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【J2第2節 vs甲府 レビュー】この時期に課題が確認できたのは・・・・・・?

失恋した後に髪を切る。同じように負けた後に髪を切る。そういう文化があってもいいのではないか。そういうわけで僕は髪を切りました。(偶然髪を切る周期と敗戦とのタイミングが合っただけ)

試合概要

■試合情報:J2リーグ 第2節 大宮アルディージャvsヴァンフォーレ甲府 @NACK5スタジアム大宮
■試合日時:2021.3.6.Sat 14:00 K.O.
■試合結果:大宮 0-2(0-1/0-1) 甲府
■得点者:
30分:新井涼平(甲府)
77分:野澤英之(甲府)
■選手交代:
〔大宮〕
HT:OUT ネルミンハスキッチ→IN 柴山昌也
60分:OUT 大山啓輔→IN 石川俊輝
60分:OUT 中野誠也→IN 矢島輝一
60分:OUT 櫛引一紀→IN 山越康平
77分:OUT 渡部大輔→IN 翁長聖
〔甲府〕
60分:OUT 有田光希→IN 山田陸
60分:OUT 泉澤仁→IN 野津田岳人
87分:OUT 野澤英之→IN 鳥海芳樹
90+2分:OUT 三平和司→IN 宮崎純真
■両チームのスタメン:

前半の大宮

大宮の攻撃は相手を引き込んでから長距離のパスでサイド・相手DF裏に基点を作って展開していく事を狙いとしていた。
甲府は伊藤監督が率いるチームという事もあり、出来るだけ自軍がボールを持つ展開を好む。よって前線から強くプレッシングをしてくる。大宮側の狙いとしてはそこを上手く利用して、少ない手数で前進する事にあったと思われる。

上図のような4バックの形と、下図のような3バックの形でビルドアップするパターンが見られた。

実際のところは点には結びつかなかったが、前半の序盤(甲府が前からプレスをかけている間)は一定の効果があったように思われる。

甲府は先制点を挙げて以降、積極的なプレッシングをあまりせずに5-4のブロックを敷くようになった。先制したからセーフティにいきたいという点とプレスに行くよりブロックを敷いた方が大宮の攻撃に対処しやすいという点の2点が理由として考えられる。
正直言って大宮サイドはあまりこの守備に対応出来ておらず、シンプルにハスキッチの高さを使ったポストプレーが攻撃手段のメインとなっていた。

守備では4-4-2のコンパクトなブロックラインをベースに、積極的に奪いに行くスタイルを見せた。大外の相手選手を捨て気味に対応するのは、4-4-2での守備においてオーソドックスなやり方だ。
しかしそこには問題点が見られた。1stプレス隊であるCFの選手が横1列のような形で相手DFにアタックをかけてしまうため、相手の中盤へのフィルタリングが上手く機能しなかったのだ。守備というものは基本的に自分より前の選手との連携・連動から成り立っているものなので、ここのフィルタリングが上手く機能しないとCHが非常に大きな負担を強いられることに繋がってしまう。
実際に守備ブロックの真ん中を割られてしまうというシーンはいくつかあった。

また、被カウンター時のSH-SBの縦関係にも少し問題があった。3-4-2-1と4-4-2との大きな違いの1つに、5レーンを埋めやすいか否かという点があると筆者は考えている。4-4-2は5レーンを埋めにくいので、その分、迅速なスライド・チャレンジ&カバーが求められるのだ。
大宮の守備はそれらの点があまり綿密に出来てはおらず、甲府の幅を使った攻撃に苦しめられた印象だ。

前半の甲府

攻撃の狙いは有効的なハーフスペースの活用にある。
そのために甲府は基本的に横幅を広く使用し展開。4-4-2でコンパクトに守る大宮に対してWBの選手はマストで大外のレーンにポジショニングしていた。これは同じ4-4-2を採用している前節の千葉戦でも見られた形だ。このポジショニングの狙いは相手ディフェンスを釣りだして、空いたスペースをシャドーが活用することにある。

ビルドアップはWBを高い位置に上げた3-4-2-1、もしくはCBの山本をアンカーの位置に置いた4-3-3の形が見られた。

守備では序盤は5-2-3の形で前から積極的にプレッシング。

しかし、このスタイルにはもちろんリスクも伴うため、大宮にDF裏のスペースを使われる事もしばしば。それもあってか、前述した通り先制以降の甲府は5-4-1でリトリート気味にブロックを形成。

5-4-1ブロックの時は大宮の後ろの選手にボールを持たれることは許容する代わりに中盤を徹底的に封鎖。大宮の攻撃をサイドに追い込むor中盤を飛ばしてのポストプレーに限定する事に成功していた。

後半の大宮

後半は大宮が早々に多くの選手を投入したが、前半終盤からの試合全体としての基本的な流れに変更はなかった。よって簡潔に記していこうと思う。
その流れというものは引き気味に対応する甲府に対して大宮は後ろを3枚にして攻撃を繰り出していく―――といったものだ。

ただ前半と異なっていた点はもいくつかあった。
それはGKである上田が3バックの中央のような位置取りをして3-2-4-2のような形でビルドアップをするという場面が多く見られた点だ。
幅取り役はSBが完全に請け負い、SHの選手はより中央にポジショニングし、攻撃に厚みを持たせようと試みていた。

実際のところは、甲府が守備にリソースを割いていたのもあって後半の大宮は若干攻勢を強めたが、細かいところのプレーが合わずになかなか良い形でのフィニッシュには至れなかった。その証拠に大宮の枠内シュートは試合全体で1本である(出典:SPAIA)。

後半の甲府

先ほどから何回か触れている通り、後半の甲府は5-4-1のブロックをより強化して形成していた。しかし、ただ引きこもっていたわけではない。ただ引きこもるだけでは当然殴られ続けるのみだからだ。
甲府は5-4-1のブロックを第1優先としてはいたが、大宮のビルドアップ隊(CB+GK)にはSTとCFが強めにプレスをかけていた。そのタスクを完遂させるためにベンチも次々と前にフレッシュな選手を投入していた。
そこの前からのプレスで奪いきれたら、無論ショートカウンターから得点も狙っていた。結果的にショートカウンターの流れから得たセットプレーから得点を挙げたので、甲府サイドからすれば非常に効率的な追加点だったと言えよう。

さいごに

色々と課題の見えた試合だった。攻撃面ではプランA・プランBの質やそれに伴う柔軟性、守備面では根本的な仕組み・運動量にそれぞれ課題があると筆者は感じた。
しかし、「第2節の時点で課題を確認できた」と多少はポジティブに捉える事も出来る。まぁなんにせよあと40試合ある。変に焦る必要はない。また次節から勝利を積み上げていけばよいのだ。

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