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愛すべきローカルフード。山陰人の「きな粉」。

水がおいしくお米がおいしいので、当然ながらお餅もおいしい山陰地方(毎回語っているように)。実は、お餅のお供とも言うべき「きな粉」もすごくおいしいのです。

今日はそんなローカルフード、山陰人が思う「きな粉」について熱を持って語りたいと思います。

山陰には、「きな粉といえば?」という質問にみんながみんな「なんめのきなこ!」と声を揃える商品があります。

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それだけ「なんめのきなこ」は島根・鳥取県民に強い印象を与えています。

「なんめのきなこ」は正確に書くと「ナンメのきな粉」で、松江市に本社がある「南目製粉」が製造販売しているきな粉です。1795年(寛政7年)創業という、歴史ある会社。

私が「ナンメのきな粉」と言って思い出すのはいわゆる一般的な黄色いきな粉ではなく、「青豆粉」として出回っている、緑色(うぐいす色、と言ったほうが的確)のきな粉です。(スタッフはこの色がスタンダードなきな粉の色だと思っていました。)緑色をしているのは青大豆から作られているからで、ザ・緑のパッケージは昔から変わりません。松江城や松江大橋(らしきもの)が描かれた、ちょっとレトロなパッケージ。そして、よく見たら「青豆粉」と書いて「きなこ」と読ませている…!

スーパーできな粉を探すとき、無条件にこの緑色のパッケージを探してしまいます。他社の商品しかなかったりすると、「なんだナンメのきな粉がないじゃないか!」と、別の店に買い直しに行くくらいには生活になくてはならない存在なのです。

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スタッフはこの「ナンメのきな粉」が全国ブランドの商品だと思っていたらしいのですが、そんな山陰出身者は多いんじゃないでしょうか。

なぜそんなに皆の心に浸透しているのか。多分それはテレビCMによるところが大きいのでしょう。現在は「おいしいきな粉はな~ん~め♪」とかわいい子どもたちの歌声が流れるCMですが、私が思い浮かべるのは「なんめのきなこ、なんめのきなこ、コロコロコロコロきーなーこー!なーんめっ!!」というやつです。

最後の「なーんめっ!!」というのが子ども心に何だかやけっぱちに聞こえ、会社の名前だと知る前は「なんめって何だ?」とひたすら疑問だったのを覚えています。

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年末のお餅の季節と、5~6月のこちらの伝統食「笹巻き」の季節に流れるこのCMが、私たちに「きな粉といえばナンメなのだ!」という概念を植え付けたのかもしれません。

※余談ですが、「南目(なんめ)」というのが人名だったことにもびっくりしました。社長さん、南目さんなんですね。

もちろん長い人生の中で他のきな粉に浮気したこともありますが、やっぱりこの青豆粉の香ばしさ、コク、そして色の美しさには他を寄せつけないものがあって、結局戻ってきてしまう、港のような存在。「おいしい」というのが何より一番。そんな当たり前のことを気づかせてくれる、山陰のスタンダードです。

スタッフは、アメリカにいる友達がおいしいと言っていたので現地へ送ったら、大変な人気になったとか。

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私も県外に笹巻きを贈るときには、必ずこの青豆粉を添えるようにしています。

きな粉はお餅や団子だけじゃなく、お菓子作りにも重宝します。子どもたちが巣立ってからはなかなか作る機会がなかったのですが、先日久しぶりにリクエストがあり、黒豆きな粉ビスコッティを焼きました。

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黒豆は「ながせファーム」さんの豆で、お正月の黒豆用に買ったものの残りをフライパンで炒って使いました。最後にホワイトチョコ+きな粉+太白ゴマ油でコーティングをするのですが、きな粉が緑色だったのでなんだか微妙な色に仕上がってしまった…。

きな粉と言えば青豆粉、という固定概念が強すぎて、黄色いきな粉を買うという選択肢が自分の中になかったことにちょっとびっくりしました。

山陰という土地が、お米がおいしく、お餅や団子がおいしく作れるからこそ育ってきた「きな粉食文化」とも言えます。

山陰にはこんな、県民の心に深く根付いているスタンダードがほかにもたくさんあるので、また折に触れて紹介していけたらと思います。

最後に…南目製粉さんには黄色いきな粉もあります。団子の粉もありますよ!

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↑こちらは少しお値段の高めな「特選」青豆粉。ラベルに会社の矜持を感じます。ナンメのきな粉は普通にどこのスーパーにも置いてあるので、旅行の際に寄ってみてくださいね。パッケージもレトロでかわいいので、お土産にも!

また、南目製粉以外にもおいしいきな粉はたくさんあります(産直市などで売ってますね)ので、きな粉の食べ比べも面白いかもしれません。ぜひお試しください!


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