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読書記録:宮部みゆき『あやし』

秋の夜長にもホラー小説を、しかもお江戸のお話をいかがでしょう。宮部みゆき『あやし』(角川ホラー文庫)。短編集で、1話ずつじっとりとしていて読みごたえがありました。それぞれ「誰に語らせるか」というのもよく練られており、著者の読ませる力に感服しながらイッキ読みです。

ホラーというよりは怪談といったほうが良いでしょうか。舞台は江戸の商店、店主やそこに仕える奉公人たち。蠢くのは人ならざるものなのか、それとも誰しもが持つ闇が顕現しただけなのか。

9編あるなかで私のお気に入りは『安達家の鬼』です。墨と筆をあつかう笹屋に嫁いできたばかりの主人公。庭をへだてた離れで暮らす老いた義母の面倒を見るうちに、不可解なことが度々起こります。義母がボケ始めているだけなのか、それとも自分には見えない何かが「居る」のか・・・。

この短編集ではどのお話も登場人物が何かしら孤独を抱えているのですが、このお話は主人公と義母の孤独感の共鳴が温かく感じられ、怪談というよりは人情話のようでじんわりと心に響きました。怖いのは怖いけど。

著者の長編をしばらく読んでいないので、年末年始の時間がたっぷり取れるときにチャレンジしてみましょうか。他の積読を差し置いて、またイッキ読みしてしまうのでしょうね。


以下、雑記
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急に冬になってしまいました。秋はどこへいったのやら。薄手のコートを着る日数が年々少なくなっています。

部屋が乾燥しているのに気付かないで、ピアノを弾きながら歌っていたらノドを痛めました。左側だけ。おもしろいもので、左側の扁桃腺だけが腫れ、左鼻だけ鼻水が出ています。歌うときって左しか使ってないのかしら。それとも右のほうが強いのか?

今年の目標に、ピアノで1曲弾けるようになる、があるのですが、色々な楽譜を広げてはちょっと弾いて閉じるを繰り返すばかりで、人に聞かせられるレベルの曲がありません。憧れの弾き語りにはノドの鍛錬もいるみたい。やばい。

まぁどこで披露するでもなく、「弾けるようになる」を判定するのも自分ですから、根詰めて練習する必要もないのですが。今年もあと1か月半。「かたちになってるな~」くらいを目指して、今日ものんびり練習します。お相撲みながらしよう。

今回も読んでいただきありがとうございました!

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