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城崎温泉・豊岡旅行記 その1

旅なんて何年ぶりだろうか? もうハッキリと思い出せないくらいに遠ざかった世界だ。別に世界旅行の話ではない。国内旅行すら遠ざかっていた筆者だ。
コロナの影響があって行けなかった人も多いだろうが、そういう理由で遠ざかっていたわけではない。単にお金がなかったのだ。給料が上がらない中、あらゆるものが価格上昇し税金も高くなっていく中で、簡単にまとまったお金を使うわけにもいかなかった。

とはいえ、旅行欲求は常に強い筆者。この数年間も、どこかへ行きたいという欲求は常に途切れることなく流れていた。
旅行というのはいい刺激になる。別に大自然の雄大な光景でなくてもいい。知らない街の景観を眺めるだけでも刺激的だし、時にその場で会った人との交流が生まれたりもする。ほんの数日の日程でも、それは刺激に満ち溢れた時間なのだ。時間が経てば、中毒のようにまた旅立ちたくなるものである。
更に、ふと「体がまだまだ余裕で動ける今のうちに行かないでどうする?」「親が元気なうちに行かないでどうする?」という心のささやきが聞こえ始めてきた。まさにその通りである。人間、いつ何があるか分からない。動けるうちに動いていた方が正解なのかもしれない。


◯豊岡演劇祭と街おこしを

ということで、思い切って旅立つ決意をした筆者が選んだ行き先は

城崎温泉・豊岡、並びに姫路・高砂の兵庫県縦断の旅 そして演劇、だ。

最初は、もう四半世紀以上前から行きたい願望があった道東(釧路方面)を考えていたが、結果的には豊岡を選択することにした。
四半世紀も願望を抱えていたのに、なぜ覆して豊岡にしたのか。
それは『豊岡演劇祭』の存在だ。


そもそも映画はよく観るものの、演劇に関しては旅行並みに久しく観に行ってはいない。何年ぶりかだ。
正直に、そして正確に言ってしまえば、演劇を観に行くよりも、その演劇で街おこしを図っている豊岡という都市の状況を直接見たくなったからである。

豊岡と言えば、平田オリザ氏が移住してまで演劇を街に根差そうとし、また前市長がそれを促進していた。
演劇を学べる専門職大学まで開校した。

コロナで中止も挟んで今年で3回目の開催。まだ始まったばかりで若いイベントなので、評価するには時期早々かもしれないが、どれほど街に根付いているのか。どれほど市民が受け入れているのか。それが気になり旅立つ決意をした。

筆者も、個人で横須賀の文化面から何かできないか模索している身。ここで観光を兼ねながら何か学べるものはあるのではなかろうか。
そう思って旅に出ることを決意した。
ちなみに、この一連の記事で個々の芝居に関する感想には触れない。それはまた別の話。
旅と街中の印象をメインに記載していく。
つまり、旅行記と思ってかまわない。


◯1日目 城崎温泉へ

初日は9月13日(水)城崎温泉へ。豊岡演劇祭は9月14日からだった。
なので、豊岡演劇祭前日から乗り込んだ。
当日以降は混み合うかもしれないと考え、思い切って水曜日から休みを取ってしまい、前日から乗り込んでみた。

城崎温泉と言えば、志賀直哉が電車事故にあった際にその傷を癒すため逗留した場で有名だ。城崎温泉を舞台にした『城の崎にて』が有名である。
志賀直哉を中心とした文学関連の著名人に触れた城崎文芸館も街中にあるくらいである。
そんな温泉と文学の街を見ていこう。

城崎温泉駅
城崎温泉の柳通り沿いを流れる川

横須賀を朝の7時の電車で出て、城崎温泉に着いたのが14時少し前。なんと7時間弱の長旅になった。
途中乗り換えで30分近くの間はあったものの、かなり長い間座ってる時間が続いたので正直辟易していた。
本当に遠くに来た気分である。
京都からも特急きのさきに乗って2時間を超える遠さ。とにかく遠いというのが一番最初の印象である。

そして、何より最初に感じたのは……

暑い!

聞けば、豊岡は盆地になっているため夏は特に暑い地域であるらしい。
今年も39度を超える酷暑中の酷暑もあったとか。
この日も、9月もすでに半ばだというのに、30℃は余裕で超えていたほどの猛暑日であった。
というか、この旅全日が猛暑日になる暑さ耐久レース。とにかく流した汗はかなりの量。
まったく、死のロードであった。


◯大師山のロープウェイ

そんな暑い城崎温泉を、筆者はまず到着するなりすぐに駅前のロッカーに荷物を預け、温泉奥へと進む。
最初に目指したのは、ロープウェイ乗り場である。

当初の予定は、2日目の午前中だったのだが、天気予報が曇りとっていたので、快晴の中写真が撮りたく急遽最初の目的地に定めた。

ロープウェイ駐車場前にある看板
ロープウェイ麓の入り口
階段を少し上がった先が乗り場

ロープウェイは、大師山の山頂まで7分の旅。
中腹には1300年の歴史を誇る但馬最古のお寺『温泉寺』がある。
この温泉寺のために、ロープウェイは中腹でも停車してくれる。

