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【読書メモ】「国境なき医師団」をもっと見に行く ガザ、西岸地区、アンマン、南スーダン、日本(いとうせいこう)【#98】

もともとは「いとうせいこう」ってテレビで見るし、みうらじゅん氏と楽しそうに色々やってるけど、一体何者?と思ったところ、たまたま書評で『「国境なき医師団」を見に行く』の記事を読んで、面白そうだから読んでみようと思い買ってみました。

そしたら、積ん読が溜まっていたので、先に人に貸していたら、その人もハマったようで、『「国境なき医師団」をもっと見に行く ガザ、西岸地区、アンマン、南スーダン、日本』を買って読んで、そうこうしていると今のハマスとイスラエルの戦闘が始まって、今のニュースを見るにあたって絶対にこっちを先に読んだ方がいい!と言われて、ガザを部分を読みました。そしたら、面白くて、noteに書くなら全部読んでからにしようと少し時間がかかってしまいました。

まず、いとうせこうさんの文体がとっても中立で、変な癖がなく、読みやすいです。おそらく、すごく質の良い教育というか、様々な経験(知識?)の上に成り立っている客観性があるように感じました。

それと、彼の視線が好奇心だけでもなく、無知でもなく、だからといってバックグラウンドの事前または事後に調べた情報だけでもなく、知らないわけではないのにとてもフラットに物を見ている感じが、するっと心に入ってくる感じがして、読んでよかったと思えました。

中身は、ひたすら考えさせられるような内容が次々と出てきます。ガザはもちろん、ガザの北にあるヨルダン川西岸地区、ニュースでガザの地図が出た時に少し上にあるパレスチナの人たちが住んでいる飛び地みたいな地域、地図だとイスラエルの右にあるヨルダンの首都アンマンの部分が3分の2くらいです。イスラエルの南がエジプト、エジプトの南がスーダン、その南にある南スーダンの難民キャンプが3分の1くらい、最後におまけのような感じで日本編が入っています。

ガザ編が書かれたのは2019年11月です。今のように戦闘中ではない状態のガザについて描かれているはずなのに、読んでみると今の状態を書いているのではないか?と勘違いしてしまうほど、イスラエルのパレスチナ人に対する迫害がひどいことが分かります。イスラエルは何の権利があって、何の罪もないパレスチナの人を撃つのか理解できません。ただイスラエルの侵略に抗議するデモ、毎週金曜に行われる自分たちの国を取り戻したいというデモに参加していただけで、500名のパレスチナ人が撃たれています。しかも、19世紀にハーグ国際会議で禁止されたダムダム弾という、着弾すると銃弾の頭が潰れて傷口を広げる殺傷力の強い銃弾を使っていることを知り、その人道性の無さに吐き気がしました。

今回の一連の報道を見ていても、イスラエルの好戦的で自分たちだけが選ばれた民だという選民思想の感じが好きになれません。パレスチナの人たちをhuman animalと呼んだことも、この人たちは自分たち以外は、中東の人に限らず、アジア人のこともきっと人のような顔をした動物だと蔑んでいるんだろうなと感じましたし、世界中で嫌われがちなのはそういうとこだぞ!と強く思いました。

ハマスとイスラエルの戦闘は好きにやれば良いと思いますが、いつも犠牲になるのは何の関係もない一般人です。国境なき医師団(MSF)の中では『MSFが必要なくなるような世界』が目標であるとよく言われるそうです。早くそんな世界が来て欲しいものです。

おわり


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