KuRmi

深夜2時、冬の高速道路。 サービスエリアに車を停めて、珈琲を片手に朝を待っている。

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深夜2時、冬の高速道路。 サービスエリアに車を停めて、珈琲を片手に朝を待っている。

マガジン

  • えっセンス

    感覚を研ぎ澄ませて。

最近の記事

2024 7月は過去

7/4 自分が信じてきたことの全てを疑っている。 世界に色彩を詰め込むイメージをしないと、作るものがモノクロになる。全ての広告に「働け」と書いてある気がして視線を上げられない。銀行へ行って貯金を切り崩す。手続きの際、無職の欄にチェックを入れるのが恥ずかしかった。銀行員の方に見られたことで1日凹んでいる。毎日涙が止まらないけど、心臓も止まらない。まだなにかやることがある、と思い込みたい。 7/5 天気が良くて泣いた。 昼の光がこんなに優しいと調子も狂う。いつも当たりが強いくせ

    • 妖怪

      目的地に向かって歩く道中、どうしても渡りたくない橋があったとして、回り道をするか、危険を承知で川を泳げばいいのだけれど、どうも全部イヤだ、と言ってその場に座り込んでいる。 ただそれでも日が暮れていくことには焦って、泣いてみたり、地面を殴ってみたり、とにかく幼稚そのものだ。ワガママが過ぎる。 とは言っても泳げないのに川へ飛び込むほど馬鹿でもない。崩れそうに思える橋を駆け抜けてみるのか、知恵を働かせてどうにか渡る方法を模索するかしないと、このままでは埒が明かない。 人から言

      • 映画みたいな

        カメラ:一人称視点 二日目の朝。和歌山県新宮市の大通り沿いを歩いているとふいに小路と目が合った。突き当たりには山がそびえ立っている。 少し入ってみると、民家の石垣からはみ出した木にみかんがたくさんなっていた。空と山の青さに立ち向かうその鮮烈な橙色が、今もまだ目に焼き付いたまま離れない。 さらに小路の奥へ進むと、ガードレールから下を覗いた所に緑溢れる川が流れていた。黒混じりの白鷺が二匹。紫のアサガオと赤みがかったツタ。浮世絵かと思った。 メインは伊勢神宮のつもりで始まっ

        • 霊感

          私は今、おそらく、この世の淵を渡る列車に乗っている。 辺り一体の濃霧は空との区別がつかず、まるで溶け始めた空が山を伝って地表へ流れ込んできたようだ。 普段は要塞の如く沈黙を守っている山々が一斉に念仏を唱え始めたような威圧感。 人工的な灯りで辛うじて現実味が保たれている細長い見世物小屋は、まるで人とは似ても似つかぬ神々の視線の中を潜り抜けて走る。 ここに大袈裟な表現は全く無いことを強調しておきたい。深夜のテンションでもなければ奇を衒ってもいない。 畏怖という言葉の肌触り

        2024 7月は過去

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        • えっセンス
          3本

        記事

          思い立ったが休日

          今朝たばこを吸ってたら2本目が異様に美味しかったので旅に出ようと思いました。 「前世はカタツムリ」の記事の中で「旅は向いてない」と書きましたが、あれは嘘です。向いてました。 旅と言ってもちょっと遠出レベルの、県を3つ跨ぐくらいのやつですが、これくらいがいいんです。自分の体力と飽き性についてはよくわかっているので。 〈鹿、縦断中〉 どうして思い立つのはいつも土日なんでしょうね。 運はめちゃくちゃいい方だと思うんですけど、タイミングだけは何らかのデバフがかかってるんですよね

          思い立ったが休日

          ピザって100回言って?

          圧倒的白米至上主義過激派ではある。 でも今日の朝ごはんはピザがいい。 ピザがいいと言ったらピザがいいんだァ!!! サクサクのクリスピー生地じゃなきゃヤダ!! サラミを乗せるんだァ!!!バジルソースは必須だろうがナメてんじゃねェ!!! ピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザ!!!じゃあここは?ピザ!!!! じたばた というのが脳内だとしても、実際はその辺にある特に食べたいとも思っていない食べ物を口に入れる。たぶん丁寧な暮らしの人に怒られる。 こういった事を24時間続け、

          ピザって100回言って?

