誰かに支持される(=ヒットメイキング)の難しさ
マーケティングを学ぶにあたり誰もが存在を知るのが、米国の経営学者であるフィリップ・コトラーだ。
コトラーはマーケティングの中心となる概念を確立しただけでなく、数多くの経営理論やマーケティングプロセスを提唱している。
例えば「R・STP・MM・I・C」と呼ばれるマーケティングプロセスはResearch, Segmentation, Targeting, Positioning, Marketing Mix, Implementation, Controlの頭文字を取った造語で、経営環境を理解し、自社が攻める市場を選定する戦略を立て、市場への働きかけをマーケティング・ミックスの視点から戦術を組み、実践していくプロセスを理論化したものだ。
他にも顧客の購買プロセスをフレームワーク化した「AIDMA」(Attention, Interest, Desire, Memory, Action)や「AISAS」(Attention, Interest, Search, Action, Share)など、現代マーケティング理論における様々なフレームワークを産み出している。
世の中では数多くの商品やサービスが生み出されては消えていくが、コトラーは「新製品の開発プロセス」として以下のステップを提唱している。
第1段階:「アイディアの創出」
第2段階:「アイディアのスクリーニング」
第3段階:「コンセプト開発」
第4段階:「経済性分析」
第5段階:「新製品開発」
第6段階:「テストマーケティング」
第7段階:「市場導入」
第6段階をクリアしたものが、大々的な拡販キャンペーンの対象となり本格的な販売コスト投下の対象となり、第7段階に進める。上記の何かしらのステップを踏み飛ばして一足飛びに第7段階に進み、失敗をした経験は新事業・新商品開発に携わる人なら誰にでもあるはずだ。
また、上記の様なプロセスを経たにも関わらず鳴かず飛ばずの結果や瞬間的なヒットのみでブームの下火とともに消え去ったものはとても多い。
ヒット商品や新種のサービスの開発には多大な時間と労力を要する。だが、それらがロングセラーブランドとして5年以上市場に残る確率は1%以下と言われている。
この数値はロングセラーのヒットメイキングがいかに困難であるかを物語っている。
商品開発や新たなサービスを提供する際には長く支持されるための努力や成長過程というプロセスを無視して一足飛びに成功にありつけると思わず、『ニーズに応えて利益を上げる』というマーケティングの大原則に立ち返ることが重要だ。世の中にあるロングセラー商品は例外無くトライアンドエラーを繰り返し、市場のニーズに応えるための地道な努力を続けている。
最後にコトラーの挙げたマーケティングの主な失敗要因を記す。
自分達の生み出したものが何故ヒットしなかったのか原因が見当たるはずだ。
・ 市場調査の結果の無視または解釈の誤り
・ 市場規模の過大評価
・ 高い開発コスト
・ 貧弱な製品設計
・ 製品ポジショニングの誤り
・ 効果的でない広告
・ 不適切な価格設定
・ 不十分な流通支援
・ 競合他社の反撃
ロングセラーのヒット商品を生み出すことが並大抵のことでないことを知っていれば一度や二度の失敗でめげることも無く、再びチャレンジに踏み出す事ができる。
成功に近道など無い。
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