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「プライスレスな収入」という価値を作る。「嬉しかった」を積み重ねた2023年度のこと。

今日は「お金では計れない収入についての報告」なるものを行うことにしました、というお話です。

私たちくらしアトリエはNPO法人で、通常、年に1度の定期総会が義務付けられています。

今年度も、その総会に向けて準備を進めているところ。その中で感じていることを、今日はコラムとして綴ってみようと思います。

総会では活動計算の報告を行うのですが(企業で言うところの決算報告)、これとともに、「お金では計れない収入についての報告」も行おう、ということになりました。

もちろん法人としていくら収入がありいくら支出があって、という計算は(当たり前ですが)とても大事で、法人としては頭の痛いところでもあるのですが、そうではない尺度で法人の成果や実績を表現できる、というのが、NPO法人の特徴でもあるのかな、と思っています。

具体的には、活動をしていて「言われて嬉しかったこと」「されて嬉しかったこと」を日頃からメモしており、それを総会の場で文章にして、スタッフに共有する、という取り組みです。

実はこれ、法人の会計担当者からの提案。
数字を追っているスタッフからそういう提案が行われるのは、ちょっと意外に思われるかもしれません。それには、理由があるのです。

法人の活動の中で、思いがけなく褒めていただいたり、励みになる言葉をかけていただくことがあります。

それはもう、飛び上がるくらい嬉しいです!ありがとうございます。

いただいた言葉は私たちの財産そのものなのですが、単なるお金のプラスマイナスの報告だけをしても、その財産は可視化されず、見えてきません。

だから、「プライスレスな収入」という別の価値を作り、みんなでシェアしてはどうか、というわけです。

違うものさしでくらしアトリエを考えることは、振り返りの手段としてとても有効です。そして、日頃あまり活動に参加できないスタッフに対して、私たち中心スタッフが感じたことを共有することで、法人の方向性を再確認し、「ともに頑張ろう」という意識を高めることもできるのかな、と思っています。

提案を受けて、日々嬉しい気持ちになったときにslackに書きためておいたあれこれ…少し、ピックアップしてご紹介しますね。

「山の図書室」の会員の方……「図書室で本を借りて、自分が暮らす土地の温泉の足湯に浸かり、15分くらい本を読むのが習慣になりました。お湯に浸かりながら景色を見たりするのが、癒やしとなっています。」と言ってくださった

島根に移住してこられた方……「移住して、地域という概念に興味が湧いた」とのことで「山の図書室」を訪れてくださり、蔵書の中からそういうジャンルの本があるか相談を受けたので、何冊かピックアップさせて頂いたら「とても興味深く読むことができた」と言ってくださった

イベントに来られた方……松江で開催されたイベント「とのまち春の贈りもの展」でお菓子を購入していただき、後日「とってもおいしかったからもう一度来た」と、イベント期間中にリピートしてくださった。その後、出雲市で開催された「Sunday Market CiBO」にもご来場いただき、「ここに置いてあるものはきっとどれも美味しいわよね」と、別のお菓子を買ってくださった


うつわイベントに来られた方……パートナーと一緒に来られた方で、最初はあまり興味がなさそうだったけれど、いろいろな作り手さんの作品をご覧になるうちにどんどん楽しそうにしてくださり、お気に入りのカップを購入してくださった。会場で「楽しい~!」と笑っておられたのが印象的だった

また、お客さまだけでなく、お世話になっている作り手の方、生産者の方、お店の方からも、嬉しい言葉をいただくことがありました。


うつわイベントに作り手として参加してくださった方……友人(陶芸をされている方)がイベントに来られたそうで、「すごく素敵に飾ってあったよ、いいなあ、私も参加してみたい」とおっしゃってくださっていたとのこと。


「くらしアトリエさんのイベントで商品を紹介してもらってから、ちょこちょこと新しいお客さまが来てくださるようになりました」という言葉(これは本当に本当に嬉しい…!)


「Sunday Market CiBO」に参加した際、別の参加者の方から「くらしアトリエさんのブースのディスプレイやあしらいがすごく素敵で刺激をもらいました」「わくわくするよね」という言葉をいただいた(重たい什器やうつわたちを頑張って運んだ苦労が報われた瞬間でした)

ほかにもたくさん、本当にたくさん励ましやありがとうの言葉をかけていただき、「活動していて良かった」を折に触れて感じさせてもらっています。

また、これは番外編ですが…「〇〇屋さん」という固有の肩書を持たない、傍から見ると「何をしているのかよく分からない人たち」というレッテルを15年以上貼られ続けていた私たちに対して、

「”今すぐに、分かりやすく説明できる「何者か」である”、ということ以上に、何者かであるその人がいつか歩みを止めたとしても、積み重ねてきた時間とともに、関係した何処かや誰かがいつまでも覚えていてくれる、何かしらの良い作用が途切れることなく育っていく、こんなに素晴らしいことはないのかもしれない」

という言葉をいただいたことがあり、活動の芯のところを理解してくださっていることに、本当に感激しました。

こんな素敵な言葉で活動を言語化することができるなんて…そして、そんな方が私たちのことを好ましく思ってくださっているなんて……と、涙が出るほど嬉しかったのでした。
「何者である」と名乗ることが重要なのでは‥と思い込んでいた私たち、「何者か」を名乗れなかった私たちのコンプレックスを軽く吹き飛ばしてくれた言葉でした。

そして、これは本当に不思議なのですが、例えばちょっと物事がうまくいかなかったり、アイデアが煮詰まって雰囲気が良くなかったりするときに限って、思いがけないところからメールをいただいたり、不意に言葉をかけていただいたりするのです。

まるで神様が救いの手を差し伸べてくださった(大げさですが)ような感じで、そのたびに「よし、頑張ろう!」と思わせていただける…ありがたいなあ、と思っています。

これらのありがたい言葉たちは、(前述しましたが)まさに自分たちの財産であり、またガソリンでもあります。
ひとつひとつは、お客さまや、関わってくださった方々が何気なく発した言葉かもしれませんが、その積み重ねが次にまた踏み出そう、という一歩を踏み出すエネルギーとなっていると、今回この報告資料を作っていてあらためて思いました。

2024年度も、たくさんの「嬉しかった」を積み重ねていけるように。

私たちの活動拠点のオープンスペース.美南の前の麦畑

経済的な自立や成長も目標にしつつ、プライスレスな収入もちゃんと増やせるように、しっかりと地に足をつけて活動をしていきたいと思います。

くらしアトリエってどういう人たちなの?と思った方は、ぜひこちらの動画で。島根の素敵な風景とともに、活動紹介をしていますので、ご覧くださいね。






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