覚めたんですって」

宮城 「ま、そのプレスを1人で突破したのは俺だけどね!」

彩子 「はいはい」

宮城 「まぁでも練習が大事って気づいてくれてよかったよ。ほら、あの代って流川とか花道みたいな才能の塊みたいなやつがいるじゃん?結構あーゆーのを目の当たりにして腐るやつが多いんだよね」

彩子 「くわちゃんも最初はそうだったわよ、練習ついていくのが精一杯でそれだけで満足してた。変わったのは桜木花道がジャンプシュートを覚えたあたりかしら。めちゃくちゃ練習してるのを見て、練習し始めた感じだったわね」

宮城 「あやちゃんよく見てるね。」

彩子 「マネージャーですから」

宮城 「頼りになります」

宮城 「でもそういうやつが出てきてくれると嬉しいよ。バスケってどうしても背が高いやつが有利とか身体能力で見られるんだけど、そうじゃないってことを見せつけないと。でかいやつには負けられねー。」

彩子 「あーゆー子がキャプテンに向いてるのかもね」

宮城 「えっ!俺じゃダメってこと!?俺できてない!?!?」

彩子 「あんたもしっかりキャプテンできてるわよ、いちいち反応しないの」

宮城 「だってさー。」

宮城 「でも確かにそうかもなー。才能溢れる奴ら(花道と流川)よりも才能に恵まれない努力家の方がみんなの見本になりやすいかもな」

彩子 「まーでも、今年はあんたの年なんだからしっかり頼むわよ!キャプテン!」

宮城 「おう!任せろい!!」


与えられた機会


インターハイ神奈川県予選最終戦

湘北高校はリーグ戦第1戦、第2戦に勝利し、インターハイ出場を決めていた。第3戦は同じく2勝の陵南。

牧がいなくなった海南は湘北の流川、陵南の仙道を止める術を持っていなかった。まさかのリーグ戦2連敗。海南のインターハイ連続出場記録は16年で途切れた。



そして迎えた陵南vs湘北。1位決定戦。

チームのボルテージは自然と上がっていた。魚住は引退したもののレギュラーメンバーがほとんど残っている陵南に対し、湘北は1年2人をスタメンに加えた新布陣。

桑田はこのチームでもレギュラーは勝ち取れなかった。司令塔のポジションにはキャプテン宮城がいた。


試合は拮抗。

前半終えて42-40。陵南が2点リード。


そして後半開始早々、流川・桜木の2年生コンビが爆発。一気に得点を重ねる。

陵南も仙道・福田を中心に反撃に出るが、湘北の勢いを止めるには至らず後半12分の時点で72-67。湘北がリードを奪う。


しかしそんな中、湘北にアクシデント。


ピピーーーーー

「レフェリータイム!」

綾子「リョータ!!」

桜木「リョーちん!!」


コート上には足を抑えた宮城が倒れている。

宮城 「いてて、、、」

陵南の選手と接触した時に足をひねったらしい。

担架に乗せられてベンチに運ばれる。


宮城 「ふざけんな!こんなとこで交代してられるか!」

彩子 「ダメよ!リョータ!悪化させたらどうするの!?」

宮城 「あやちゃん!でも、、、イテッ!」

安西 「宮城くん交代です。全国で勝つためです。」

宮城 「全国、、」

綾子 「そーよ、ここで悪化させて全国出れなくなったらそうどうするの!?」

宮城「あやちゃん、、、、わかったよ。」

安西 「よろしい。代わりは桑田くん。いいですね?宮城くん」

宮城 「頼んだぜ、桑田」

桑田 「は、はい!」


一方、陵南ベンチ

彦一 「宮城さんは交代なんやろか、、、」

仙道 「どーだろな、ひどい怪我ではなさそうだが、大事をとるかもな。」
(あいつの性格上は出たがるだろうけどな)

田岡 「ここがチャンスだぞ!湘北のガード陣は弱い!特に交代直後は浮き足立っている!ゲームに入りきれない間に一気に叩くぞ!」

陵南ベンチ 「「おう!!!」」

田岡 「越野、植草、再開直後に仕掛けろ」

越野・植草 「はい!」


ビーーーー

審判 「再開します!」

桜木 「行くぞーーー!」

湘北メンバー 「「おう!!」」


越野 「行くぞ!」

陵南 「「おう!!」」


桜木 「クワ、落ち着いていけよ」

桜木が桑田にスローインでボールを入れる。

ダムッ

桑田がワンドリブルついた直後

キュッキュ!

植草と越野が桑田の前に現れた!

