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”続けていれば、誰かが見ていてくれる。”

以前のコラムで「NPO法人化15周年記念イベントをやりたい」という話を書きました。

そのあと、「2022年はイベントもうやりません」という話も書きました。

明けて2023年。
そろそろ来年度(4月)以降の計画にも着手しなければいけない時期です。

自分たちの中で「法人化15周年」は大きな節目なので、何か形に残したい…というのは思いとしてありつつ、さんざん迷っていたのですが、ようやく一つの方向性が見え、先週くらいから具体的に企画がスタートしています。

その企画の中で、立ち上げ(2005年3月にホームページ「 SLOW+SLOW」を立ち上げる)からNPO法人化(2007年12月)、そしてはたひよどりへの移転など、くらしアトリエの歴史を振り返る必要があり、どんな活動をしたのか、スタッフがそれぞれ振り返っているのですが、これがなかなかに感慨深い。
というか、若かりし日のあれこれを思い出して、ちょっとしんどい。

もちろん、立ち上げから今までのことを振り返ると、総じて「楽しかった」ということに尽きるのですが、特に法人化してからの数年間は、「自分たちの活動に対しての自信のなさ」や「NPO法人化したからと言って何もかもが好転するわけではない」といった、どちらかというとネガティブな気持ちになる経験も多く、当時の写真を見ると、ついその時の感情に立ち戻ってしまいます。

15年前は、地方にまだ目が向いていない時代だったし、働き方も今よりはるかに単一的でした。

「島根(山陰)っていいところだよね」と「ただ発信」することを「活動の根幹」に置いていた私たちは、「果たしてそれが仕事になり得るんだろうか」という疑問・不安と常に相対しながら過ごしていたように思います。

コンセプトはたぶん、間違っていないし、「意義のあることをしている」という自負もある。
だけど、「意義のあることをしている」からといって100%の人が手放しで賛同してくれるわけではないし、それでお金がもらえるわけでもない。それって本当に仕事なの?NPOとして地域に貢献できているの?と自問自答する日々。

いつも「こういう活動の仕方でいいのかなあ」「本当に伝わってるんだろうか」と、後ろを振り返ってばかりいました。

今では当たり前ですが、16年前にエコバッグを持って買い物に行こう!というコンセプトでイベントしてました。当時は珍しかったなあ。

多くの人の目に触れたり、気づいてもらったりするために、いろいろな企画をするのだけれど、なんだか枝葉の部分だけがどんどん増えて、幹の部分が全然伝わらなくて焦っていたのだと、今となっては分かるのですが…。

加えて、女性のグループが草の根的な活動をすることに対して時折向けられる、ちょっと揶揄や嘲笑の混ざった声。

「結局、旦那さんがいて扶養に入ってるからできる働き方だよね」と面と向かって言われて落ち込んだこともあったし(今の自分なら「それが何か??」と言い返していただろうけれど、きっとその部分で当時の自分自身にも引け目があったのでしょう)、年上の男性の方に「こっちは本気でやってるんで。遊びじゃないんで」みたいなことを言われたこともあったなあ…。(私たちも楽しくやってるだけで、遊びではないのです‥とは言えなかった)

楽しく仕事をすることがあまり良くない、みたいな概念もまだ存在していて(根性!仕事は辛くて当たり前!みたいな時代)、「子育てママが集まってやってる何か」みたいな目を向けられていたこともあった…ように思います。

そんな声を「はいはい」とあしらう技も心の修行もできていなくて、真正面から傷ついてしんどくなったりしていました。今思うと、ひたすらに若いな…。

社会信用性が欲しくてNPO法人という道を選んだけれど、そしてもちろん、一定の信用性は得たのだけれど、でもやっぱり根元の部分で「ミッションを達成する」ことへの不安や迷いが大きく、変な声をはねつけるためにも「ちゃんとしなくちゃ」という気持ちが強すぎて、殻の部分だけが厚くなってしまうような感覚…うまく言えませんが。

でも、きれいなことを言うようで恐縮なのですが、迷ったり不安になったりするときに、なぜか不思議と、まったく違う方向から「いつも応援してます」と声をかけていただいたり、思わぬ新しいお仕事の話が舞い込んだりして、私たちはまた、前に進むことができました。

