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イベント心得…というほどのことでもないけれど。


うつわの直接販売マーケットが終って、2週間が経とうとしています。感染拡大が進んでいる状況で、イベントが終了してもしばらくは手放しで「終わった~!」とホッとすることはできず、ようやく少し安心できつつあるかな…という感じです。

マーケットは当初開催の予定はなく、オンラインだけで開催するつもりだったのですが、「やっぱり直接見て選びたい」という声があったり、オンラインでは販売できない作品があったりしたことから、予約制で開催させていただきました。

予約制でのイベントは、今まで振り返るとほとんどやったことがありません。ワークショップなどはあらかじめ申し込みをいただいていましたが、「いろんなものを販売する」マルシェ的なイベントの場合、どれくらいご来場いただけるのかは、当日になってみないと分からない。多くても少なくても悩ましい…これが毎回、不安の種なのです。

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2005年に「くらしアトリエ」を立ち上げてから今まで、何度となくイベントを開催してきましたが、だんだんと「こういうやり方をすると、これくらいの規模のお客さまが来られる」というのが分かってきて、ある程度予測しながら全体をデザインしていくことができるようになりました。

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とはいえ、予期せぬいろんな(良い意味でも悪い意味でも)サプライズがあり、開催中は楽しいというよりも、「何もありませんように…」と祈っている、という感じです。


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それに比べて予約制というのは「何時台に何人いらっしゃる」というのが分かっているということで、これは主催者からするとかなり、すごく、実に、ありがたいことです!今回は特に感染症対策のため、予約の枠を余裕をもってとらせていただいたこともあり、密になることもなく、良い流れでマーケットを過ごしていただけているのでは…と感じています。予約制いいなあ~。これは新鮮な驚き。


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そしてもうひとつ、本当に久しぶりに「外部の会場を借りての複数日数のイベント」でした。3年前の「シマシマしまね夏の旅」以来かな…。
米子でも開催したことはありますが、ずっとスタッフが常駐しているというのはずいぶん経験がなく、ドキドキしました…でも、外でやるのも楽しいですね。山でやるときには来られないお客さまと出会えるのが、これもまた新鮮です。


先週のコラムにも書きましたが、「イベントをする=キラキラ」みたいな方程式があるのか、すごいね、と言われることも多い。でも、自分自身はかなりインドアです。


普段イベントに行かれるんですか、と聞かれれば「いいえ全然」と答える私たちですが、なぜか主催者側に回ってはや15年が経ちました。

この間、蓄積された「くらしアトリエオリジナル版:イベントに対する心得」…というほどのことでもないですが、試行錯誤しながらスタッフ間で共有してきたいろいろな「あるある」を、少しご紹介します。


◎準備は早すぎず、遅すぎず。

外でイベントを開催するときには、必要な什器や備品、マスキングテープやはさみなどの事務用品などを、リストアップしてコンテナに詰めて運びます。

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気ぜわしいほうなので、一刻も早く必要なものを詰めてしまいたい!という性格なのですが、あまり早く準備をしすぎると、直前になって「あれ?〇〇入れたっけ」「えーと、あれはどうしたかな」と、準備が早すぎたがためにもう記憶にないぞ、ということがたびたび…。いやこれは私が忘れっぽいだけかもしれませんが、あまり張り切って早く準備をするよりも、リストアップだけは随時しておきつつ、的確な時期に、的確な順番で備品や什器をそろえるのが良いようです。最近はSlackに「イベント関連」というチャンネルを作り、そこに備品リストやTODOリストを書いて、その都度チェックするようにしています。


◎アドレナリンを過信しない

イベント前日は肉体労働。特にくらしアトリエは「山の上の坂の上」にあるため、一番大変なのが「車に荷物を運ぶ」という作業です。坂道を重い荷物を持ちながらひたすら何往復も…その時にはアドレナリンが出ているためか、そんなにしんどさは感じないのですが、帰ってから腰痛に悩まされたり、イベント終盤に疲れがどっとやってきたりします。アドレナリンを過信せず、あまり無理しすぎないように…というのは心がけています。

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ちなみに、「搬入」より「搬出」のほうが大変…最後に車から荷物を出して坂道を上がるときにはアドレナリンは出ない(疲労しかない)ので、ひたすら無言で行ったり来たりしています。

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※今回のマーケットで会場をお借りした「オープンスペース美南」さんは、建物の前まで車をつけることができ、荷物を降ろしたりするのもあっけないほどに楽で、疲れも半減でした。スタッフで「…平らってなんて素晴らしいんだ!」と感動したほどです。


◎複数日開催する場合は、カレーに頼る

これはスタッフあるあるで、イベント=カレーです。

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帰りが遅くなることが多いため、家族に速やかに、満足させるごはんを!と考えると自然と「カレーだな…そして明日もカレーだな…」ということに。もちろん、今回のイベントも3日中2日はカレーでしのぎました!

ちなみに、「終わった日はうどん」…と決まっているわけではないのですが、偶然にもイベント終了日の晩ごはんは「うどん」というスタッフが多くいました。開け放っての開催だったこともあり、身体が冷え切っていたので、あったまりたかったんですよね…。


◎絶対に忘れてはいけないもの、それは。

もちろん、おつりやレジ用のタブレット、看板など、なくてはならないものはたくさんありますが…くらしアトリエ的に「これがないと大変!」というのが、我が家にあるこのかご。

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アフリカで編まれたもので、15年以上前に愛媛の雑貨屋さんで買ったものなのですが、これが何を入れるにも万能なのです。大きさ・カーブの角度・色や質感など、すべてが100点!という感じで手放せません。

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イベントが近づくと、「これは〇さんのかごに入れたらいいよね」という会話が繰り広げられます。