「ゾーンプレス!!」

桜木 「クワ!戻せ!」

しかし桜木へのパスコースは越野・植草の巧みなディフェンスによって断ち切られている。


桑田 「くそっ!隙がない!」

少しずつコートの隅へ追い詰められて行く。

ビシッ!

植草の手がボールを叩いた。

越野 「ナイスカット!」

越野がボールを拾いそのままレイアップへ

ザシュッ!

72-69

桜木 「くそっ!」


再びスローインを受け取った桑田が陵南の3年生コンビに捕まる。


バシッ!

前線に大きくパスを出そうとした桑田の手からボールが弾かれる。

今度は越野だった。

植草 「ナイス!」

植草は拾ったボールでそのままレイアップ。

ザシュッ!

72-71。

桜木 「クソッ!やつら卑怯な真似しやがって!」

桜木がボールを拾ってスローインに向かおうとした時


ドカッ!

桜木 「イッテェ!」

流川 「どけ、俺がボールを入れる。テメーはゴール下にいろ。」

桜木 「なんだと!テメーに何ができる!?ルカワ!」


「お、仲間割れか?そりゃあ助かるな」

振り向くと流川のマークマン、仙道。

桜木 「ぬ、センドー」

流川 「いいから早く行け。時間がなくなる」

流川はスローワーの位置に歩いて行った。

桜木 「ルカワめ。エラそーに指図しおって。」
桜木 「やい、センドー!テメーは俺が倒す!忘れんなよ!!」

仙道 「おう、また後でな」


流川はこれまで同様、桑田にボールを入れる。

桑田は越野・植草に囲まれる。

流川 「ヘイ」

流川が桑田の元へ手渡しでボールを受け取りに行く。


ダムッ!

ボールを受け取った流川は一気にトップスピードに乗り越野を抜き去る。

仙道と並走しながらサイドライン側を一気に駆け上がる。


陵南のゾーンプレスを突破。


センターラインを超えたあたりでスピードを緩め、ボールを桑田に戻す。


桑田 「よーし、一本!」

落ち着きを取り戻した桑田は目の前の植草を見ながら、フリーの選手を探す。

桑田 「桜木くん!」

福田のマークを振り切った桜木にパス!


パスを受け取った桜木はそのままシュートに向かう!

桜木 「ホッ!」

桜木のマークマン福田はジャンプしてブロックを試みる。

しかし桜木は飛んでいなかった。

桑田 (宮城さん直伝のフェイク!)


ダムッ!

ジャンプした福田の横をドリブルで抜き去りレイアップ。

バスッ

74-71。


桜木 「クワ!ナイスパス!!」

桑田 「うん!!」

2人がハイタッチを交わす。


この一本で桑田は落ち着きを取り戻した。

ザシュ!

桜木 「クワ!ナイスシュート!」

桑田 「おう!」

練習していたジャンプシュートも決まり始める。



試合は拮抗した。


ザシュ!

試合時間残り18秒。

仙道のミドルシュートがリングをくぐる。

84-85。陵南1点リード。


桜木 「ぬぅ、センドー!」

桑田 「桜木くん!早く!!」


ダムッ!

パスを受け取った桑田は一気にフロントコートにボールを運ぶ。


ビッ!

そして流川へパス!


流川、仙道と対峙


ダムッ!

ゴールへ向かうが抜ききれない!


そのまま強引にシュートへ向こうおうとしたその時


桑田 「流川くん!」


桜木のスクリーンを使ってフリーになった桑田


その桑田の元へ流川からパスが渡る

仙道 「なに!?」


試合時間残り2秒

ビッ


桑田の思いを乗せたシュートが


ガンッ!


リングに弾かれた


「ビビーーー!試合終了!!」


湘北は陵南に敗れた。


インターハイ神奈川県予選(桑田2年)
1位:陵南高校 3勝0敗
2位:湘北高校 2勝1敗
3位:海南高校 1勝2敗
4位:翔陽高校 0勝3敗
(2位までがインターハイ出場)

総出場時間:28分
記録:6得点9アシスト


そしてインターハイ。

「ビビー!試合終了!!」

「79-75で名朋工業の勝ち」

湘北はベスト8で名朋工業に敗れた。


インターハイ(桑田2年)
総出場時間:12分
記録:4得点7アシスト


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インターハイの数日後

桑田は1人体育館にいた。

ザシュ!
ザシュ!

