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マインドフルネスと運動、高齢者の認知機能に効果は?

初めまして、くろと申します^^
臨床4年目
東京の回復期リハビリテーションで働く埼玉県在住の作業療法士です。


はじめに

今回は以前から注目されていた、マインドフルネスと、運動療法(有酸素運動・筋力トレーニング、機能訓練)をリハビリテーションに応用し、認知症ではないが主観的な認知機能の低下がある方へのリハビリ効果についての研究です。

主観的な認知機能の低下とは?

主観的な認知機能の低下は、医学では主観的記憶障害(SCI)と呼ばれ、
客観的な認知機能低下はないが主観的な認知機能低下の訴えのある状態をいいます。

今回の研究の対象者は?

585人の参加者が参加しました。
研究への組み入れ基準は、
①年齢が65~84歳であること
②認知機能の加齢に伴う変化を自己申告していること
③認知機能に異常がないこと
除外基準は、
神経変性疾患(認知症、パーキンソン病、脳血管疾患など)でした。

介入内容は?

①マインドフルネスを行う群は、週に8回、2.5時間のマインドフルネス瞑想と、半日間、日常から離れていつもと違った体験を楽しむ活動を実施。
※上記のうち15人は、毎日60分間自宅で瞑想練習をする課題を受けました。

②運動介入の群は、インストラクターによる有酸素運動、筋力、バランス、可動性、柔軟性を向上させるようなトレーニングを実施。
週に2回、1.5時間のトレーニングを6 か月間実施し、週に300分間の自宅でのエクササイズを行いました。

③3群目は、マインドフルネス瞑想と、運動療法を合わせて行いました。

④どちらの介入も受けず、グループで時間を過ごすことなど、プラセボで実施されました。


結果は?

開始時、6か月後、18 か月後の時点で、有酸素運動能力、インスリン感受性と抵抗性、体脂肪、除脂肪体重、身体パフォーマンス、血漿コルチゾールレベル、身体活動、入眠時間と総睡眠時間、マインドフルネス状態を確認しました。

結果は、6か月後、18か月後も、どちらの介入も受けなかった群と、有意な差はみられませんでした。
どの群も認知機能の向上がみられたとのことですが、研究者の考察では、何度も同じテストをしたためと考察しています。

結論として

主観的な認知機能の低下がある高齢者は、マインドフルネストレーニング、運動、その両方を行っても、6か月後のエピソード記憶や実行機能など機能の改善に有意差は生じなかった。としています。

今回の研究は、主観的な認知機能の低下がある高齢者への認知機能の改善に対して、これらの介入は推奨されないとしています。

おわりに

今回の記事はいかがでしたか?
以前から注目されていたマインドフルネス瞑想と、運動療法で認知機能は改善するか?という研究でした。
もっと分かりやすい記事も投稿していこうと思います。
興味があればまた見ていただけると嬉しいです^^
加えて、興味がある事があればコメントいただけると嬉しいです!

参考文献

Lenze EJ, Voegtle M, Miller JP, Ances BM, Balota DA, Barch D, Depp CA, Diniz BS, Eyler LT, Foster ER, Gettinger TR, Head D, Hershey T, Klein S, Nichols JF, Nicol GE, Nishino T, Patterson BW, Rodebaugh TL, Schweiger J, Shimony JS, Sinacore DR, Snyder AZ, Tate S, Twamley EW, Wing D, Wu GF, Yang L, Yingling MD, Wetherell JL. Effects of Mindfulness Training and Exercise on Cognitive Function in Older Adults: A Randomized Clinical Trial. JAMA. 2022 Dec 13;328(22):2218-2229. doi: 10.1001/jama.2022.21680. PMID: 36511926; PMCID: PMC9856438.


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