筆者は、まず山頂目指してロープウェイに乗り込んだ。

Xの方に動画を上げたので、宜しければ確認して欲しい。
麓から中腹までの映像だ。

さて、ロープウェイで登り切り、降車後そのまま乗車場の建物を屋上まで上がってみると……

展望台から城崎温泉が一望できる

見てください。なんという光景でしょう。城崎温泉の街並み全体が見渡せます。川と山間に覆われた土地というのがクッキリと分かりますね。写真のように、城崎温泉は細長く山を割いていくように伸びている街なのです。そのため、街への観光は駅から奥へと入り込んでいくように見ていく流れになります。
筆者は、時間的な問題で、いきなり奥にあるロープウェイから訪れましたが。

さて、展望台を降りて建物を出るとすぐに『かに塚』や『温泉寺 奥之院』が見えてきます。

慈母観音
温泉寺 奥之院
かわら投げ
的はかなり小さく、
精密なコントロールが求められる

ここでの何よりの特徴が『かわら投げ』だ。
奥之院の建物正面。下り坂方面に的が立っている。

3枚のかわらけを投げます。
かわらけ投げとは、そもそも素焼きの陶器を高いところから投げて割ることで厄を落とすといわれています。
大師山のかわらけは
厄除 よくない厄をおとして身を清めます
吉祥 清らかな身に良縁を招きます
甘露 幸せをもたらします の順番に投げます。
大師山の正式名称は甘露峰。甘露は仏様のお力を象徴する言葉です。
山頂へ上がられたら、是非かわらけを投げて、霊山聖地のエネルギーの恩恵を受けてください。

城崎温泉ロープウェイHPより

この的、本当に小さい。通させる気がないのかと疑いたくなるほど。それほど難易度は高く、穴に通すどころかまと板に当てることも少々のコントロールが試されている。
実際、筆者が訪れた時に二十歳前後と思われる若者3人がチャレンジしていたが、誰もまと板に当てることすらできていなかった。
ノーコンの筆者は、チャレンジする気にもならなかったのだが。

かわらは300円
コントロールに自信のある方は是非!

ちなみに、瓦はすぐ近くのカフェにて取り扱っている。


さて、次に筆者は、その瓦を扱っている『みはらしテラスカフェ』へと入ってみた。

なにせ件の通りにこの日は30℃を余裕で越す真夏の暑さ。ここまで既に大量の汗をかいている。山頂にカフェとは、まさに天国のような存在。
みはらしテラスと名がつくだけに、その見晴らしが自慢なのだろうが、例え窓のない壁で囲まれていたとしても、冷房が効いているのならば迷わずに入っていただろう。

しかし、どうだろうか……

デッキからパノラマの眺めが楽しめる
晴れた時にきてよかった
店内は木の造りでとても落ち着く
木いちごソーダ
店内には暖炉があった

旅の疲れを一旦落ち着かせるには十分なくつろぎスペース。
幸い、訪れた時はそれほど人はいなかったのでテラスへと出て堂々と写真を撮る。おそらく、休日なら人で混み合っていただろうに、余裕のある時に来れてよかった。
また、店内ではゆったりとしたソファもあり、そこで少しの間休んでいった。

結局、山頂には1時間近くいた。

さて、今度は下のロープウェイである。

城崎の街並みを眺めながらゆったりと下っていく。

そして、山の中腹にある駅で下車。

温泉寺駅を降りた先
温泉寺

駅を出ると目の前に温泉寺がある。

西暦717年 諸国をめぐる僧、道智上人は四所明神のお告げで千日の修業を行い、その修業の場より湯が湧き城崎温泉の歴史が始まった。
そこに大和の国の仏師である稽文が、偶然にも城崎で長谷寺の観音像と同木で作られた未完の仏像に出会い完成させて道智上人に託した。
のちに仏像の祀られた伽藍は聖武天皇から「末代山温泉寺」の勅号を賜り、以来1300余年、湯の街とそこに集まる人々を護り続けている。

城崎温泉ロープウェイHPより

筆者は、温泉寺を横目にその先にある山道を下っていく。

自然の中をつらぬく階段

自然の中を下りながらのため心地いい……かと思いきや、途中から階段がかなりガクガクでスムーズに降りられず、自然など味わってる余裕はあまりなかった。
足に不安がある方は、そのままロープウェイで降りることをお勧めします。

ここからなら、歩いてでの下山までの時間はそれほどかからず済む。

麓から階段を見上げる
温泉寺 山門
ロープウェイ麓にも足湯がある


・大師山(ロープウェイ)所要時間
筆者の滞在時間は、ロープウェイで上がって、階段でふもとまで下りてくるまで大体1時間20分ほどでした。途中、温泉寺駅で降りて階段で降りてくるまで15分ほどです。ただし、温泉寺ではほとんど見ておりません。ほぼすぐに階段へ向かいましたので、もしじっくりと温泉寺を見て回れば+10~15分という感じでしょうか。逆に途中下車せずにロープウェイで麓まで下りれば、-10分でしょう。
カフェ滞在時間は35分ほどです。
城崎温泉にきたら、温泉につかると同等に訪れるべき場所なので、ぜひ1時間30分ほど余裕を作っておきましょう。