テンポよくボールがリングを通過する。

桑田 「インターハイ予選は僕のせいで負けた。来年は宮城さんがいないんだ。他の先輩たちもいない。もっと練習して桜木くん、流川くんとコートに立てるようにならないと!」
(宮城は冬の選抜までは引退しない)


キャプテン就任

そして宮城の引退をかけた選抜が始まった。

負けたら宮城の引退が決まる試合、湘北メンバーの気合は十分だった。


しかし

「ビビー!」

「79-78!海南高校の勝ち!」

湘北は準決勝で海南に敗れた。

負けたら3年生が引退するのは他校も同じ。

夏のインターハイを落としている海南の気迫が湘北を上回った。

神宗一郎:35得点(3P:21得点)

湘北は追い詰められた絶対王者のエーススコアラーを止められなかった。流川、桜木でも止められない、この日の神はそれほどまでに神がかっていた。


宮城 「最後は全国行けなかったかー、悔しいけどしょうがないな」

宮城 「桑田、来年は頼んだぜ!」

桑田 「はい...!」

海南戦前日、桑田は宮城と安西に呼び出されていた。
宮城 「桑田、俺らは明日負けたら最後だ」

桑田 「そんな!勝ちましょうよ!」

宮城 「もちろん全力で勝ちに行くさ、可能性の話をしているだけだ」
宮城 「明日負けたら俺らは引退。次のキャプテンはお前に任せようと思う」
桑田 「えっ....」

宮城 「先生とも話し合った結果だ」

安西が静かにうなづく。

桑田 「でも!僕ほとんど試合に出てないですし!」

宮城 「そりゃあ、俺の控えだからしょうがない」
宮城 「それに試合に出てるかどうかは大事じゃない、試合なんて高校バスケのごく一部だ。試合以外の時間の方が長い。お前の努力は俺も安西先生も知ってる。お前なら花道・流川を含めた湘北高校バスケ部を全国優勝まで導けそう、そう思ったからお前にやって欲しいんだ。」

桑田「宮城さん、、、わかりました。頑張ります。」

そして海南戦の翌日、

体育館に集合したバスケ部メンバー。

3年生は引退。今日から新生湘北高校バスケ部だ。


桑田 「新キャプテンの桑田です。」
(ドキドキ...)

桜木 「クワー、緊張してんじゃねーよ!カッカッカ!」
桜木が離れたところからヤジを飛ばす


宮城 「花道、からかってやんなよ!」
宮城 「俺らは昨日で引退。全国制覇の夢はお前たちの代で成し遂げてくれ!」

桜木 「おう!任せろい!」
流川 (コクリ)
桑田 「はい!頑張ります!」

宮城 「新キャプテンは俺と安西先生で相談して決めた。最初は慣れないところもあると思うからみんなで支えて欲しい。」

桜木 「クワはちょっと頼りないからなー、カッカッカ」

宮城 「桑田に限らず最初はみんなそうだ。俺もそうだった」

彩子 「確かにリョータも緊張しっぱなしだったもんね」

宮城 「あ、あやちゃん!!」

桜木 「カッカッカ!」

宮城 「とにかく俺らの全国制覇の夢はお前らに託した!頼んだぜ!」

桜木 「おうよ!クワ!さっさと練習始めよーぜ!!」

桑田 「よーし!じゃあまずはランニング!!」


こうして新生湘北バスケ部は始動した。


もう1人の天才

春、桑田たちは3年になった。高校バスケ最後の1年である。

そして去年同様、湘北高校バスケ部には多くの入部希望者。

有力選手も多くいる中、一際目立つ選手がいた。

相葉 玄(アイバ ゲン)
全中優勝チームのポイントガード。スピード、突破力があり自ら切れ込んで崩していくタイプのポイントガード。宮城とタイプが似ているが、身長178センチと宮城よりも10センチ高く、ダンクもできる。


相葉 「桜木さん!初めまして、相葉と言います。去年のインターハイの名朋戦見てました!森重さんとのゴール下の勝負めっちゃしびれました!」

桜木 「1年坊主、よく見てるな!次は俺が勝つ!」

相葉 「去年のキャプテンは宮城さんでしたよね?今年のキャプテンは桜木さんですか?」

桜木 「いや、俺じゃない。キャプテンはあいつだ」

桜木は桑田を指差す。

相葉 「そうなんですね、てっきり桜木さんがキャプテンと思ってました。」

桜木 「確かに俺様はかつて次期キャプテンと呼ばれた男だからな!わかってるじゃないか!1年坊主!」

桜木 「おーい!クワ!1年坊主がお前に挨拶したいって!!」

桑田が桜木たちの元に駆け寄る。

相葉 「初めまして!相葉です!本日から入部させていただきます!」

桑田 「相葉くん。初めまして。キャプテンの桑田です」

相葉 「宮城さんの抜けた穴は自分が埋めるつもりなんでよろしくお願いします!」

桑田 「お、いいね!頼もしいね。僕も負けないよ」

桜木 「ヒッヒッヒ。バチバチしてやがる」



ある日の練習後

相葉 「流川さん、1on1の相手してもらえませんか?」

流川 「いーけど」


ダムッ

相葉が流川の横を抜ける

流川 「!?」


「流川くんが抜かれた!」

「いや、まだだ!」


バシィ!

