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「こっちの仕事もやってくれる?」

みなさん、こんにちは。
労働者側の社労士(社会保険労務士)、黒田英雄です。

労働相談を受けていると、その時代時代の傾向というのを感じるときがあります。
今年に入って増えている相談が、もともと担当していたものではない業務をやらされるというものです。

人件費の削減で従業員を減らしていたり、募集をかけても応募がなかったりと、業種によって事情はさまざまですが、なかなか人員に余裕がある会社は少ないようです。
となると、今いる従業員で仕事を回さなければならないため、おのずと会社からこういう言葉が出てきます。

「こっちの仕事もやってくれる?」

例えば、もともと営業で採用されたのに入力事務もやってとか、送迎ドライバーとして採用されたのに乗り降りの介助もやってとか、よくあることだと思います。
たいていの場合はそれまでとお給料が変わらないため、従業員からするととても不満に感じるのです。

でも、やはり雇われている以上はなかなか断りづらいというのもあり、受け入れてしまう方が多いようです。
しかしそれでは、仕事を詰め込まれるだけ詰め込まれて結局は耐えきれずに辞めてしまう…という、会社にとっても従業員にとってもマイナスな結果になりかねません。

この場合、雇用契約書の記載内容がとても重要になってきます。
職種を限定して採用されていた場合は、他の仕事もするということは契約内容の変更になるため、従業員の同意が必要になります。

逆に、職種を限定されていなかった場合は、従業員は会社からの業務命令に、ある程度は従わざるを得ないということになります。
もちろん、それが長時間労働につながるようなものであれば、別の観点から断ることができます。

とは言え、会社は必要に迫られて急に従業員にお願いすることが多いでしょうし、そこで契約書うんぬんの話をするのは現実的ではないかもしれません。
やはり、従業員のみなさんが普段から契約内容を把握しておくことが理想です。

ちなみに、雇用契約書をもらっていないという方もたくさんいらっしゃると思います。
そのこと自体は、すぐに会社が違法だということではありません。

しかし、入社時にどのような労働条件なのか会社が書面を交付していない場合は、労働基準法違反の可能性があります。
また、そのあと労働条件が変わったときに、その内容を契約書として交わしておいたほうが、会社も従業員もお互いにトラブルを防ぐことができます。

もし緊急で自分のものとは別の仕事を会社から頼まれた場合は、その場は対応した上で、あとで話し合いを求めるのがいいと思います。
そこで何も言わないと、従業員は同意したものと捉えられかねません。

話し合いでどのように言えばいいかは、私たち労働者側社労士にご相談ください。
会社ともめずに解決する方法を、ケースに応じてお伝えしています。

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You Tubeチャンネル「労働相談須田黒田事務所」に、動画をアップしています。

写真はインスタグラムでアップしているものです。

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