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一畑電車に乗ろう!勝手に「ばたでん応援ツアー」敢行!地元の風景を失くしたくないから。

一畑電車、通称「ばたでん」。

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映画にもなったこの電車は、出雲市や出雲大社と、県庁所在地の松江市を結ぶローカル鉄道です。

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田舎はどこも車社会。
電車に乗る機会はほとんどありません。

「ばたでん」を利用するのは高校生、あるいは車通勤をしない湖北エリア(宍道湖より北)の会社員、そして観光客、といった感じで、普通に生活していて「ばたでん」を利用することはなかなかないのが現状です。

先日の豪雨で、一畑電車も大きな被害にあいました。線路の冠水、基礎の流出、また土砂崩れが各所で起こり、特に「美談(みだみ)駅」と「大寺(おおてら)駅」の間の区間はとても大きなダメージを受けました。

一畑電車さんとは以前、デザインのお仕事で大変お世話になっています。

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電車をモチーフにした「旅するカレンダー」のデザインをさせていただいたり、

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オリジナルマスキングテープの制作も担当させていただいたり。

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私たちとしてもすごく思い入れのあるデザインで、全国からもご注文をいただいています。

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だけど、何よりも、「一畑電車がちんまりと走っている風景」が大好きなのです。


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日常的には乗らないけれど、やっぱり頑張ってほしい。

自分たちにできることは何かないか…と考えたとき、「とりあえず乗ってみようか」「その様子を記事にして皆さんに読んでいただくことで、ばたでんの魅力が伝われば」という話になり、その週のうちにスタッフ2名で「勝手にばたでん応援ツアー」を敢行しました。

その様子をかいつまんでご紹介しますね。

朝、松江方面から出雲大社方面へ向かいます。始発駅は「松江しんじ湖温泉」駅なのですが、私たちは「秋鹿町(あいかまち)」駅から乗車しました。

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これは、「パーク&ライド」を利用するためです。

パーク&ライドとは、自宅から最寄りの駅付近の駐車場へマイカーで行き、駐車後、電車を利用して目的地へと向かう、いわばマイカーと電車の長所をあわせもつ、環境にやさしい仕組みです。
一畑電車では通勤通学用に、また休日の行楽用として各駅にパーク&ライドを設定しております。  (一畑電車公式ホームページより)

秋鹿町駅の駐車場に車を停めて、無人改札を通ってホームへ。

…この駅は15年ほど前、スタッフの子どもたちを撮影するために訪れた思い出の駅でもありました。

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この駅の標識はもう新しいものに変わっているのですが、ホームの味わいのある風景は当時のまま。
「あの時はあんなに小さかったのにねえ」「かわいかったね」なんて言いながら、電車を待つこと数分。

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電車を待つ間も、目の前に宍道湖が見えて、退屈しません。
この日は夏のはじまりを思わせる雲が広がっていました。

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数分後、やってきたのは白い車両です。

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そう、一畑電車の楽しみのひとつは、車両のバラエティ。

新型から、都市部の私鉄で運行していた古いものまで、色も形もさまざまでなかなか面白いのです。通学や通勤で利用されている方はそこまで心動かないかもしれませんが、私たちは「何色が来るかな?」とわくわくしていました。

後から調べたら、この白い車両は観光イベント用の電車としてリニューアルされたもので、中は外の景色が楽しめるような作りになっていました。

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普通の電車じゃなかったことが、観光気分を盛り立てて、余計になんだか嬉しい。当たりを引いた気分です。

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走り出すと、宍道湖の風景が車窓に広がります。

線路は国道431号(通称「湖北線」)に沿って走っているので、普段松江から出雲に向かう道路と並行して線路が通っており、車から見るのと同じ風景が広がってはいるのですが、やっぱり風景は特別に見えます。
電車特有の揺れや、ガタゴトという音、高さなど、車とは全然違う。

晴れた日も雨の日も、やっぱり松江の風景と言えば「宍道湖」があってこそ。
電車に揺られながらこうして湖が見えるなんてかなり贅沢。

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ほかの都道府県に、こういう景色が楽しめる電車はどれくらいあるのかなあ、珍しいんじゃないかな、なんて話していると、電車は「一畑口」へ。

ここは、目のお薬師さんとして有名な「一畑薬師」の最寄り駅。

かつてはお薬師さんの階段下まで線路が伸びていたとのことですが、戦争中に鉄の供出でレールが失われ、そのまま路線はなくなってしまったそうです。

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ここは全国でも珍しい「平地でスイッチバック」という運行形態が見られる駅。「この電車はこの駅で進行方向が逆になります」というアナウンスがあるので、ちょっと混乱するのですが、駅に着くと運転士さんが前から後ろの車両へ移動。それまで最後尾だった車両が運転席となり、結果として向きが逆になる、というわけです。

それまでとは見える景色が逆になり、それはそれで面白い体験です。

ここからしばらく田園風景が広がります(途中、田んぼや道が泥で埋まっている場所がたくさんありました)。
乗っている方は数名。電車好きそうな方や観光かな?という方が多い印象です。

乗り換えせずに乗っていると「電鉄出雲市」駅まで行くのですが、私たちは出雲大社が目的だったので、「川跡(かわと)」駅で乗り換え。乗り換えはとってもスムーズで(単線なので階段を使うことなく、1秒で乗り換えられます)、電車は一路、出雲大社へ。

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途中、「高浜」駅から西へ向かう途中に、線路に向かって赤い鳥居が続く参道が見えます。

「粟津稲生(あわずいなり)神社」というお社だそうで、この鳥居を狙って写真を撮る方も多いです。知らずに見ているとちょっとびっくり、な風景です。

そして、次第に田んぼの風景がぶどうのビニールハウスに代わり(出雲はぶどうの産地です)、ほどなく「出雲大社前」駅に到着しました。

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何といってもこの駅は、駅舎がかわいいのが自慢!

