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島根は東西に長い。そして、南フランスとの共通点とは…?

島根と南フランスの思わぬ共通点を知った、という話。

先日、津和野町の「香味園上領茶舗」さんに出かけた時のこと。
山陰道の「大田・静間道路」と「静間・仁摩道路」が3月に開通したことで、以前伺った時よりもかなり早く津和野に着いた気がしました。

「香味園上領茶舗」さんのカフェスペース。多言語が行き交う店内。

「香味園」のオーナーさんとも「ちょっとは早くなりました?」「そうですねえ、けっこう早く着いた気がします」という会話をしたのですが、あとで調べてみたら、3月の開通でおよそ10分の短縮となったそうです。体感的にはもっと早かった印象ですが…。

たかが10分、されど10分。今回は6時半に家を出て、津和野に着いたのが10時前だったので、「まだ朝じゃん!」と思ってしまいました。

ハナショウブが盛りの津和野。

津和野町は間違いなく島根県の町のひとつなのですが、圧倒的に山口県のほうが近いので、風土も食べ物も、山口の文化のほうが親しみがあるように思います。
「上領茶舗」のオーナーさんによると、お店を訪れる方も圧倒的に山口や九州からのお客さまが多いそう。

「松江まで、となるとけっこう遠いなあっていうイメージだけど、近くなったならすごくよかった!」と喜んでくださったあとで、「でも、島根って東西に長いから、だからこそそれぞれの地域の文化が残されてきたっていう部分もありますよね」とおっしゃいました。

そう、島根は東西に長い。

「長辺が一番長い都道府県」を調べようとしたのですが、離島を勘案すると実際の感覚とは違うデータが出てきてしまうために結局よく分かりませんでした。が、島根は日本有数の長い県、なんじゃないかと思います。
(北海道や新潟のほうが長いのかな、とは思うのですが)。

東の端っこの安来から、西の端っこの津和野まで、どーんと通っている国道9号の長さはおよそ230㎞。

昔はこの国道9号しかなくて、益田方面や津和野へ行こうと思ったら、ひたすらに海沿いの国道を4時間半くらいかけて向かっていくしかありませんでした。

東西に長いのに加え、交通網もあまり発達していない島根では、必然的に地域ごとの個性が融合しにくい、地域の特性が残りやすい風土にあったのかな、と思います。文化も風土もまったく違う西と東の人たちが、「島根県民」という、いわば「行政が作ったくくり」というカテゴリ分けのみによって、「島根への誇り」をそれぞれに持っている、というのが、なんだか不思議というか、興味深いなあ、と思いました。
松江城も、津和野の太皷谷稲成神社も、隠岐の絶景も、どれもかけがえのない、島根を形づくるもののひとつ。全部そろって初めて、私たちが大好きな「島根」になりえるのだなあ、とあらためて感じます。

漆喰の壁とハナショウブ、泳ぐ鯉。

「香味園」さんとお話をしている時に、気づいたことがありました。

それは、多伎から仁摩までが直通となったことで、一度も海を間近に見ることなく西へ来てしまったなあ、ということ。
東西に長い島根、海の色や雰囲気も、東部と西部では何となく違うのです。

以前なら、大田の国道9号沿いに海が迫ってきて、天気がいい日は車を駐車スペースに停めて写真を撮ったりしていました。

曇りや雨の日は「今日はきれいに見えんね」と言いながら通り過ぎる、それもまた楽しく、島根の東の海とはまた違う海を見るのが、西部に向かう際のルーティンとなっていたのです。

何も考えずに上(山陰道)をずーっと走っていたら、海を見なかったな、ということにあらためて気づき、その日がすごく晴れていたこともあって「ちょっと残念だったかも」と思ったのでした。

もちろん、時間が縮まることはすごくありがたいのですが、せっかく西部に来たんだから、やっぱり「西の海」も堪能したい。

そんなふうに思っていたら、「上領茶舗」さんが今月半ばからご主人の故郷である南フランスへ帰省される、という話になりました。

奥さまの瑠美さんいわく、「南フランスのコートダジュールの海岸線って、なんか島根の海に似てるんですよ」とのこと。

コートダジュールといえば有名なバカンス地。
写真や映像で見たこともあります。が、島根の海と…似ている?と、頭にはてなマークをつけて話を聞いていたら、検索して画像を見せてくださったのですが、言われてみれば…似てるかも!

ゆるいカーブを描く海岸線に、青い海。
そして、赤茶色の屋根の家並み(ぜひ検索してみてください)。

江津市の風景。赤瓦と青い海。

ちょうど、江津とか浜田、三隅あたりの海岸線と赤瓦(石州瓦という、島根県西部独特の赤い瓦)の家並みとリンクします。

「すごく似てると思う!」と瑠美さんが誇らしげにおっしゃるので、私たちもそう思えてきて、「確かに!」と盛り上がりました。

益田市・唐音水仙公園(2月)。

そんな話をさせていただいたので、津和野からの帰り、「やっぱり西の海も見たいよね」という話になり、益田市の「土田海岸」を目指すことに。

水仙の群生は香りも見事です。

以前、水仙の季節に訪れた鎌手の「唐音水仙公園」の近くです。

対向車が来たらバックするしかない…という細い道を下っていくと、急に目の前が開けて、真っ青な海が目の前に!

益田市・土田海岸

なにこれ!めちゃくちゃきれい~!と、時間も忘れてはしゃいで動画や写真を撮りまくりました。

以前益田市に暮らしていたくらしアトリエスタッフが「益田の海はきれいなんだよ!」と主張していたのですが、ほんとに…納得です。

遠くに島が見えます

コートダジュールの海もきれいだと思いますが、益田の海も相当すごい!

透明度がとにかくすごくて、海の底まできれいに見えました

で、こないだ「山陰のモンサンミッシェル」に行ってみた時も思ったのですが、こんなにきれいなのに、全然人がいない!

ある意味すごくもったいないのですが、この美しさが当たり前であるがゆえの「人がいない」という状況なんですよね…。本当に、誇るべき島根の地域資源だよなあ、と、運転の疲れも忘れて幸せな気持ちになりました。

山陰道が開通し、高速道路を多用するようになれば、遠目に海を見ることはあっても、「ちょっと写真撮りたいな」と思ったなら一度高速を降りることになります。でも、やっぱり島根の海の美しさは誇るべき資源。

急がない日には、ちょっと寄り道をしてきれいな風景に癒やされるのも良いのではないでしょうか。

こちらは「山陰のモンサンミッシェル」こと益田市・衣毘須神社

それにしても…コートダジュールといいモンサンミッシェルといい、石見地方はフランスと共通点が多いのかな?
こじつけかもしれませんが、もっと探してみるのも楽しいかもしれません!

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