          前世はカタツムリ

          〈今世は人間〉 私は2019年の夏に音楽を始めた。 楽器、歌、作詞作曲、洋楽を聴いたりもしちゃうことをここでは便宜的に音楽と呼ぶ。 それまでテレビで流れるヒットチャートしか聴いてこなかった。 お恥ずかしながら未だに知識も教養も無い。 〈準備体操〉 歌詞を書くのにわざわざ文章書かなくていいや、って感じでやめたけど、最近人のnoteを読んでるといいないいなーと思いましたわ。 さっき下書きを見たら2015年から30件くらい溜まってた。 19歳とかです。年齢を逆算しても許す。

          前世はカタツムリ

          ただ其処にある陽溜りの

          私はずるくなりました 疑うことも知らぬ程 幼い心に触れたもの 賢い顔でねじ曲げて 身に纏う術を覚えたら 心が楽になったから 真の優しさ追い求め 自ら闇に彷徨う人を 不思議そうに眺めては 平凡の輪に安堵して 歳を重ねてきましたが 今になって恥じるのです 今だからこそありありと 己の姿が見えるのです 無知と欺瞞から目を背け 素直に振る舞う醜さが 認める苦しみ知っていて 素知らぬ顔で生きました 生きる道中私には 試練と言うべき様々な 悲しみ怒りがありました かつて感じた温もり

          ただ其処にある陽溜りの

          共鳴

          ブザーが二回鳴り、バスが停留所を出発する光景を、既に三回見た。営業先に傘を忘れて取りに戻る途中で、この大雨である。 もし私に天気予報士ほどの知識があっても、傘が無いこの状況では役に立たないな、などとぼんやり考える。退屈だ。 幸い、停留所は屋根が深く、雨が吹き込むことは無かったが、家からは程遠い。 四本目のバスが行く。 傘もUberで持ってきてくれないだろうか。せめて近くにコンビニがあればなあ。あと十五分経って雨が止まなかったらタクシーを呼ぶか。 … 深呼吸に似た溜息

          決心した

          5.17 いい加減、このアパートから引っ越さないといけないと思ってる。俺の収入じゃタワマンなんて絶対無理だけど、もうちょっとマシな生活はできる。E85区域は俺くらいのレート層にかなり人気らしいし、明日にでも見に行こう。 8年もよくこんな所に住んでたと今更思ってる。シミだらけのイグサ床もカビ臭い補給ブースにも慣れたけど、最近引っ越してきた隣人が夜中に大声で喧嘩するのは我慢できない。 奮発して自己修復プログラムをインストールしといてよかった。喧嘩に巻き込まれでもしたら、人間

          決心した

          0516,S,D2

          今日の脱出訓練も成績トップだった。うちのチームが優秀なのは間違いなくアビーのおかげ。 特にパネル操作は全部アビーに任せてるから、私一人じゃ何もできないんじゃないかって不安になる。明日試験だし復習しとかないと。 船は巨大だし設備も整ってるから何の不便もないけど、無重力エリアだけはまだ慣れない。 今日の訓練中も一瞬、自分の向いてる方向がわかんなくなって焦った。 訓練の後、久しぶりにアビーとケンタッキー食べに行ったのに、店の中でおじさん達が言い争ってて居心地悪かった。 ただで

          迫りくるみんご

          仕事にするための音楽を始めてから、たった30分にも満たない「本番」のために1ヶ月、またはそれ以上気を揉むことが格段に増えた。 もちろん練習は2,3日で何とかなるものではないし、自分の中で色々と整理することもあるので、それくらいの"焦らし"は返って必要なのだが。 ストレス溜まってしゃあない。 ひたすら自分と向き合い、緊張をコントロールする日々。ピアノを弾く時も、ご飯を食べる時も、布団に入っていても常に体が力んでいる。 最近は歯を食いしばりすぎて顎が疲れるという面倒な癖まで

          迫りくるみんご

          夜長月に想う

          「日本の四季から秋は失くなってしまった」 と近年よく聞く。 桜が散り、花粉症も治まらないうちから目眩の するような暑さが続き、涼しくなったかと思えばあっという間に息が白くなる。 それでも暦上の秋になれば、近所のスーパーには焼き芋が陳列され、食卓には秋刀魚が並ぶ。 世の中に"秋"という概念はまだ存在している。 先日、午後の気だるさを紛らわそうと部屋の窓を開けた時、不意に秋の匂いがした。 匂いというのはいつも記憶と共にあるもので、 その時は小学校の遠足で食べたお弁当の味や山

          夜長月に想う

          2015.07.05

          インドアな人に見えるのに実は結構アウトドアな人だったとか、ベタだけどそういうのグッとくる。最近気になってる彼がちょうどそんな感じの人。 コンビニの前に座り込んでる女の子の特技がバレエだったら好きになるだろうなあ。でもバレエをやっているところを先に知ってたらがっかりするかな。 自分の好きじゃないと思ってたものに魅力を見つけると嬉しい。 だからいつまでも知りにいく姿勢は変えたくないなあ。

          2015.07.05