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さむい。
 
窓の外では白い雪が降り続けている。「しんしんと」なんて美しさを思わせる感じで降っているのならまだいいものを、空から落ちてくるそれは勢いを増すばかり。それはもうぼさぼさと降っている。
「長いトンネルを抜けると雪国であった」という有名な一文があるが、この調子で振り続けていればこの物語の主人公はトンネルの中から出られない。いや、それどころか電車がそこまでたどり着かないだろう。
あぁ、夏に戻りたい。肌を焼く日差しが恋しい。

ふと、糸魚川に取材に行ったことを思い出す。あの日は窓越しにも日差しが肌を焼いてくる中、取材先以外にもいくつかの場所を見て回っていた。
今回はそのことを記事にしようと思う。前回までの記事のような学びとか、そういうのは全くないので気軽に読んでいってくれたらうれしい。

1. 割烹 地魚 浜寿司

まずは、「割烹 地魚浜寿司」。
糸魚川についたのがちょうどお昼時で、まずは腹ごしらえ、と向かったお店だ。浜寿司という名前だが、メニューにはお寿司だけでなく様々なものが載っていて、カレー、ラーメン、うどん、親子丼や焼肉定食なんてものもあった。
そんな、目移りしてしまうメニューの多さの中で私が頼んだのはうどん。細い麺に刻みネギと卵というシンプルなものだが、これまたおいしい。どこか懐かしい感じのする味であった。
ちなみにうどんの写真を撮り忘れるという大失態を犯してしまったので、カメラマンの方が食べていたちらしハーフの写真でお茶を濁すことにする。

お値段もちらしハーフは1000円くらい、うどんは600円と手頃だったので糸魚川で食事をする際はぜひ行って見てほしい。

2. 海

浜寿司を出て、取材の約束時間まで余裕があるということで海に向かう。浜辺というと砂が広がる景色を思い浮かべる人も多いと思うが、糸魚川の海は砂ではなく石が広がっていた。私のように砂で足がざらざらするのが嫌という人におすすめの海である。(ただ少し歩きにくくはあるが…)

そしてこの海岸、実はヒスイが採取できる…かもしれない場所なのである。
糸魚川はヒスイが取れることで有名な地域。糸魚川の海岸ではヒスイが転がっていることもあるのだ。
私たちはヒスイを探すほどの時間はなかったので、昼の日差しが反射する海を眺めながら話をしていたのだが、暑い。遮るものがないのでひたすら暑かったのを覚えている。けれど冬の荒れた日本海のイメージからは程遠く穏やかに打ち寄せる波と見慣れない石の浜は私のテンションを上げるのには十分すぎるほどだった。

今回行った場所は違うが、ヒスイ海岸という場所ではヒスイ探索キットもあるという噂だ。次はヒスイを探しに糸魚川に来るのもいいかもしれない。

3. 孫平books & flowers

本好き、集まれ。
次に紹介するのは、古本とドライフラワーのお店「孫平books & flowers」。この日は、特別にお店を開けてもらいお邪魔した。古本屋なので入ってすぐ本棚が目に入ってくるが、本が立ち並ぶその中にドライフラワーの花束などが飾られていた。

古本屋はそれぞれのお店ごとにおいてある本に特徴が出る(私がそう思っているだけだろうか…)。例えば、詩の本が多いお店、町に関する本が多いお店など。
孫平books & flowersさんは絵本や児童書など子供の本が置いてあるのが印象的だった。もちろん岩波の日本文学シリーズや一般小説なども置いてある。ただ、古本屋で児童書や絵本が置いてあるお店に出会ったことがなかったのですごく驚いた。古本屋は子供には行きづらい場所で、大人でも少し入りづらいイメージがあるのに、ここは子供を連れてきてもいい、そんな雰囲気のお店だった。

4.長者温泉ゆとり館とツギハギの家

古本屋を出て、少し日の落ちてきた中を進む。夏とはいえ、木が生い茂る森の中では日が落ちてくると、肌に当たる空気の温度が少し下がっていた。
最後に紹介するのは「長者温泉ゆとり館」。こちらは昨年度に取材記事が書かれているのでそちらの方も見ていただきたい。

日帰りでも利用できる温泉宿。古民家宿だからだろうか。ロビーも部屋も暖かな雰囲気にあふれていてすごく居心地のいい空間だった。奥の棟には囲炉裏のある空間もあり、冬に囲炉裏を囲んであたたまるのも素敵だなと思う。
朝には、一棟貸し出しを行っているツギハギの家の見学もさせていただいた。こちらは2023年の6月にオープンしたばかりで、長い間空き家だった古民家をリノベーションしたものだそうだ。

広いリビングにキッチンと二階がついた宿泊できる家になっている。ここの二階は秘密基地のようですごくわくわくした。
ツギハギの家から少し遠回りをして、散歩をしながらゆとり館へ戻る。水の流れる音、早起きのセミの声、山と川のにおい。8月の終わりの山の景色は、暑いながらも少しずつ秋を迎える準備をしていた。

終わりに

長年新潟に住んでいるといっても、縦に長い新潟ではまだまだ訪れたことのない地域も多い。糸魚川もその一つだった。これまで糸魚川と聞くとヒスイのイメージしか出てこなかったが、今回取材に行きいろいろな場所を訪れることでそこに人が生きていること、生活していることが実感でき、生きた糸魚川のイメージになったように思う。景色もきれいでご飯もおいしい、何より会う人会う人みんないい人だった。車がないと少し行きづらい場所もあるが、この記事を読んで少しでも気になると思ってくれた人はぜひ糸魚川に足を運んでみてもらいたい。
わたしもまた必ず。

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