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小説・「アキラの呪い」

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「俺にはろくでなしの姉が一人いる。姉は俺の呪いであり、俺は姉の呪いになりたい」 姉の自殺未遂をきっかけに変化する義理の姉と弟の危うく奇妙な関係を描く。
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2024年2月の記事一覧

小説・「アキラの呪い」(14)

小説・「アキラの呪い」(14)

↑ 前話はこちら。

 両親はもうすぐ10時になろうかという頃に合わせて起きてきた。少し遅い朝だった。父が先に起きて、ついでに母を起こして連れてきたらしい。父も母も朝が弱いわけではない。やはり昨日の酒が効いたんだろう。
 両親が起床して30分も経たないうちに一悶着あった。姉がゴミ袋に貯めた大量の「ゴミ」を母が目にしたのだった。母は娘を愛していたし、娘が生きてきた軌跡をが失われることを恐れていた。

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小説•「アキラの呪い」(13)

小説•「アキラの呪い」(13)

前話はこちら。

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 朝飯は予定通り目玉焼きにウィンナーを添えた。両親の分も合わせて作ってしまう。二人とも今日まで休みで明日から仕事らしい。昨日そこそこ呑んでいたから、もしかしたらなかなか起きてこないかもしれない。食パン三枚を焼きながら、一杯だけコーヒーを淹れる。姉は苦味を受け付けない。それでかつては毎朝甘いホットミルクを飲んでいた。朝食のセッティングを終えると、俺は2階へ「姉さん。朝飯食

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