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舞台役者歴20年の俳優が教える「舞台は最高」夢中になったワケとは


幼少期から歌うことや演じることが好きだった若海千尋さん。現在は、フリーランスの俳優として舞台に立っています。


舞台は、非日常的な楽しさを味わえる夢のような世界だと語る若海千尋さん。その世界に飛び込んだ彼女に、舞台の魅力や普段聞けない裏側の話を伺いました。



ー若海さんの現在のお仕事について教えてください。

舞台役者がメインです。役者は小学生の頃に始めて、もう20年以上になるんですよ!最近は、それ以外にもミュージカルやモーションアクター、劇中歌の歌唱、あとはYouTubeの配信もしています。

ー舞台以外にもいろいろと活躍されているんですね。

舞台の仕事を通じて、活動の幅が広がってきているのは嬉しいですね。ただ、これまで経験したことがないお仕事だと、自分に務まるのかと不安になることはあります。

そんなときは「自分はできる!」「私頑張れ!」と自分自身にエールを送っていますね。新しいチャレンジは不安だけど、舞台やお芝居の仕事で成長できるのは嬉しいですね。

ー本業の傍ら、YOUTUBE活動もされているのでしょうか。

そうですね。YouTube活動は、コロナに入った時に政府の方針で舞台がすべて出来なくなってしまったときに、日頃から応援してくださる方々に感謝の気持ちを届けたいと思い、始めたのがきっかけです。

ーYouTubeは企画から制作、配信等すべてちーちゃんご自身で作り上げたのですか?

私ともう2人(はるねぇとりなけろ)の同じ舞台仲間と協力し、ユニット「ぷらすいおん」を結成しました。企画から撮影、編集まで全部自分たちでやってるんですよ。撮影場所もちゃんと自分たちで準備しています。

色々と大変ではありますが、仲のよい方々と作品が作れるのはとても嬉しいですし、楽しく活動しています。

ーYouTubeの活動をするちーちゃんのエネルギーと行動力が素晴らしいです。ちーちゃんはとても前向きで人を元気にさせてくれますね!

そう言ってくださり嬉しいです。私自身がすぐに人と友達になりたい性格なので、周囲にはポジティブで元気なイメージだと思われることが多いです。しかし実は自分に自信がなく、ネガティブな一面もあったりします。

ここ最近は舞台やモーションアクター、劇中歌等、さまざまな挑戦をする機会が増えてきており、自分に務まるのかと不安になることがあります。だからこそ常に「自分はできる!」「頑張れ!」と自分自身に鼓舞、エールを送り、自分を成長できるよう意識しています。

「いつかセーラー戦士になりたい」との思いが演劇との出合いだった


ー若海さんは昔から舞台やミュージカルの世界に興味があったのでしょうか?

そうですね。小学生のときにセーラームーンミュージカルを見て、「私もいつかセーラー戦士になりたい」と思い、振付や歌を全部覚えたんですよ。

その姿を見た母から、「地元のミュージカル団のオーディションを受けてみたら」と提案されて。無事合格することができ、高校を卒業するまではその劇団でミュージカル俳優を続けていました。

その劇団にはみんなをとりまとめる団長というポジションがあって、私は中学3年から高校3年生まで団長をしていました。団長になったこと自体は嬉しかったのですが、劇団を率いるプレッシャーはすごかったですね。

責任感から個人練習の時間がどんどん増えていって、学業と劇団を両立するのが難しくなってしまった時期もあります。当時の担任の先生と喧嘩したことも。

―喧嘩?

学校のある平日も、授業ではなく劇団の用事を優先させることが時々あったんですね。それで先生から「学生なのだから、学業に専念しなさい」と言われてしまったんです。

先生が怒る理由はもちろん理解しています。でもそのとき、収容人数2000人規模の大きい会場を借りた、大事な公演が控えていて。しかもその公演で主役を務めることになったから、団長と主役のプレッシャーで毎日頭がいっぱいでした。

大人から見たら、勉強より遊びを優先させているように見えるかもしれない。でも当時の私はこの舞台を成功させることに命をかけていたから、その「本気」は先生にも分かってほしかった。

―先生は理解してくれましたか?

はい!「学生だから、勉強が大事なことは分かっている。でも、この公演はどうしても成功させたい。この気持ちは理解してほしい」と正直に伝えたところ、私の「本気」が伝わったのか先生も応援してくれるようになりました。あのときは嬉しかったですね。

―そのくらい、学生時代から舞台に人生をかけていたんですね。

そうですね。でも、「もう舞台役者を辞めようかな」と思ったこともあるんですよ。小学生の頃からずっと舞台を中心に生きてきて、“普通の女子高生”のように放課後遊ぶことがほとんどなかったから……。舞台は好きだけど、友だちと遊んだり、別のことにチャレンジしたりもしたいなって。

それで、高校卒業のタイミングで舞台の世界と離れようかどうか迷っていたんです。しかし、結局演劇の道を続けることに。高校卒業後は、演劇の専門学校に入りました。

―舞台を続けることにした理由は?

進路をどうするか悩んでいたとき、劇団員の友だちのお母さんに相談したところ「ちーちゃんが舞台が好きなことは知っているけど、舞台を見るのが好きなの?それとも舞台に立つのが好きなの?」と問われて。

そこで、「私は舞台に立つのが好きだ!」と再確認でき、役者の専門学校に進学しました。

ーご友人のお母様からの一言が人生のターニングポイントになったのですね!

そうですね。振り返ると、あれが人生の大きな別れ道だったかも。あの言葉がなければ、今舞台に立っていなかったかもしれないです。

「楽しかった!」と言ってくれるほど、嬉しいものはない。


―そんな舞台大好きな若海さんが考える、「役者の醍醐味」を教えてください。

テレビや映画と違って、舞台だとお客さんの声や表情が直接届くんです。それが醍醐味のひとつですかね。

―これまでで特に印象に残っているお客さんの反応はありますか?

