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日本経済は中国に依存していない

日本経済は中国への依存度が高いと言われる。そのため外交でも中国に強くは出れないという。

実際、例えばウイグル人権侵害の対中決議にしても、「中国」という国名は出さず「非難」という文字も削除し、「人権侵害」を「人権状況」と言い換えるなど、結局何が言いたいのか分からないような決議しか出せない。

2020年の貿易額を見ると、確かに中国は輸出の22%、輸入の26%を占めており、どちらも相手国として第一位である。貿易に占める割合が高いことは否定できない。

ところが、である。
日本経済の貿易に占める割合が、実はそれほど高くはないのだ。

同じく2020年を例にとると、日本のGDPは538兆円だが、輸出が83兆円余り、輸入が85兆円余りである。GDPに対する寄与は輸出から輸入を差し引いた純輸出だから、実はマイナスになるのだ。

コロナ禍だから特別ということもない。純輸出がマイナスになることも珍しくはなく、1994年以降でプラス10兆円を超えたことは一度しかない。

日本のGDPは500兆円以上はあるから、2%未満である。一般のイメージと比べたら、ほんの僅かな割合しか占めていない。日本はとっくに、貿易立国ではないのだ。

さらに中国との貿易は、その中の20%台、つまり4分の1とか5分の1とかである。実は今でも、大して中国依存していないのだ。

輸出と輸入の差し引きで見たら相殺されるからそれぞれのインパクトを考えるべき、というかもしれない。それにしても、GDP全体と比較した中国との貿易額は、輸出入とも3%程度である。死活問題というほど、大きな数字ではないはずだ。

結局、一部の企業や業種が中国依存に陥っていて、それらが中国との関係を断ち切れない、ということではないか。

これまで世界中がこぞって中国との関係を強化してきたから、現状は仕方がないとしよう。

だとしても「中国依存が高いから外交で譲歩しよう」と考えるか、「外交で譲歩しなくていいように中国依存から脱却しよう」と考えるかは、選択できるはずだ。

政府・財界とも、現状を正しく評価し、経済と安全保障のどちらが大切か、優先順位を間違えないようにしていただきたい。

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