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経済を考えることは幸福を考えること

どうも世の中の人は「景気」という言葉の捉え方が曖昧なのではないか。

辞書的な意味とは異なるが、マクロ経済では景気の良し悪しは失業率で判断する。失業率を減らすことこそ、マクロ経済の目標である。不景気は失業率が増えること、好景気は失業率が減ることを指している。

株価なども景気に左右されるが、あくまで付属的な要素と理解すべきである。株価・企業収益・GDPなど、いずれも景気判断の目安ではあるし目標の一部となることはあるが、最終的なターゲットは失業率である。

景気とは失業率のことなのである。

なお、失業率が増えれば自殺者が増えることが統計的に分かっている。株価などは基本的にはお金の問題(儲かるか損するか)であるが、失業率は人間の生き死に直接的に結びついている。具体的に幸不幸を左右する。

総務省統計局によると、今年1月の失業率は2.8%、失業者数は185万人ということだ。

ここから単純に計算すると、失業率1%は66万人にあたる。失業率が0.1%増えただけでも、6万6千人もの人が無収入となる。扶養家族なども含めれば、影響はもっと大きくなる。コロナの感染者数などと比べたら、決して他人事ではないことが分かるだろう。

もしかしたら、これを読んでるあなたは「私はお金がなくても幸福」と思っているかもしれない。しかしそれは、自分のことしか考えない独善である。あなたはそれでいいかもしれないが、多くの人はそんなこと言ってられないのである。あなたの幸福の尺度を、経済的に行き詰って自殺まで考える人に押し付けないで欲しい。

結局、経済を考えることは幸福を考えることである。「金の亡者が儲け話をしているだけ」などと、決して思わないで欲しい。



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