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梅を見にいかなくっちゃ
週末の季節外れの陽気に誘われてふらふらと湯島へ。
ちょうど梅が見ごろだ。人のことを言えないが緊急事態の都内とはいえ、梅見の観光客でにぎわっていた。本当はあまりよくないことだが、屋外で人との距離を気にしながらだったら後ろ指を指されない範囲かな、と。あくまで個人的な感覚だけど。
湯島の梅は枝ぶりがよく紅と白にあやしく匂い立つ。桜にくらべて梅は幹が細く、一本一本が可憐だ。それなのに香りは桜より強い。花が咲くとお祭り騒ぎになるほどの桜ほどではないけれど、梅は梅で、桜とはまた違ったインパクトがある。
湯島天神にくるたびに神として祀られている菅原道真について考えてしまう。平安時代の高官、菅原道真は政治的な陰謀で流刑されて大宰府で不遇の死を遂げる。その後、平安京に疫病や天変地異がはびこり、道真の怨霊のせいとされ、慰めるために天神として祀られた。
専門で勉強しているわけではないのでどこまで正しいかわからない(だいたいがウィキペディアによる知識だ)。私自身は特定の思想はないが、ざっとこんな流れを知ったうえで、人としての菅原道真さんについて同情してしまう。流刑したり、おそれたり、神にしたり。他人の都合によるところが多い。生きているうちにもっと本来の道真の姿を見てあげればよかったのに。
そんな道真さんが愛した梅が今年も咲き誇る。もうすぐ春がきますよ……、みえていますか?
そうだ、この季節になったら食べたいものがあったと、夜は「菜の花の常夜鍋」に。
常夜鍋はふつうホウレンソウだけど、菜の花を使うのがこの時期ならではのお楽しみ。ようやくスーパーでも手頃な価格で並ぶようになってきた菜の花は季節の移り変わりを教えてくれる。
菜の花のほろ苦さは、冬の間、土の中で耐えてきた草花の滋味に溢れる。さっと湯に通した豚肉と一緒にポン酢で食べると、なんとも言えない春のいぶきを感じる。
流通や保存技術のおかげで年がら年中同じような食材を食べられるようになったけど、やはり、季節ごとの旬のものを食べなくっちゃ。
身体の中の季節時計が刻まれる。
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土を食む気持ちして菜の花を湯がいて味わう
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