新しい風が吹く…というのでしょうか。思い切って話しかけていただいたり、遠くから訪れてくださったり、不思議と落ち込んでいるときに、新たな救いの手が現れるのです。

なぜこの落ち込んでいるタイミングで?と不思議に思うくらいのタイミングでお手紙をいただいたり、メールをいただいたり、時には直接声をかけていただいたり。

「共感しています」「ずっと見ていました」という声が、何より自分たちの支えになっています。

これは、今もずっと変わりません。立ち上げて17年、法人化してから15年、いつもどの部分においても、あたたかな言葉で助けてくださった方のことはすごくクリアに覚えていますし、「幸せになってくれているといいなあ」と心の底から思っています。

”続けていれば、誰かが見ていてくれる。”
それが、長く活動をしていて確かに感じた真理なのです。

逆に言えば、続けていたからこそこうしたあたたかさに触れることができたわけで、「続ける」意義ってこういうことなのかな…と感じています。

くらしアトリエの中で、「苦い経験」として避けて通れないのが、2007年のイベント「森の冬じたく朝市」です。
こちらが想定した以上にたくさんのお客さまにご来場いただき、結果的に一部の商品が圧倒的に足りなかったり、お待たせする時間が長くなってしまったりして、たくさんのご意見をいただいたことがありました。
反省とともに、何度も何度もこの出来事を思い出し、「なぜそうなったのか」というのを今も考え、現在のイベントへの向き合い方につながっている出来事です。

ともすれば感情的な意見の応酬になってしまいがちな当時の掲示板(BBS)。
私たちは、「とげのある言葉のやりとりではなく、もっと建設的な意見交換をさせてください」と、「朝市フォーラム」という企画を立てて、ご意見のある方と直接お話がしたい、とホームページで募集をし、訴えました。

結局、掲示板でご意見をくださった方々にはご参加いただけませんでしたが、当時お付き合いのあった新聞社の支局長、編集者、実際に朝市に参加してくれた知人、行政の方など、多方面の方をお招きしてフォーラムを開催しました。

先日、そのフォーラムの議事録を振り返ったのですが(これもある意味辛い作業でした)、いただいたご意見の中に


・モノを買いにきた、という方には、売り切れても後日発送ができるようなシステムを作るのはどうか。
・回数を重ねて、参加してくださる方にもコンセプトを浸透させ、意識を変えていただくことが必要なのではないか。
・コンセプト重視のイベントなのか商業ベースでやっていくのか、それによっても仕入れるモノの数や種類は変わると思う。
・思い切って、来場者を絞り込む(予約制、整理券など)ことで、来場者の方に心からのおもてなしをする、というのも手法も選択の一つではないだろうか。

といったものがありました。
どれも、私たちの活動に理解をしてくださったうえで、どうしたら良い方向へ進むのかを真摯に考え、出してくださった言葉です。

正直、フォーラムでどんな話をしたのかはもう忘れかけていたのですが、こうして振り返ると、いただいたご意見を自分たちなりに模索し、それが今のくらしアトリエのイベントや企画の在り方に大きな影響をもたらしている、ということがよく分かります。

来場者の人数よりも、共感していただいた方の人数を増やしたい。

予約制やネットショップなどのシステムを使って、多様な状況の方々にそれぞれのペースで楽しんでいただけるような活動がしたい。

いただいた意見が、ちゃんと生きている。

苦い経験を経たからこそ、今のくらしアトリエの楽しみ方・発信の仕方が生まれたんだなあ…と、議事録を読み返してなんだか腑に落ちました。
振り返るのも、悪くないですね。

立ち上げからずっと、「成長すること」が正しいことなんだと思ってきたけれど、今はその「成長」のベクトルが、以前とは違っていると感じています。

外側からの評価を考えれば「人の数」や「お金の額」など、目に見えるものをどうしても軸に考えなくてはいけなくなりますが、そうではない、概念的な部分で自分たちをちゃんと言語化する、というところをもっと強化したい、というのが今の気持ち。

そういう意味でも、今回の「法人化15周年」の企画は、自分たちに課せられた「乗り越えるべき壁」であり、「新たな成長への道しるべ」でもある。
過去を振り返るきっかけになっているとともに、未来を考えることでもあるのだなあ、と思っています。

春には、イベントも企画しています。
詳細はまたお知らせしますが、くらしアトリエが今まで培ってきた「小さな渦」を体現できるようなものに、と考えていますので、お楽しみになさってくださいね。


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