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こじんまりした駅舎ですが、上部にカラーグラスがあってちょっと教会のよう。改札口もレトロでとっても良い雰囲気なのです。
ちなみに、建物は登録有形文化財に指定されています。

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駅にはちいさな売店があり、一畑電車のオリジナルグッズも販売されています。
けっこう商品の展開がたくさんあるのですよ~。

ちなみに、くらしアトリエデザインのマスキングテープもこちらでご購入いただけます!

駅舎を出ると、前に広がる道路が「神門通り」。
ご存じ、出雲大社へと続く参道です。

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石畳の道路で、両脇にお土産物屋さんや食べ物屋さんがずらりと並んでいます。

平日でこの社会情勢、ということでお客さまはまばら。ちょっと寂しい風景でしたが、それでも出雲大社の境内には多くの方が訪れていました。

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地元の、特に出雲の方からは「たいしゃさん」と「さん付け」で呼ばれている出雲大社。
地域のゆるぎない誇りであり、信仰が特になくても、なぜか守られているように感じます。

それだけ、地元の人にとっては大きな大きな存在。

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境内はたくさん人がいるのにどこかしんとした空気が漂います。

もう何十回も訪れていますが、良いところです。

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ご存じの方も多いと思いますが、旧暦の10月は神無月、というのに対し、出雲だけは「神在月(かみありづき)」と言って、全国の八百万(やおよろづ)の神さまたちがこの出雲大社に大集合し、会議をすると言われています。

この間はさまざまな神事が行われるのですが、出雲大社の近辺に住む人たちは静かに生活をするのだ、と以前聞いたことがあります。

観光客の皆さんで賑わう季節でもありますが、一方でそういった厳かな慣習も残されていて、出雲大社が地元の人々に根差した信仰の対象であることが、よく分かりますね。

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そして、出雲大社の背後にある山の稜線が、神社の荘厳さをさらに引き立てている…と思うのです。背後にあるのは「八雲山」。
この山があってこそ、の出雲大社だなあ…と、風景を見ていると感じます。

あまり詳しくはないのでたくさん説明はできないのですが、ばたでんに乗ったらぜひ、何はなくとも、出雲大社は訪れていただきたいですね。

島根の誇りです。

さて、勝手にばたでん応援ツアー、帰りはオレンジ色の電車でした!

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これもかわいくて嬉しい!

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やっぱりばたでんと言えばこのオレンジ色ですよね。

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マスキングテープでも一番人気はオレンジ色です(シマシマしまねでは)。
(ミニチュアの電車もシマシマしまねのネットショップで売っているのですが人気商品のため、ただいま欠品中です。申し訳ございません。)


一畑電車さん、どの時間帯がどの車両か、というのをどこかで発信してくれないかなあ…。

電車の色で乗りたい時間を決める、というのも楽しいんじゃないかと思いました。

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こちらは昔ながらの電車の内装です。

宍道湖が広がる風景を見ると「千と千尋の神隠し」を思い出しました。カオナシと一緒に旅をするあの電車です。

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朝に見たときとはまた違った色をしている宍道湖。帰ってきたなあ…という気持ちになります。

そして、電車は「秋鹿町」駅へ。線路の向こうに消えていくオレンジ色の車両を最後まで見送って、応援ツアーは終了となりました。

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今回電車で松江~出雲を往復してみて感じたのは、「ばたでんのある風景」も好きだけど、「ばたでんから見える風景」も好きだなあ、ということです。

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美しい湖も、広がる田園も、ごちゃごちゃっとした民家の立ち並ぶ場所も、どれも人の営みが感じられ、島根そのものを強く意識させる風景です。

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そしてそれらは、車から見るのとはまた違う、というのも実際に乗って初めて分かることでした。時にゆっくり、時に揺られながら、それぞれの駅で少しずつ休憩しながら、じんわりと噛みしめていくような…そんな1日。

前述したとおり、島根は完璧な車社会であり、電車に乗る人は限られています。それでも、松江や出雲に暮らす人ならやっぱり、「ばたでん」の存在は欠かせないし、電車のある風景は失くしてはならない、と思っている方も多いのではないでしょうか。

ひとりでできることは限られますが、「今日は目的地が駅の近くだから電車で行こうかな」という選択をする、というのも、地域資源を守るひとつの方法ではないか、と思います。

パーク&ライドについては、下記に具体的な駅の利用方法などが記載されています。

例えば「松江しんじ湖温泉」駅では土・日・祝日がパーク&ライドできますので、駅の前の駐車場に車を停めてちょっと大社さんへお参り…というのも良いのではないでしょうか。

また、電車の大きな特徴として、「自転車乗せていいです」サービスがあります!具体的には「レール&サイクル」という制度で、乗車券と別に片道320円を支払うと、マイ自転車を乗せて一緒に旅をすることができちゃうのです。
良くないですか?

詳細はこちらのページにありますので、サイクリストの皆さま、ぜひ電車と自転車でツーリングしてみてくださいね。

今回、豪雨災害があったことで、地元の風景の素晴らしさについてあらためて考えることになりました。

それは一畑電車だけではなく、雲南や飯南、奥出雲などの田んぼの風景、山並み、すべてに言えることです。

大切な地域資源、こうして危機に陥ったときにそのありがたみを感じるというのも少し悲しいですが、でもやっぱり、失くしてはいけない!私たちも日々、そのありがたみを実感しながら発信を続けていきたいと思います。

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そして島根にお住まいの皆さま、「ばたでん応援ツアー」をぜひ勝手に、それぞれの楽しみ方で敢行してみてくださいね。おすすめです!


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