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いただきますとごちそうさま〜本のひととき〜

「彼女のこんだて帖」角田光代

「メニュー」と「献立」は、ほぼ同じ意味であるらしい。
しかしなぜだろう?
「こんだて」の響きは、よりあたたかい感じがする。

誰かのために考えられたもの。
食べる人の好みや体調、旬などを取り入れた思いやりにあふれたもの。
15人の彼女たちの、料理にまつわるさまざまなエピソード。
物語はリンクして、短編連作集のような作りになっている。

目次を開いてみようか。

中華ちまき。
ミートボールシチュウ。
ピザ。
松茸ごはん。
スノーパフ。
豚柳川…などなど。

もう湯気や香りが漂ってきそうだ。
ごはんを作ることは、日常のようでいて実はそうでもない。
張り切って楽しく作れる日もあれば、
気乗りしない日もある。空腹と料理熱は必ずしも比例するわけではない。
ハレもケも、ある。

でもごはんは人を幸せにすると思う。
それを誰かと分け合えると格別。
ページをめくりながら、彼女たちの食卓の隅っこで御相伴にあずかっている気分になった。
巻末には写真つきのレシピ。
中華ちまき、作ってみたいなぁ。


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