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買い足したいと思っても、どこにも売っていない幻のかご…。ちなみに我が家では普段このかごにフルーツやパンを入れているのですが、イベント期間中は使えないので、キッチンが少し乱雑になります…。

マーケットの時には、小豆やスコーンを入れるのに重宝しました。ご覧になった方おられるでしょうか。


◎あしらいに全力投球

今回のうつわマーケットでは柚子や南天、ノイバラの実などをあしらいに使っていましたが、柚子は前日に事務所隣のおじさんの家にお願いし、せっせと採ってきたものです。

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イベント開催の前にはスタッフが森に出かけて木の実を採ったり(私はどんぐりが山のように採れる場所を知っています…ふふふ)、

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今回のように柚子やりんご、ハーブなど自然の素材を持ち寄って飾ったりしています。

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今回の「オープンスペース美南」さんのような古民家は、人工的に作られたものよりも自然の素材が圧倒的に合う!ので、飾りつけも楽しかったなあ。


◎できれば開始前日は余裕をもって、のんびり過ごしたい

まだくらしアトリエを始めて間もない頃、お世話になっていた「さんいんキラリ」のNさんに依頼されて、出雲で行われる大きなイベントのブースの一角をコーディネートさせていただくことに。

初めての経験でドキドキして不安でいっぱいだったのですが、前の日に確認のためにNさんのご自宅を訪ねると、麦わら帽子をかぶって家庭菜園で野菜を収穫されていました。

「前の日はこうやってのんびり過ごして、明日から頑張るだわね~。
あ、ナス持って帰る?」とNさん。
毎回イベント前日はほぼ徹夜状態だった私は、めちゃくちゃ驚いた記憶があります。

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それ以来、イベントの前の日になるとNさんのことを思い出します(残念ながら、数年前に他界されてしまったのですが)。

あれはNさんが教えてくれた、生き方の極意だな~、としみじみ思います。
あんな風に達観して慌てず、焦らず、楽しみながら当日を迎えられたらいいな…いまだに憧れです。


◎やっぱり、「お客さまファースト」で。

イベントって不思議な催しですよね。
自分たちが表現したいものを具現化してそれをお客さまと共有する。(そんな風に固く考えている人たちはあまりいないのかもしれないけど。)

ちょっと非日常な空間なのだけど、確かに日常とつながっている。「このうつわで明日の朝ごはんを盛り付けてみよう。」「このお醤油で今日、何を作ろうか。」そんな、ひとりひとりのわくわくや地域への気づきが、地域に良い影響をもたらす、というのが私たちのイベントの目的です。

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とはいえ、15年の歳月の中にはいろんなことがあり、お客さまに満足いただけなかったことや、その他いろいろ…戒めとして今も思い出す出来事がありました。そのせいか、イベントとは主催者がまず楽しむ、というよりも、お客さまに「楽しかった」「良かった」と言って帰っていただく、というのが、今でも私たちの第一義です。だから、催しが終わった後の感想も「楽しかった~!」ではなく「楽しんでもらえたならよかった~!」となるのかな、と思います。


◎やって終わり、にならないように。

前述したようにシャイでインドアな自分たちが「イベントを主催」することになったのは、「誰もそれをやっていなかった」からです。

自分たちが「こういうのがあったらいいと思わん?」という理想形を、当時山陰では誰もやっていなかった。だから、自分たちがやってみたらいいんじゃないか、それはもしかしたら、皆さんが望んでいることなんじゃないだろうか、と思い、たくさんの方の力を借りて形にすることを続けてきました。

その中で特に心がけていたのが「きちんとレポートする」ということです。

それまでの「地域づくり」のイベントって、「やること」自体に意味があり、それがどんな風に行われたのか、どういう思いで開催したのか、当日の様子はどうだったのか、というのが伝わりづらい印象でした。

参加していない人にも当日の様子が、そして思いが伝わるように、もっと発信したほうがいいんじゃないか、そんな風に感じていたのです。

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行きたかったけど当日は用事があって行けなかった、という人もいるだろうし、遠くにいながら思いを馳せている人だっているはず。
そんな人に「こういう感じで開催しました」と伝えることは次につながるし(次は行ってみたい、と思ってもらえるかもしれない)、コンセプトに対して結果がどうだったかを知りたがっている人も多いんじゃないか。そう考え、毎回イベントが終わったら当日の様子をしっかり伝えることに心を配ってきました。


以前はWEB上にしっかり「イベントレポート」を作り、冊子のようにページをめくってもらうスタイルにして、ゆっくり楽しんでもらえるようにレイアウトしました。イベントに来られた方も来られなかった方も、同じようにその時の空気を感じていただけるように。
現在はnoteのマガジン機能を使って、コンセプトからレポまでが見られるようになっています。


イベントは、やって終わりではなく、レポートまでがイベント!というのが私たちの信条です。


今もその気持ちは変わらず、遠く離れている方や、興味はあるけれど行けなかった…という方にも「いつか会えるといいですね!」という思いを込めて発信しています。


…参考にならない「心得」ばかりではありますが、今回うつわマーケットで久しぶりに外部会場のイベントを行ったことで、かつての自分たちを思い出すことが多く、備忘録的に列記してみました。

そうそう、今回のマーケット、久しぶりにヘルプに入ってくれたスタッフが「久々のイベントですごく楽しかったです!」と言ってくれたのが嬉しかったなあ。
こちらの不安を察知していろいろ気働きしてくれる優秀なスタッフのみんながいてくれたことも、今回比較的余裕を持って臨めた一因だと思います。仲間って大事。

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次のイベントはいつになるのか…やるのかやらないのか、自分たちにも分かりませんが、シャイでインドアな自分たちがこんな思いでイベントに対峙しているんだ、ということを少しでも知っていただけたら嬉しいです。



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