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英雄は時を超える

朝の支度をしながらテレビを見ているとたまたま目にしたCMに思わず声が出てしまいました。

「えっ!LIVE A LIVEのリメイク版、来週発売じゃん!!」

こうしてはいられません。
もうシャツを着るのも忘れて裸にネクタイを締めて家を出そうになりましたが、よくよく考えたら来週発売なのに今慌てても仕方がありません。冷静さを取り戻した僕はテレビの前に戻りました。嫁が「またゲーム?」と呆れております。

いやいやいやいや。ご存じの方はいますか?おそらく僕と同世代で、それなりにゲームをやっていた同胞は狂喜乱舞しているはずです。「LIVE A LIVE」ですよ。あのリメイク不可能とさえ言われていた伝説のRPGです。何故リメイク不可と言われていたかというのは後述しますが、とにかくこれは凄いことなのです。どれくらい凄いかっていうと、故人である田村正和氏が主演で古畑任三郎の新シリーズが始まるくらい凄いことなんです。あくまでも個人的には。じゃあ世間的にはと言うと……多分、そんなに凄いことではないかもしれん。悲しい哉。でも世間とか他人とかどうでもいいじゃないですか。どうせ最後はみんな灰になるんだし。
というワケで。今回は本作である「LIVE A LIVE」がどうして伝説とまで言われ、今もなお語り継がれているのかをお話ししていこうと思います。
「もっとやるべき事とかありそうなのに暇なんですか?」ですって?
そうです。暇なんです。




リメイク不可とまで言われた傑作中の傑作

何故リメイクにそこまで湧くのか。先述したように本作はリメイク不可だと言われていたんです。その一番の理由は版権の問題です。昨今ですと、この問題を乗り越えてスマブラSPにキングダムハーツのソラが参戦したことで世のゲーマーを騒然とさせましたが、この「LIVE A LIVE」もそこそこややこしくてですね。
このゲーム、いわゆるオムニバス形式になっておりまして。ゲーム開始時に任意で、7つあるそれぞれ時代の違うシナリオから1つを選び、それをクリアするとまた別のシナリオを選んで……といった感じで順番に各ストーリーを進めていくんですけども、このシナリオごとのキャラクターデザインがそれぞれ違うんですね。例えば原始時代を舞台にしたシナリオの主人公“ポゴ”のキャラクターデザインは漫画「おぼっちゃまくん」の作者である小林よしのり氏。幕末時代を舞台に密命によって戦う忍者の主人公“おぼろ丸”は「名探偵コナン」の青山剛昌氏。他には「ARMS」の皆川亮二氏とか、「逆境ナイン」の島本和彦氏とか、etc…。とにかく錚々たるメンバーだったワケです。
普通1つのゲーム作品に対して1人のキャラデザ担当がすべてを手掛けるところを、本作は各シナリオごとに違う作家さんがそれを担当しているのです。それも全員プロの名だたる漫画家さんです。
当然、往年のファンはこのキャラデザ込みで本作を愛している為、まったく別物の主人公たちでリメイクされても意味がないのです。そんなことしたら暴動が起きてしまいます。しかし、この期に及んで全員から承諾を得たり、権利の関係でお金とかお金とか、あとお金の問題等もあるのでしょう。そんなこんながありまして、かれこれ約28年という月日を経て、やっと今回のリメイクとなったワケです。感慨深ぇ…。
そういえば全然関係ないけど「らんま1/2」のアニメとかも今リメイクしたらどうなるんでしょうね。声優さんが全員とんでもない大御所ばかりなので、ギャラだけで製作費の半分は飛びそうです。すみません。本当に関係ないですよね。失礼しました。お金の話ばかりしてすみませんでした。下世話な人間ですみませんでした。


各章ごとに表情を変えるゲームシナリオ

基本的にはRPGなのですが、シナリオごとに趣が全然違うんです。全部で7章、それをすべてクリアしたら出てくる新章、そして最終章と合計9章もあるシナリオすべて、飽きずに最後までプレイすることができます。世界一飽きっぽい僕ですら最後までしっかりと遊べましたので、そういった意味ではお墨付きです。
例えば幕末編ですと。大筋のシナリオとしては、とある大名にさらわれた要人を救出するために密命を受けた主人公“おぼろ丸”が相手方の本拠地(城)に乗り込むのですが、なんせ隠密ですので敵に見つからないようにして進んでいく必要があるんですね。RPGでありながら敵から隠れて本丸まで進んでいく、いわゆる『ステルスゲーム』の要素もあるワケです。陽動作戦を駆使したり、ひたすら相手が去るまで隠れたりして進むドキドキ感も味わえます。僕はそういうのかったるいので全員斬り捨てて進んだのですが、そういった楽しみ方もできます。0人斬りか100人斬りか。それぞれにあったプレイスタイルで極めるのも面白いところですね。
他にも敵アイコンに接触しただけで問答無用でゲームオーバーとなってしまうホラー&サスペンス要素満載のSF編。
制限時間内になるべく多くの罠を仕掛けることでラスボス戦の難易度が大幅に変わる西部編。
3人いる継承者から一人を選んで奥義を継承する功夫編や格闘ゲームのようなシステムの現代編など、RPGを基盤としていろいろとユーザーを飽きさせない工夫が随所に散りばめられています。
勿論、システム面だけではなく物語自体のクオリティーも文句なしです。各章の時代背景に沿った秀逸なストーリー展開が繰り広げられます。熱かったり、ヒヤッとしたり、ほのぼのしたり等々。そういった意味でも飽きさせません。
まぁ正直シナリオによっては「えっもう終わり?」となってしまうような短いものもありますが、かと言ってけして中身が薄いワケではありません。