たくさんあるのですが……特にで言うと、「三国志」をテーマにした舞台をしたときですかね。その舞台、お客さんの参加型だったんですよ。

―お客さん参加型の舞台とは?

公演のたびに、どのキャストの演技が良かったかをお客さんに投票してもらうんです。その投票結果によって次の公演のストーリーが決まったり、出演するキャストが変わったりするんですよ!お客さんがとても楽しそうだったのが印象的でしたね。

 ーたしかに楽しそう!ただ、キャスト側からするとプレッシャーもすごいのでは……?

選ばれるかどうか、毎回ドキドキしますよ。ファンが多い人ほど当選率が高くなる傾向がありますし……。それでも、良い芝居ができればその分ストレートに「良かった」と投票してくれるお客さんもたくさんいる。

その人たちに見てもらうために、もっと芝居のクオリティをあげたい!と思う気持ちの方が強いですね。

―お客さんからの声こそが、​​若海さんのエネルギーとなる?

そうかもしれないです。テレビや映像といった映像の世界だと、目の前にお客さんがいないから、意見を反映させることは難しい。でも生の舞台だと、公演後はもちろん、公演中もお客さんの反応が見れます。

舞台の上からだと、お客さんのテンションが全部見渡せるんですよ。今日の公演はテンション高めのお客さんが多いなとか、逆に今日は低めの人が多いな、つまんないのかな、とか。そして、その日のお客さんのテンションも舞台を作る要素のひとつなんです。

―参加型の舞台でなくても、お客さんも舞台をつくる一人?

はい。お客さんの様子によって、会場の空気も変わりますから。その他にも、演出家や脚本家、音響や照明、衣装や舞台装置など、舞台をつくる要素はたくさんあります。

そして、たくさんの人が関わるから、同じテーマの舞台でも毎回違うものになるし、何が起こるか分からない。舞台の一番の魅力は何かと言われたら、「二度と同じ作品は作れない、唯一無二なところ」だと私は答えます。

―それはたしかに魅力的ですね。でも、お客さんのポジティブな反応は嬉しくても、ネガティブな反応を見たり、直接言われたりすると落ち込むこともあるのでは?

もちろん落ち込みますよ。。でも、ネガティブな声って、私の演技が印象に残ったから届くものだと思うんです。お客さんは、大事な時間を使って観に来てくださる。

だからこそ、ポジティブな意見だけでなく、ネガティブな意見もしっかり聞きたいです。お客さんの生の声を舞台に反映できる。これが舞台の魅力ですから!

ちなみに、今はSNSやアンケートがお客さんとの交流の場になっていますが、コロナ禍前は舞台終了後にキャストとお客さんが直接話せる時間がありました。

お客さんと直接話しができると、役者のモチベーションはさらに上がります!そのためにも、早く以前の状態に戻ってほしいですね。コロナ前の日常が戻ってきたら、今まで以上に舞台業界は賑わうかなと思います。

今までの経験が活かされる、それが役者のいいところ


ー20年以上舞台役者をやってきて、大変だった役づくりはありましたか?

自分と違う性格のキャラクターを演じるときは苦労するかも。私は人と話すのが大好きなタイプ。でも以前に、とても無口な役柄を任せていただいたことがあって。

しかも、ヒロインだから無口なのに出番は多いんですよ(笑)。その役が一番苦労したかなと思います。

ーその役づくりは具体的にどうやって行われたのですか?

共演者とあえて距離をとったり、自分からは話かけないようにしたりと、日常生活から気を付けていました。

特に、絡みが多い子がテンションの高いキャラクターで、どちらかというと普段の私に近いタイプで。そこにつられないように気をつけていましたね。

当時は公演が1日数回もあったから、舞台が終わるたびにクタクタでした……。真逆のキャラクターを保つために、公演中はずっと気を張っていたので。

でも、新しい役にチャレンジしたからこそ、自分の限界値を伸ばせたと思います。次回同じような役をいただけたら、以前の自分以上に、いい演技ができる自信がつきましたね。

―20年以上演技を続けてきて、さらに挑戦し続けていることに勇気をもらえます。若海さんが挑戦し続けられる理由はなんなのでしょうか?

シンプルに舞台が好きだから、演じるのが好きだから、ですかね。まだ出会ってない作品がたくさんあるので、まだまだやりたいことがたくさんあるんです。

―やりたいことはあるけど、一歩踏み出すのが怖いという人にエールをいただけますか。

小さいことから始めてみるといいと思います!例えば舞台をやってみたいなら、演技レッスンや習い事からはじめてみるとか。やりたいことのためにキャリアやライフスタイルを変える人もいます。

でも、今持っているものを捨てないと、やりたいことができないなんてことはないはずやりたいと思うのであれば、まずは小さな一歩から、恐れずに行動してほしいと思います!

―若海さん、本日は本当にありがとうございました!

編集後記
舞台役者さんとのインタビューは初めてだったので、若海さんから聞く話の一つひとつが新鮮で知らない世界に足を踏み入れたような楽しいお話でした。

そして一番に思ったことは、純粋に舞台が好きなのだと。その熱量が自分の気持ちにも伝わり、「きっと舞台は楽しいのだろうな、見に行きたいな」と自然と波動のように伝わりました。若海さんの情熱が、記事を書く大きな刺激とエネルギーになったことは間違いありません。

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ー★出演情報★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー

ラジオドラマ 「じゅねす」毎週月曜21:00〜21:30 放送中/
6月13〜18日 「舞台ギフテッド」

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