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正しい重心に乗るちょっとしたコツ

はじめに

太極拳をしているときに、前に乗りすぎと言われたことはないでしょうか?膝が落ちてる!とか、後ろに反ってる!とか、へっぴり腰になってる!とか。足の裏には面積があるので、前に乗るのか、後ろに乗るのか、真ん中と言われても土踏まずがあるし、内側なのか、外側なのか。一人で練習しているとどうなっているのか全然分からないし、教室に通っていて、先生から注意されて、自分では直しているつもりなのに毎回注意されるし、一体どこが間違っているのか分からないという人は多いんじゃないでしょうか。

元々は形意拳の練習で教えてもらったコツ(口伝)があったのですが、やってみると太極拳でも、気功の馬歩站椿でも、男性機能を高める気功でも、色んなことに応用できることが分かりました。さらに調べてみると、日本武道にも同じ口伝がありました。

尾張柳生流

名古屋に尾張柳生流という流派があります。剣術の流派のひとつで、有名な柳生新陰流の流れを汲む流派です。開祖の柳生宗厳(むねよし)の孫にあたる柳生兵庫助利厳(ひょうごのすけとしよし)が、祖父宗厳から印可を受けて創始した流派です。利厳が元和元年(1615年)に尾張徳川家に仕官し、尾張で伝えられたことから、江戸の柳生流と区別して尾張柳生流と呼ばれるようになりました。この尾張柳生流の、踏み込みの口伝が、この重心をコントロールするコツと全く同じでした。

ということは、このコツ(口伝)は日本の剣道や古流の剣術でも使えますし、もちろん中国武術の武器術にも使えます。おそらく、足の裏でどの部分に重心を乗せるのだろう、ということを理屈で考えてもなかなか答えは出ませんが、このコツだと自動的に正しい位置に誘導してくれます。

足の解剖学

解剖学的に言うと、ちょっと難しいのですが、スネの部分には脛骨と腓骨という2本の骨があります。脛骨は、いわゆるスネの骨で、太く丈夫な骨です。脛骨の一番下の部分が内くるぶしの骨です。もう1本の腓骨は、スネの外側にある細い骨です。骨折しやすい骨です。この腓骨の一番下が外くるぶしのぐりぐりです。

そして、重心が外に流れている人、がに股気味で、腰痛持ちで、少し歩き方が変な人は、腓骨から外くるぶしの方に重心がかかっています。しかし、腓骨の末端、外くるぶしは足裏の骨と直接つながっていません。なのでフラフラして、腰などに負担がかかります。

一方で、脛骨の一番下は距骨と呼ばれる、つま先と踵に重量配分する骨とつながっています。そのかかと側の下には踵骨があります。踵骨というのはかかとの骨です。なので、ボディワーク的には、内くるぶし、脛骨に重心が乗るのが良いので、足の裏の前から3分の2くらい、内くるぶしの下に重心が来るようにと説明されます。脛骨に重心が乗ると、距骨、踵骨と繋がって、足の裏に綺麗に重心が分散されるからです。

ただ、頭で考えていてもなかなか上手くできないことが多いですし、弓歩なら?四六歩なら?馬歩なら?と考えていると動けません。止まったときにはコントロールできても、動いている途中は腕も動かすし、虚霊頂勁も意識するし、呼吸も考えると、重心の意識が途切れてしまいます。

一番上に載っている写真は弓歩の時に、後ろ足の母子球で蹴ってはいけないという写真です。後ろ足の裏全体を使って押すのが、太極拳的に正しい後ろ足の使い方です。この間違いも、今回のコツを使えば一発で解消します。それが癖になるまでやり込んで、身体に覚えさせることは必要ですが、身体が自動的に正しい方法を教えてくれます。

口伝なので、今まで練習してきている人にとっては一言で終わってしまうものなのですが、さすがにそれでは不親切ですので、実際に口伝を実行している写真を載せてあります。馬歩の時、弓歩の時、男性機能を高める站椿功のとき。写真を見ながら練習すればすぐに応用できるようになりますので、普段の練習(練功)に生かしてください。弓歩については、前乗りになり過ぎ、母子球で蹴ってしまっているという、よくある間違いと、それを解消した時の写真も載せてありますので、鏡を見ながら確認してもらえば分かりやすいと思います。

最後に注意事項がありますので、必ず読んで守ってください。間違った認識は、逆に身体を傷つけてしまいますので、くれぐれもご注意ください。だからみだりに伝えず、口伝になってしまったのかもしれません。

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