物語を彩る魅力的なキャラクターたち

僕は近未来編の主人公“アキラ”が一番好きなんですけど、もうとにかく各章ごとに出てくるキャラクターが魅力的なんです。魅力の塊です。魅力のバーゲンセールです。
冒頭で挙げた“アキラ”は孤児院で生活していて、人の心が読める特殊能力がある少年なんですね。そのせいで幼少時代から聞きたくもない本音や人の醜さにあてられたのか若干(?)グレているんですけども。そんなアキラの親友であり良い兄貴分の“無法松”や、同じ孤児院で生活している愉快な仲間たちがまた良い味を出していまして。はじめはそんな面々に囲まれながらギャグシーンも絡めつつ、徐々にシリアスな展開になり物語は終盤へと向かっていくのですが、この近未来編だけでテレビ番組「はじめてのおつかい」一本分くらい泣けます。要するに相当泣けます。涙がちょちょぎれます。この言い回し、5億年ぶりくらいに見ましたが。
原始編の“ポゴ”と“ゴリ”のコンビもほのぼのしてて素敵ですよね。
功夫編の後継者も3人とも大好きです。“ユン”と“レイ”と“サモ”といった元ネタがモロにわかる名前なのもナイスです。ちなみに個人的には奥義継承者はレイ一択ですかね。じゃないと最終編のパーティーの絵面がもう、男だらけのむさ苦しい感じになっちゃうので。まぁそれはそれでいいんですけども。
幕末編では実在した偉人のキャラクターも出てきますね。エンディングで史実におけるifが見られるのもまた浪漫です。
あとやっぱり語らずにはいられないのは中世編のヒロイン“アリシア”ですかね。うーん。なんというか、まぁ、気持ちもわからんこともないけど、うーん……っていうね。まぁその辺は気になる方は是非プレイしてみてください。僕と同じように「うーん……そっか……」となる方もいるはずです。


とにかく激熱な名台詞の数々

本当に多いんです、このゲーム。歴史に残る名台詞が。
多分、多くの方が挙げるものとガッツリ被っちゃうと思うんですけども、それも仕方が無いくらい納得の激熱加減です。少年漫画的な熱い展開が好きな人には思いっきりハマると思うんですね。もう大昔のゲームなので今更ネタバレも何もないとは思うのですが、これからプレイする方もいると思うので、敢えてぼんやりと語りますが、功夫編の
「まだ わからんか……心じゃよッ!」
とか、現代編の
「そして……この俺の怒りがッ!てめえをブッ潰す!」
とか、近未来編の
「ざけんなよ……そんなカッコにならなくてもな……ひとつにはなれんだよ!そうだろ 松ッ!!」
とか、中世編の
「あの世で俺にわび続けろ オルステッドーーーーッ!」
とかさぁ!!(興奮してきました)
すごくないですか?この「…」と「!」の多用ぶり。くどいでしょ。こうやって台詞だけみるとくどいし、一週回って逆にダサく感じるかもしれません。しかし、その瞬間までのストーリー展開や演出、場面を盛り上げるBGMが合わさったときに発する名台詞は、不思議なほどにピタッと心にハマります。これは本当に。騙されたと思って是非その瞬間を迎えてください。もうそれ以外の台詞なんてありません。なんなら俺も今それを言おうと思ってた!ってなります。一言一句違わず同じ台詞を言いたかった!ってなります。なるんです。なるに決まっているんです。僕ですか?僕はなりませんけど。でもコントローラーを握りながら「ぅぉぉおおおおお!!」とはなります。少なくとも。


世界観を余すことなく完璧に表現する音楽

なんと言っても「LIVE A LIVE」と言ったらこれです。音楽です。音楽がとてつもなく素晴らしいのです。
過去にフクイチさんが記事で書かれているのを見て死ぬほど共感してました。頷きすぎて首がむち打ち状態になり、フクイチさんに治療費を請求したかったほどです。

おそらく昨今のゲーム作品に比べれば曲数自体は少ないと思いますが、ここまで作品の世界観を的確に表現できている音楽は稀だと思います。そもそも楽曲自体の完成度がずば抜けて高いというのもあるのですが。なんかこういうこと言うとウザいのであまり言いたくないんですけど、この頃のゲーム音楽って良かったよなぁ……。いかんいかん。「懐古厨乙」なんて言われてしまいますね。ここまでにしておきます。
これは本作のメインテーマ「LIVE・A・LIVE」なんですけども、スーパーファミコン版のオープニング映像とともに是非一度聴いてみて欲しいです。

リメイク版も勿論素晴らしいのですが、やっぱり思い出補正もあってかこちらを聴くと「これこれ!!」となってしまいますね。でもリメイク版も本当に素晴らしいですよ。

他にも近未来編のフィールド曲とか功夫編の戦闘曲も大好きなんですよね。リメイク版だとどうアレンジされているのか今から楽しみです。


まとめ

まぁ、そんなこんなでですね。貴重な三連休最終日にいい大人がゲームの話で4500字以上書いてしまったワケなんですけども。いよいよ7月22日に伝説が蘇るワケです。時を越えて各時代の勇者たちと再び会えるんです。こんなもん、アガらずにはいられないでしょう。古き良き少年漫画的な熱い展開がお好きなあなた。これは絶対にプレイしておくべきです。
僕はもう今週末からは電話も出ないし、LINEもDMも返しません。何か急ぎの用事があれば今のうちに済ませておいてください。いいですね。マジでシカトしますからね。これ読んだのにしょーもない連絡してきた奴は絶交だからな。絶交だぞ。いいな。



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