相葉がそのままレイアップを打とうとしたところで流川が後方からブロック。

相葉 「マジかー、あそこから届くんすね!」


ザワザワ...

「ブロックされたとはいえ流川が抜かれたよ」


安西 「ホッホッホ、これは楽しみですね。」

湘北高校バスケ部は強力な1年生を手に入れ、最後のインターハイに挑む。



勝ち取れなかったポジション

インターハイ県予選を1週間後に控えたある日

湘北バスケ部紅白戦が行われた。

赤チーム:桑田、流川、他3人
白チーム:相葉、桜木、他3人


ダム!

相葉が桑田を抜き去ってそのままレイアップ


桑田 「流川くん!」


流川から桑田にパスが渡る

スクリーンを使ってフリーになった桑田のジャンプシュート

ザシュ!


自ら仕掛けてチャンスを作る相葉と
チャンスメークに徹し、自分がフリーな時は外角からのシュートも打てる桑田

試合は拮抗した。


晴子 「すごいすごい!みんなすごい!」

安西 「ほっほっ、これは贅沢は悩みですね」



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インターハイ神奈川県予選 決勝リーグ初戦

安西「それではスタメンを発表します。」

安西「ポイントガードは相葉くん」

試合前日
安西「明日のスタメンは相葉くんで行こうと思います」

桑田「そうですか」

安西「でも桑田くんは試合開始からいつでも行けるように準備しておいてください」

桑田「はい!」

安西「相葉くんを選んだのは、宮城くんのスタイルに近かったから。宮城くんが1年かけて作ったチームにフィットしたのが相葉くん。それだけです。」

安西は続ける。

安西「最初は相葉くんでスタートするというだけです。局面によって桑田くんにスイッチします。あるいは相葉くんに2番の位置に入ってもらって2人同時出場もオプションの1つ。君が3年間努力し続けたおかげで私は毎日悩んでますよ」

そういって安西は微笑んだ。

桑田「先生。。」

相葉の加入により戦力ダウンがほとんどなかった湘北は神奈川予選を全勝で突破した。安西は宣言通り、桑田・相葉を併用した。

インターハイ神奈川予選(桑田3年)
総出場時間:48分
記録:20得点30アシスト


インターハイ本戦を数日後に控えたある日

桑田 「相葉、1on1の相手してくれないか?」

相葉 「いいっすよ!やりましょ!」

ダムッ!
ザシュ!

桑田の横を駆け抜けた相葉がレイアップを決める。

桑田 「くそ!もう一本!」

相葉 「お願いします!けど珍しいっすね、桑田さんが1on1なんて。普段はシューティングばっかりしてるのに」

桑田 「お前が入学してくるまでは結構宮城さんに相手してもらってたんだよ。宮城さんの跡を継ぐつもりだったからさ。でもお前が入学してきて、わざわざ僕が宮城さんタイプを目指す必要はなくなった。だから僕が外から打てるようになった方がチームとしても強くなると思って。」

桑田 「でも全国ってなると、相手も強くなるからさ。少しでもディフェンスを強化しとかないと。」

相葉 「そうだったんすね。先輩、今度シュート教えてくださいよ!桑田さんと流川さんいなくなると外角弱くなるんで、俺練習しときます!」

桑田 「いいよ、じゃあ明日はシューティングな。今日は俺の1on1に付き合ってくれ!」

相葉 「はい!もう一本行きましょ!」


ラストゲーム

そして迎えたインターハイ決勝

vs山王工業

試合時間残り5分 スコアは66-68、山王工業2点リード


「湘北高校選手交代です!」


背番号4番、キャプテンがコートに立った。

相葉との交代ではなく同時起用。

桑田 「流川くんと相葉くんにどんどん回していくから積極的に仕掛けていって!あと桜木くんもゴール下で1:1になったら回していくよ!」

桜木 「おう!任しとけ!!丸男ぐらいラクショーだぜ!」
相葉 「うす!先輩もフリーになったらどんどん打ってください!」
流川 (コクン)


桑田「よし!行こう!!」

試合は拮抗する。

桑田による外角のオプションを加えた湘北はほとんどの攻撃を成功させる。しかし山王もほとんど攻撃を落とさない。


試合時間残り15秒
84-85 山王工業1点リード

湘北のラストアタックが始まる。

桑田 「一本!」

桑田がボールをフロントコートに運ぶ

桑田 「流川くん!」

ボールを受け取った流川、少し左右に振って

ダムッ!

