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途上国は先進国に追いつけない!?

ここ最近、海外サッカーを見ているが、黒人選手が多い。

先ごろのアフリカ・ネイションズカップの決勝はセネガルvsエジプトだったが、どちらもエースが英プレミア・リヴァプールの中心選手である。私の好きなチームのひとつだが、この2人が向けている間は迫力不足が否めず、わざわざ見る気がしないのが正直なところだ。

アフリカには世界的な選手も多いし、国としてもレベルアップが言われて久しい。しかし、欧州や南米の強豪国のようにワールドカップ優勝候補となると、そこまでの国はない。

アメリカやオーストラリアなども、一時期はサッカー界の地図を塗り替えるかと思われたが、今の時点ではそこまでにはなっておらず、むしろここ何年かは存在感が薄れている。

日本も同じで、アジアの中では強豪となりワールドカップの常連だが、本戦ではグループリーグを突破するのが精いっぱいというところ。

どこも、世界のトップレベルとなると難しい。

そんなことを考えていたら、マクロ経済でこんな式があるらしい。

1人当たり資本の伸び率=貯蓄率×技術係数-人口成長率

飯田泰之「マクロ経済学の核心」より、減耗率は省略

一人当たりの資本の蓄積は貯蓄率技術力との掛け算で決まり、人口が増えれば1人当たりの資本は減る、というのだ。

上記の本でも述べられているが、この式の通りだとすると、発展途上国にはに非常に厳しいものがある。

発展途上国は貯蓄率も技術力も伸びるだろうが、今の先進国”より”も多くの貯蓄、高い技術力となると難しい。先進国は既に高い貯蓄と技術があるのだから、そこに追いつくことは出来るとしても、大きく抜き去るのは事実上、不可能ではないか。

そして、仮に追いついたとしても、先進国も同じだけ伸びていくことになる。となれば、絶対量として追いつくことは永遠にできない。

さらに、発展途上国では人口は概ね増加傾向にあるが、人口の増加は1人当たりの資本伸び率にはマイナスに作用するのであれば、追いつくことさえ至難の業だ。

例えば中国は世界第2位の経済力だが、一人当たりに直せば1万ドル程度で、先進国とは開きがある。

またブラジルなどが未来の経済大国と言われることがあるが、そんなこと、私が子供の頃から言ってる。もう40年も「もうすぐ来る!」と言われているのだ。私のカンだが、この先ももう、大国になることはないのかもしれない。

こう思えば、近年新たに先進国となった国というのも思いつかない。途上国には何とも厳しい話である。

だが、希望がない訳ではない。ひとつだけ、例外がある。
言うまでもなく、私たちの日本である。

日本は明治初期には発展途上国であったが、戦前には国際連盟の常任理事国にまでなった。また第二次世界大戦で最貧国に落ちてしまったが、戦後二十数年で世界第二位の経済大国にのし上がった。昭和の終わりには「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われた国なのである。

その裏には貯蓄率の高さからくる旺盛な投資、また勤勉な国民性や教育普及率の高さによる技術力の急速な向上があっただろう。人口は伸びていったが、それを上回る貯蓄や技術力があった。他国と比べると良く分かるが、本当に奇跡的なことだったのだ。

今の日本はデフレからの脱却が遅れ、ゆっくりと経済力を落としつつある。しかし、本来的に日本には潜在力がある。財政政策と金融政策さえ間違わなければ、必ず復活できる。

後に続く国々のためにも、みたび復活を遂げなければならない。




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