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ビジネスにおける障壁の存在

世の中には様々な業界があるが、どんな業界であっても必ず同じ様な規模で同じ様な仕事をしているライバル企業があり、儲かっている会社と、そうでない会社が出てくる。

同じようなことをしているのに儲かっている会社とそうでない会社が出てくる原因は様々だ。その原因さえ判ってしまえばそれを修正し、儲かっている会社と同じことをすれば同じ結果が得られそうなものだが実際にやってみるとそうはならない場合が多い。

この上手くいかない原因を総じて障壁と言い、特に、新規参入しようとする会社にとっての障壁を参入障壁と呼ぶ。この壁が高いほど、他の会社は真似することができないので既存企業は高い市場占有率と利益を得ることができる。

参入障壁の具体例として規模の経済性(スケールメリット)、ブランド力、技術力、スイッチング・コストの高さなど既存企業が備える優位性が挙げられる。

米国の経営学者であるマイケル・ポーターは、参入障壁の規模を測る具体的な指標として以下の8つを示している。
 ① 規模の経済性
 ② 製品の差別化
 ③ 巨額の投資
 ④ 仕入先変更コスト
 ⑤ 流通チャネルの確保
 ⑥ コスト面での不利な点の存在 
 ⑦ 政府政策による参入制限や規制の存在 
 ⑧ 参入に対する強い報復

例えば、障壁がブランド力や資金力などの場合、ライバル企業や新規参入企業は真似することが難しい。

喫茶店の様な業種は他者が真似できない違いを作るのが難しい業態で本来、高い参入障壁は見られなかったが、コーヒー豆の仕入れルートを全て自分のものにし、空間づくり、清潔感、高級感のコンセプトを打ち出した「スターバックス」は喫茶店業界での「ブランド力」を確立することに成功し、他企業に対し高い障壁を作り上げている。

だが、どんな参入障壁もいつか必ず破られる時が来る。

障壁を打ち破る最も有効な手段は一般に「資金力」と言われている。しかし意外と多いのは、市場の変化によって障壁そのものが消失してしまう場合だ。
上記の例で言えば、コロナショックにより店舗内でコーヒーを飲む人口が減るので空間づくりや清潔感といった障壁が低くなる。

どんな企業であれ、好調がいつまでも続くということはない。ビジネスを継続していればー波や二波は必ず訪れる。

そんな時必要なのが市況や環境の変化に柔軟に対応し、他者の追随を許さない新たな壁を作り上げることだ。
この壁を作り上げる際にも既存企業の優位性が働くのは間違いないが、市況が変化したときに新規参入企業や2番手企業が新たな壁をいち早く作り出すことで一気に業界トップに躍り出ることは十分に有り得る。

大切なことは変化の兆候を一早く感じ、対応するスピードと変化するチャンスを虎視眈々と狙うことだ。

今、新たな波により各業界で障壁が次々と破壊され、業界地図が大きく変わろうとしている。ここで新たな壁を作り出すことのできる企業が次世代の勝者となる。

こういう目線で発表される各業界のニュースを見ていると、新たな一手を打ち出し新たな壁を作りつつある企業が如何に多いかよく分かる。

今、生き残る企業、業界地図を塗り替える企業はどこなのか。今後も注視していきたい。

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