目の前の相手を一気に抜き去る!

しかし山王工業も必死のディフェンス。

他の選手がカバーし流川をストップ!


桜木「パーーーース!!」

ビッ!

流川が出したボールは桜木へ。


桜木「いくぞ!丸男!!」


しかしここにもカバーが入る。
山王工業、見事なローテーションで1:1を作らせない。



そこに、、

桑田 「桜木くん!!」

湘北が誇る天才2人にマークが集中したことで桑田がフリーになった。

そこへ桜木からのパス。


試合時間残り2秒。
桜木からのパスを受け取った桑田が放ったシュートは


ザシュ!

リングを通過した。


ビビーーー!!

「86-85でインターハイ優勝は湘北高校!」

「「 よっしゃーーーーー!!全国制覇だーーーーーー!!! 」」


インタビュワー 「優勝した湘北高校キャプテン桑田くんです。優勝おめでとうございます!」

桑田 「ありがとうございます。」

インタビュワー 「今の率直なお気持ちをお聞かせください。」

桑田 「この1年間、いや僕が入部してから2年半、ずっと全国制覇を目標にやってきたんで、その結果が出て良かったです!」

インタビュワー 「湘北高校というと流川くん、桜木くんの2人の超高校級プレーヤーがいますけど、普段この2人と練習できるというのは刺激になりましたか?」

桑田 「そうですね!2人の存在は大きいですね!彼らは才能がある以上にすごく努力してるんです。練習時間も多分チームで1番長いと思います。彼らがそれだけ練習するんだったら僕はもっと練習しないと、ていうのはありましたね。」


インタビュワー 「2人がいることでチームが底上げされた、という感じですか?」


桑田 「そうですね。天才があれだけ努力するんだったら僕はもっと努力しないとって」

桑田 「だって僕は彼らみたいに、、、」」


桑田は後ろで大騒ぎしている桜木とその横にいる流川をちらっと見て、再びインタビュワーの方に向き直り


桑田 「天才じゃないですから」


そう言って小さく笑った。


あとがき

SLAMDUNKのラストシーンがなぜスラムダンクじゃないのか?

タイトルにもなってるんだから桜木のダンクで決着がつくそんな想像をしながら漫画を読んでいましたが、

画像13

試合を決めたのは合宿シュート。

なぜスラムダンクで決めなかったのか?


山王戦に限らず、桜木花道がダンクを決めているシーンはそれほど多くありません。むしろ花道のダンクが決勝点になった試合は1つもない。

・陵南戦(練習試合):なし(負け)
・三浦台戦:なし(脳天ダンク1本)
・翔陽戦:なし(退場ダンク1本)
・海南戦:1本(負け)
・陵南戦(県予選):1本(勝敗に影響なし)
・豊玉戦:なし
・山王戦:1本(最初の得点)

花道のダンクは描写的にもインパクトはあるものの、試合を決定づける役割にはなっていません。


SLAMDUNKのストーリーは「桜木花道がバスケの魅力にとりつかれ、練習して上達する、試合で負けさらに練習してより強くなる」そんな少年漫画の王道ストーリーです。

練習して成果が出る

ここが最大のポイント。

仮に山王戦が花道のダンクで派手に決着がついていたらどうでしょうか?ダンクは身体能力を持った人間しかできない技です。

少年ジャンプのターゲット層である中高生のほとんどはダンクができません。

そんな少年たちに「最後にモノをいうのは努力」ということを伝えるためにラストシーンを合宿シュートにしたのではないかと感じました。

SLAMDUNKは才能ある若者の成長ストーリーではなく、才能がない、あるいはまだ自分の才能に気付いていない若者への漫画なのではないでしょうか?

Another Storyはそんな切り口で描いた物語です。

最後まで読んでいただきありがとうございました!!
もしよければスキ、コメント、感想などいただけるとすごく嬉しいです!


▼筆者について

くろねこアイコン(note用)

会社員兼ライター。ストーリーライティングが得意。noteにもオリジナルストーリーを綴ったものをいくつか挙げています。会社員として週5日×9時間働きながらコンテンツ販売で300万円以上の売上を記録。言葉の力を磨く講座も開講中。


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めちゃくちゃ面白いけど、鬼のように時間を蝕んでいくので注意しながら読んでほしいw





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