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すべてのワインを味わう必要があります

アイルランドの女子大生、ブリーダの英知を求めるスピリチュアルな旅。

その旅を導くのは、2人の師。
恐怖を乗り越えることを語らずとも教える魔術師の男と、魔女になるための秘儀を伝授する女。

2人から特別な力があると認められているブリーダだが、自分の道は自分の手で切り拓かねばならない。
実世界との結びつきと、刻々と変わる自分自身との狭間で、彼女の心は揺れる。

現実とファンタジー、現在と過去を行き来しながら、揺らぐ1人の女性の成長を神秘的に描いている。

この本に出てくる魔術とは、見える世界と見えない世界をつなぐ「橋」のこと。

わたしたちは、彼女の体験をほんの少し共有し、橋の向こうの世界を少しだけ垣間見る。

しかし、それはわたしにとって全く目新しいものではない。
自分の中に元からあったものに新しい角度から光が当たるような感覚。

読んでいるうちに、自分の来歴が浮かび上がってくるような安心と新しい発見がある。

例えば、剣道で技をかける時の感覚だったり、大学生の頃出会ったキリスト教の思想だったり、アンデルセンなどの童話が語りかけてくるものだったりする。

違うもののように捉えていたものが全て繋がっていることに気づかされる。

「太陽の伝説」と「月の伝説」が確かなものであることを感じずにはいられない。

夢の追い方や男女の関係、人生の意味について共感し、運命というものを考えさせられた一冊。

Never be ashamed.
Accept what life offers you and try to drink from every cup.
All wines should be tasted..

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