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気がつけば、「作り置きおかず」が必要ないライフスタイルになっていた話。

いわゆる「ていねいな暮らし」というライフスタイルの中で、「保存食づくり」や「作り置きおかず」というのは、取り入れやすいものの一つだと思います。

私も、この2つが大好き。とても憧れます。

「ていねいな暮らし」の代名詞といいますか、とにかく「保存食」や「作り置きおかず」が特集してある雑誌をみると、ついパラパラとめくってしまいます。

30代前半、まだ社宅暮らし&島暮らしだったころは、干物を自分で作ったり、釣ってきてもらったイカで塩辛を作ったり、「ないものは作ればよい」の精神で、いろんなものを自作していました。とても面倒な作業だったけれど、できた!という感動は何物にも代えがたいものでした。

本土に帰ってきてからは、味噌づくりが毎年の定番に。
ホーローの保存容器や石見焼の大きな蓋つぼを用意して、そこに1年分の味噌を仕込む…というのが、冬の恒例行事になっていました。

6月には梅酒や梅シロップを。

暑い盛りには赤じそのシロップ、秋には栗の渋皮煮、と「手間をかけて作る」ことがとても楽しい時代がありました。

また、子どもたちが成長して部活や勉強などが忙しくなってくると、同時に自分自身も多忙になり、ネットや本で「おいしい作り置き」を探しては、週末ごとにたっぷり日持ちするおかずを作ってタッパーに保存する、というのを自らの楽しみとしてきました。

それがここ数年、そんな「手間をかけてつくる」料理が思うようにはかどらないなあ、と感じることが増えました。

原因は、ライフスタイルの変化です。

まず子どもたちが巣立って、物理的に「食べる量が減った」ということ。
加えて、子どもたちに付随していた私自身の家事も減って、「作り置きを作る必要がなくなった」ということです。

例えば日曜日に日持ちするおかずを何品か作ったとしても、お弁当は多くて2人分だし、食べる人も2人しかいないので、料理が減るスピードが半減します。
また、いつも夕方17時には在宅している、という状況なので(コロナ禍もあり、自宅で過ごす時間も増えました)、「忙しくてキッチンに立つ時間がない」という現象自体が起こらなくなりました。

そうなると、作り置きのおかずを並べてはい、できあがり!というのが、なんとも手持無沙汰なのです。

料理がストレス解消になっている私は、どうしても毎日何かを作りたくなってしまい、そうすると「作り置きおかず」+「その日に作ったおかず」が食卓に並ぶことになります。一汁三菜を心がけているのにひどい日は一汁六菜くらいになって、「なんか、おかず多いね」と言われてしまうことに…。

当然食べきれず、次の日に持ち越しとなり、でも次の日もやっぱり「作りたい」欲が沸いてしまうので、食べきれないおかずがどんどん蓄積されて、結局処分してしまう、という悪循環になってしまっていました。

子どもたちが巣立って半年くらいしてようやく、「あれ?作り置きする必要なくないか?」ということに気づき(遅い)、そこからはなるべく食材を無駄にしないように、と気を付けてはいるのですが、でも、タッパーに料理を詰めてずらりと並べる、という達成感を味わいたい!という欲もあって、両者のはざまでいつも揺れています。

何より、冷蔵庫に作り置きおかずがずらっと並んでいて、料理の名前がホーローのタッパーに書いてある、というのに憧れてしまうんですよね~。

自分がやったら絶対名前を貼るのがおっくうになり、そのうち「あれ、これ何が入ってたんだっけ」と分からなくなり、食べないまま時間が経過して、ふたを開けるのが怖い…ということになりかねませんが、ああいう「整理ができる人」みたいなのに「ちゃんとしてる感」が漂っていて、いいなあ、と思ってしまいます。

とはいえ、夫婦2人暮らしという今の自分のライフスタイルに、そんな手間は不要なわけで…。
今は、無理をして食材を無駄にするよりも、少なく買って、それを余すところなくちゃんと食べる、というのを自分に課して、買い物の頻度や量を調整しています。

コロナ禍以降、外食の頻度もめっきり減ったので、今の目標は「休日のお昼ごはんのレパートリーを増やす」こと。

本やInstagramで見えてくる素敵な暮らしに憧れ、真似をすることも(特に経験が浅い若い頃には)必要ですが、それをひと通り経験した後、今の自分には別の暮らしの楽しみ方があるんじゃないか、と考えるようになりました。

大好きな「保存食づくり」も、梅酒を作っても飲む人がいないし(うちはアルコールがイケる人がひとりもいないのです)、味噌もたくさん作っても食べ切れない。

4人家族の頃と同じテンションで作っていたら、結果的に無駄になってしまうことが増えて、「これは自己満足でしかないな」と悟り、飲み手のいない梅酒づくりはもうずいぶん前からすっぱりやめてしまいました。

でも、まったくやらなくなったわけではありません。
なんだかやっぱり「手前みそ」の味が恋しくなり、今年は食べ切れるくらいの量の味噌は作るつもりですし、ジャムづくりや切り干し大根、干し芋など、日々よく食べるものは、自分で作ることが今でも大好きです。
去年はザワークラウトや「酸豆角」にも初挑戦し、大いに(自分の中で)盛り上がりました。

自分の今の生き方・暮らし方と、憧れるライフスタイルを上手に擦り合わせ、歩み寄って、最適解を見つけていきたい。


何しろ、季節の野菜や新鮮な魚など、豊かな食に恵まれた島根という土地で暮らす私。生産者さんから直接野菜などをいただいたり買わせてもらったりすることも多く、ありがたいなあ、と思います。

そんな、食べ物には困らない環境にいることをちゃんと暮らしに活かし、無駄にしないように、日々の料理をあらためて頑張りたいものです。

サポートありがとうございます。とてもとても励みになります。 島根を中心としたNPO活動に活用させていただきます。島根での暮らしが、楽しく豊かなものになりますように。