AI vs クリエイティブ?

お付き合いのあるIT企業の社長から声がかかり、
「AI」をテーマとした雑談会に参加させてもらった。

ライターとして30年近くやってきた僕としても、
GPT4を始めとするAIの言語化能力を見過ごせるはずもなく、
あらゆる産業界のゲームチェンジャーになるであろう
(すでになっている)ことは、うっすら気づいていた。

いくつかAIのプレゼンや実演を見せてもらったが、
言語化能力も、画像や動画の生成能力も
現時点ですっかり実用化できるレベルに達していた。
今後も日進月歩の進化がほぼ約束されていることを考えれば、
文章や写真、イラスト、Webなどクリエイティブな作業にも
今まで以上にAIが深く関わってくる未来が確定している。

今回はライターの視点に絞り、
ほんの少しだけ考察してみたい。

AIの文章作成能力はすさまじく、
こちらが入力するプロンプト(指示内容)次第で、
どんな長文もわずか数十秒〜数分で仕上げてくれる。
たとえば、キーワードをいくつか打ち込み
「小説を書け」と指示するだけで、
それなりの内容の長文が挙がってくる。

気に入らなければより細かな指示を書き足して、
「あと3パターン作れ」といった具合に命令を重ねていけば、
どう考えても何十時間、下手したら数百時間かかる作業が
わずか数分で完了してしまうという恐ろしさ。
出力された文章を手直ししていくだけで小説が完成する。
自分だけの小説をつくるための叩き台が
月わずか数千円のサブスクに入ればできてしまうのだ。

ちなみに、この小説をそのままプロンプトに放り込み、
「脚本を書け」と命令すれば、その場で映画脚本(草案)の出来上がり。
その文面をもとにじっくりとブラッシュアップを図ることができ、
結果的に膨大な時間とコストを削減することができる。

この現象を「恐ろしい」と捉えるか「面白い」と捉えるかで、
クリエイターたちの立ち回り方が決まると思う。
前者はAIのあら探しをはじめ、後者はAIの長所を探し続ける。

奪われるか、活用するか。

幸いなことにAIは人間を選り好みしないので、
命令を出せばどんな人間にも忠実に従ってくれる。
AIに良い仕事をさせるポイントは「上手に命令する」ことだけ。
つまり、日記すら書いたことがない中学生が上手に命令すれば、
その道数十年のベテランライターと遜色のない文章を、
時間もコストをまったくかけずにつくることができるのだ。

厳密に言えば、AIが作成した文章の良し悪しや、
内容の正誤を最終的に判断するにはやっぱり経験が必要だし、
何度もクライアントと話をして文章を作成するという場面では
AIに頼る以前に求められる能力がたくさんあることも事実。

だから、すべての仕事をAIだけで完結させるのは難しいけれど、
曲がりなりにも、誰でもスマホやPCひとつで
「クリエイティブっぽいこと」ができる環境になった。

こういう技術は、まったく経験のない若手や
ほとんどノウハウをもたない発展途上国などにとっては
喉から手が出るほどほしかったもので、
「AIなんて信用できない」とふんぞり返るおっさんを尻目に、
進化し続けるAIのメリットをしゃぶり尽くしてくるに違いない。

で、どちらかというと、僕も後者でありたいと思っている。
少なくとも、そこに今までの経験と信用を重ねる方法を模索しながら。

[vs AI] or   [with AI ]

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