・城崎温泉旅行ポイント

城崎温泉は当然温泉を巡ることがメインになり、冬場なら松葉蟹となります。
しかしながら、このロープウェイで山頂まで登っての景観を楽しむことも同等に価値のある場所となります。

東京方面の方に参考情報として、筆者の工程を記しておこう。
筆者は、新横浜を8:58に新幹線で発ち、10:51に京都着。
そこから京都を11:25発の特急きのさきに乗り、13:49に城崎温泉着となった。
これより前となると、10:25京都発 山陰線はしだて3号にのり、福知山でこうのとりに乗り換えて12:51 城崎温泉駅着 になる。
どちらにしろ、関東からだと午後着になる。(あるにはあるが、飛行機を使うことになるになるため、料金が跳ね上がりお勧めできない)
何泊もする人なら気にしなくて良いが、筆者のような一泊しかしないとなると観光先を絞らなければならない。
となれば、まずは筆者のようにロープウェイに向かうのも一つの手だろう。
温泉やカニは、夜にじっくりと味わえば良い。


◯初日の宿へ

山から降りてくると、とりあえず街中を通りながら食べ歩きできる店を探す。
ネットで調べると、ちょいちょいスイーツなど食べられるメニューがあるようだ。

コナンに出てくる少年探偵団の
げんたも感動した!!
但馬牛まん

狙っていたお店が休みなどもあったが、とりあえず牛まんを選択。

その後、中途半端な時間のために一旦ロッカーから荷物を回収して、早めに宿に寄ることにした。

宿はなんとロープウェイ乗り場のすぐそば。
つまり、この日はこの時点で駅とロープウェイ間を一往復し、更にまたロープウェイ近くまで戻るという面倒なことをやってのけたのだ。
先に書くが、夜には駅近くのコンビニまで行っているので、この日だけで城崎温泉街を何度も往復してるのである。
まあ、それができるほどエリアが限定されている街とも言える。

さて、この日泊まる宿はなんと本屋さん。

ブックストア イチ

カフェバーを併設した本屋さん。
それだけでは済まさず、なんと二階は宿泊施設。
もう、それだけで興味が湧いてきますよね。
ここの存在を知るなり、数々の昭和の香りを漂わせる雰囲気が良い老舗旅館を選択せず、真っ先に宿泊予約をしました。

しかし、宿の様子や評価は別途専用記事を書きます。
そちらをお読みいただけますでしょうか。

↑ブックストア・イチの紹介記事


◯温泉へ

この日唯一訪れた温泉は
鴻の湯
夜の柳通り
柳通りの片端


城崎温泉といえばなんでしょう?


突然の質問で意味がわからないかもしれませんが……

こたえはそう、温泉ですね。

当たり前の話ですが、温泉です。
ここまで、筆者はこの地に来て温泉のことにまったく触れていませんでした。
なにせ、温泉に向かわず真っ先にロープウェイで山の奥に登っていたのですから。

城崎温泉

城崎温泉といえば外湯めぐり。
旅館の中にあるお風呂のことを「内湯」、外にある共同浴場のことを「外湯」と言います。
道智上人が一千日祈願して湧き出した「まんだら湯」で、これが城崎温泉のはじまりです。
城崎に住む人々にとって、7つの外湯は自宅のお風呂のようなもの。
道智上人が城崎温泉を開湯してから1300年……

城崎温泉観光協会HPより

城崎温泉には、7つもの外湯があります。
各温泉の特徴については、観光協会のHPが詳しいでしょう。
城崎温泉といえば、やはりこの7つの外湯を巡ることが重要になります。

7つの外湯を巡ることが重要。

巡ることが重要……


はい、筆者は結局、外湯を一つしか巡りませんでした。
しかも、宿からすぐの鴻の湯のみ。

巡るとは言いませんね。

なぜ?

まあ、答えは簡単。

暑い

外が暑すぎます。
湯が熱いからではありません。
いえ、城崎の湯は、他と比べてやや熱いですが。

外気温は夜になっても25℃を下回らず、湯に浸かる気温ではありません。
なので、一つはいったら入る気が失せました。
本当は巡ってみたかったのですが、その意欲を削ぐほどに暑く無理でした。
夏に巡れた人はよくやりますね?

まあ、暑さのせいなのか、どこもそれほど混み合ってはいなかったようですが。


さて、この日の観光はこれにて終了。
夜は宿であるイチの人と予想外にも話が盛り上がりました。

が、それはまたお店紹介の記事で。

第一日目の旅行記はこれくらいにしておきましょう。

↑旅行記その2へ

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