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「しめ縄物語」~藤原恒夫さんがつくり出す確かな手仕事。

くらしアトリエが「新しい年を迎える喜びを、何か手仕事で表現したい」と作り始めたのが、オリジナルのミニしめ縄と鏡餅。作り始めてもう10年が経ちます。

しめ縄はうちのスタッフに作れる人がいないので、県内の技術のある方に製作依頼しています。

一番最初は、雲南市吉田町の皆さんに。社会福祉協議会を通じてグループを紹介していただき、打ち合わせを重ねて製作していただいていました。

次は、松江市西長江町の消防士さんに。「おむすび朝市」がご縁でつながることができて、何年間かおひとりで作ってくださっていました。

その後、何年かしめ縄を作らない時期がありましたが、おととしの秋に「シマシマしまね」を始めることが決まり、やっぱり島根の手仕事を皆さんに知っていただく意味でも、しめ縄は作りたいね、と、作り手を再び探すことに。

とあるご縁で知り合ったのが、今回ご紹介する藤原恒夫さんです。

飯南町にお住まいの藤原さん。昨年、最初にお電話したときには、とーっても明るい声で「はいはい、聞いとりますよ、しめ縄ね。一度見にきんさい。」とお誘いを頂きました。

待ち合わせ場所に指定されたのは、飯南の道の駅近くの宿泊施設「衣掛(きぬかけ)」。

「僕はねえ、80過ぎのちいさな男ですけん!待っとりますけんね」とのこと。

「ちいさなおじいさん」という特徴だけで果たして分かるのだろうか…と不安にかられながら向かうと、施設の前に、本当に小柄のおじいさんが直立不動で待ってくれていたのです。か、かわいい…。

「遠くまで、わざわざありがとうね」と笑顔で言ってくださり、「あー絶対にいい人だ~。この人に頼もう!」とその時点で心は決まり。ロビーでコーヒーをごちそうになり、作品をたくさん見せて頂き、藤原さんがいかにしめ縄づくりにやりがいを持っておられるのか、喜びを感じておられるのかを肌で感じることができました。

飯南の造り酒屋で働いておられた藤原さんが、「ちょっとやってみんか?」としめ縄づくりに誘われたのは今から30年以上前だそうです。続けるうちに師匠さんよりも上手になってしまい、「お前に譲る」と太鼓判を押されて、以来毎年いろいろな方の依頼にこたえてこられました。

一度、ご自宅までうかがって作業の工程を見せていただいたこともあります(その時は「衣掛」からご自宅までの道を、自ら全力疾走で誘導してくださいました。車より速い…すごい元気だな~)。

ご自宅の中には、ひしめき合うように、あそこにもここにもしめ縄の作品が!中には「これは東京タワーのつもり、うふふ」「これはオリンピックの…」と、かなり斬新な作品も…。

人生を楽しんでおられるんだな~。このお歳でこのバイタリティ、本当にすごい!

手のひらを見せていただいたのですが、30年の地道な作業を物語るように、ほとんど指紋がありません。身体全体を使って、わらをなっていく作業は、思った以上に重労働。「こうやって、こうやってなうんよ」と教えてくださる、その作業の力強さ!出来上がったしめ縄はとても堅くて、どこか凛としたたたずまいに見えます。歴史と、確かな技術がつくり出すもの特有の、背筋が伸びるような雰囲気です。

「今年も、あの人とあの人と、それからあの人と、いっぱい頼まれとるんよ」「役場のところにも、僕のしめ縄が飾ってあるんよ」と、嬉しそうに教えてくださる藤原さん。ご自身の仕事に誇りを持っておられて、でも「お金のことを考えてやったらいけん。皆さんに喜んでもらう、それが何よりだけんね」と、熱く語ってくださいました。来年も、その先もずっと元気でしめ縄を作り続けてほしいなあ、と願わずにはいられません。

私たちくらしアトリエにできることは、こういう、掛け値なしの情熱を持った方々の作るものを、その思いと一緒に皆さんにお伝えすること。そして、手に取っていただき、作り手の方に、喜びとしてお返しすること。

いいものを、それを求めている方に、きちんとお届けする。そのことで、「ここで暮らしてよかったな」という豊かな気持ちを双方に持っていただくこと。 ―藤原さんに出会って、自分たちのなすべきこと・向かうべき方向をまたひとつ教えて頂いたように思います。

そんな藤原さんにひとつひとつ作っていただいたミニしめ縄。今年も、「シマシマしまね」やネットショップにて販売いたします。

なお、今年は稲の生育が芳しくなく、通常よりひとまわり小さなしめ縄となりました。「小さくなっちゃって…」と、ちょっとしょんぼりされていた藤原さん。自然のものを使って作るってこういうことなんだなあ、とあらためて実感しました。

もともと、年神さまをお迎えするのにふさわしい神聖な場所であることを示すために始まったとされるしめ縄。飾ることで、その内側、つまり家の中が清らかな場所となり、神さまが安心して降りてきてくださる、結界のような役割を果たしているそうです。

しめ縄のベースに、くらしアトリエスタッフRさん作の「めで鯛」のモチーフと「迎春」のタグがつきます。鯛もタグも、ひとつひとつ手作りですよ~!

新しい年を迎えるための大切な空間を、確かな技術と熱い心を持った藤原さんのしめ縄で飾ってみませんか?シマシマしまねでは、11月21日(水)からのイベント「うつわと暮らしを楽しむWEEK!」で販売予定です。そのほか、ネットショップ・米子市のティズクレイさんでも販売を予定しています。

どうぞ、よろしくお願いいたします!




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